国家公務員の定年年齢が65歳に

2021年、公務員の定年年齢を段階的に65歳まで引き上げることが決まった。

やったー! 定年が65歳に引き上げられる。

国家公務員の定年年齢を65歳に引き上げることが2021年6月に決まりました。現在の60歳を2023年度から2年ごとに1歳ずつ上げていき、31年度に65歳定年となります。地方公務員もこれに準じます。
 
とはいえ、65歳定年はまだまだ先のこと。30年度までは、「再任用制度」を活用して65歳まで働くことになります。「再任用」とは、国家公務員法に基づいて採用することを指します。
 

「再任用制度」で時短勤務60%超え

定年後、後輩に長年培った仕事のノウハウを伝えることができるのは再任用ならではかも知れない。

短時間だから働き続けられるのかもしれない

令和2年年7月1日現在の再任用職員は1万5112人(前年より1242人増)で、短時間勤務が61.1%を占めます(「一般職国家公務員在職状況統計報告概(令和2年7月1日現在)」内閣官房内閣人事局より)。生涯賃金と公的年金で民間サラリーマンより頭ひとつ抜きんでる(?)といわれる公務員は、60歳定年後の就業をどのように考えているのでしょう。

人事院「令和2年退職公務員生活状況調査の結果について(令和3年3月)」から、令和元年度に60歳で定年退職した一般職国家公務員の退職前と退職後の考えをご紹介します。
 

生計維持のため、65歳までフルタイムで働きたい

まずは、退職「前」の考えを見ていきましょう。

60歳定年退職後も「働きたい」は86.6%、「働きたいと思わない」は13.3%で、100人中87人が退職後も働きたいと考えました。理由(複数回答)は「日々の生計維持のために必要」が最も多く85.0%。理由のトップ3は次のとおりです。

1位「日々の生計維持のために必要」 85.0%
2位「社会との接点や生活の張り・生きがいを持ちたい」 43.4%
3位「経済的により豊かな生活をおくりたい」 36.1%

働き方は、「フルタイム勤務」が56.6%、「短時間勤務」は36.8%です。短時間勤務では、「週当たりの勤務日数を減らす」働き方を86%の人が希望しています。

何歳まで働き続けたいと思ったかというと、「65歳」が35.0%(前回は55.3%)、次いで「年齢に関係なく、働けるうちはいつまでも働きたい」が20.8%。「老齢厚生年金(報酬比例部分)支給開始年齢まで働きたい」が18.6%。「70歳まで働きたい」は7.9%でした。
 

定年退職後の働き先は約8割が「国の機関」を希望

退職後の就業希望先のトップは、「国の機関(行政執行法人を含む)の再任用職員」で75.4%(前回調査78.5%)。次いで「民間企業」が8.5%(同5.7%)、「問わない」7.7%(同7.2%)、と続きます。一般職国家公務員が抱く定年退職後の姿は「フルタイムで再任用職員として国の機関で65歳まで就労」のようです。
 

60歳定年退職者の9割近くが実際に働き続けている

次に、定年退職「後」の就業状況を見てみましょう。60歳定年退職後、「仕事に就いている」が89.6%(前回86.1%)、「就いていない」は10.3%(同13.9%)。退職前の調査より働いている人が3ポイント増えています。

仕事に就いてない人のうち46.7%(前回調査45.9%)が「しばらく休んだのち、また考えたい」と考えていますが、「自分の健康状態に不安がある」「家族の健康状態など家庭の事情を抱えている」と健康上の問題を抱える人も少なくありません。
 

国の機関で働く人が8割。民間企業で働く3割強は「紹介」で就職

就労先は、「国の機関(行政執行法人を含む)の再任用職員」が81.0%(前回80.8%)、民間企業は10.3%)(同6.9%)です。

民間企業等での職種は、役員(取締役・監査役等)、顧問・相談役などが14.4%(前回9.1%)、事務系業務(管理職を含む)が36.4%(40.7%)、技術系事務(管理職を含む)26.5%(同13.0%)、専門職(医師、看護師、教師、税理士等)4.4%(同4.7%)です。仕事を探した方法のトップは「家族、友人・知人等の紹介」35.4%(同34.7%)で、次いで「ハローワーク、人材紹介所等のあっせん」31.3%(同20.2%)、「新聞、情報誌、インターネット等の求人情報を見て応募」8.5%(同13.0%)です。
 

国の機関よりも民間企業のほうがフルタイムの割合は多い

再任用されて国の機関で働く人の53.4%(前回50.6%)がフルタイム勤務です。短時間勤務者は43.5%(同47.4%)で週4日、週28時間以上32時間未満(72.4%)働いています。

