賞味期限切れの卵は食べられる? 加熱すればOK?
賞味期限が切れた卵は、食べても大丈夫?
メイン、サラダ、お弁当のおかず、お菓子まで。幅広い使い道で常にストックしてあることも多い卵。特売で買いだめしておいて、うっかり賞味期限を切らしてしまっていた……ということはありませんか? 捨てるのはもったいないし、とはいえ、傷みやすいイメージもあり、特に生食で食べても大丈夫なのか心配な食材でもあります。
賞味期限が切れた卵は、食べても大丈夫なのでしょうか? この記事では、食品の賞味期限や消費期限の基本から、賞味期限を切らしてしまった卵を食べる場合の判断基準、卵の適切な保存方法、卵を大量消費できるレシピをご紹介します。
<目次>
そもそも「賞味期限」と「消費期限」の違いって?
お店で買った食品には、袋や容器に「消費期限」か「賞味期限」のどちらかが表示されています。消費期限