一方、民間企業等で働く人はフルタイム勤務が89.1%(同77.7%)を占めます。時短勤務者は9.7%に過ぎず、週4日、週32時間以上36時間未満あるいは週28時間以上32時間未満(共に24.2%)働いています。
 

給与に半数以上が不満

再任用で「国の機関(行政執行法人を含む)のフルタイム・短時間勤務」している職員は「仕事内容」や「勤務形態・勤務時間」に65%程度が「満足」「ほぼ満足」している一方で、給与には53%が「やや不満」「不満」と感じています。

仕事内容
満足  25.2%
やや満足  39.3%
どちらともいえない  20.8%
やや不満  8.5%
不満  4.6%
不明  1.7%
*調査結果通りの数字を記載。100%を超える。

給与
満足  6.0%
やや満足  15.5%
どちらともいえない  24.0%
やや不満  28.5%
不満  24.4%
不明  1.6%

勤務形態・勤務時間
満足  23.1%
やや満足  43.7%
どちらともいえない  19.9%
やや不満  6.8%
不満  4.6%
不明  1.9%
 

待遇などに不満も

再任用で働いている人は、次のような不満や不安を持っています(複数回答)。

1位 「給与、福利・厚生の面での処遇が十分でない」 55.9%
2位 「期待されている役割が曖昧で戸惑うことがある」 41.2%
3位 「求められる仕事の質や量が厳しい」 21.9%
 

働いていれば黒字家計だが、働いていないと月11万円超の赤字に?

短時間勤務で山登りを楽しみつつ悠々自適の生活をする。再任用があってよかった!

趣味を楽しむのは案外とお金がかかる。働くぞ!

2013年度以降、60歳定年退職者には「公的年金の空白期間」があります。実際の家計収支はどうなっているのでしょうか。まず世帯の1カ月あたりの収入(ボーナス収入を含まない)と支出を見てみましょう。
 
収入(ボーナス収入を含まない) 37.7万円
  • 就労者世帯 38.8万円
  • 非就労者世帯 22.9万円
支出 37.6万円
  • 就労者世帯 38.0万円
  • 非就労者世帯 34.2万円
就労者世帯は8000円の黒字、非就労者世帯では11万円強の赤字です。次に家計の状況を見ていきましょう。
 
就労者世帯では、トップが「ゆとりはないが赤字でもない」40%(非就労者世帯35%)です。「時々赤字になる」24%(同16%)、「常に赤字で生活が苦しい」17%(同28%)と続きます。「十分ゆとりがある」「いくらかゆとりがある」は就業者世帯18%に対し非就業者世帯21%。やっぱり……と感じたりします。
 
<世帯の家計の状況 就業者世帯/非就業者世帯%>
  • 十分ゆとりがある  3.2%/8.7%
  • いくらかゆとりがある 14.3%/12.3%
  • ゆとりはないが赤字でもない 40.3%/35.2%
  • 毎月のやりくりに苦労しており、時々赤字が出る 23.5%/15.5%
  • やりくりしても、常に赤字が出て生活が苦しい 16.7%/27.6%
  • 不明 2.1%/0.8%
赤字には、退職手当やそれ以外の金融資産を取り崩す、節約を徹底するなどで対応しています。

●赤字への対応方法(複数回答)
「退職手当の取り崩し」 71.9%
「退職手当以外の預貯金等の取り崩し」 60.3%
「節約を徹底する」 39.5%
 

退職前に知っておきたかったことは「お金」関係

退職後の生活や生涯設計について考えるようになった時期は「50歳代後半」が50.0%と最も多く、次いで「50歳代前半」25.9%、「60歳(定年退職となる年度)」12.1%となりました。
彼らが退職前に知っておけばよかったと思ったこと、上位3つは次のとおりです(複数回答)。
  • 「年金、保険に関する情報」 54.2%(前回調査58.9%)
  • 資産運用に関する情報 35.0%(同33.3%)
  • 「税金・相続に関する情報」 29.7%(同26.4%)

「65歳定年」でバラ色の老後?

2021年6月の「公務員65歳定年」では、給与は60歳時点の7割、60歳で役職定年制の導入、も決まりました。民間企業で65歳定年とするのは18.4%に過ぎず、76.4%は継続雇用制度で対応しています(令和2年「高年齢者の雇用状況集計結果」厚生労働省より)。そのときの給与は定年退職時の5割程度以下になる人が5割強です。役職定年も55歳前後で実施しています。「公務員65歳定年」の内容は、安定したバラ色の老後に映ります。民間企業も、めざせ「65歳定年」です。

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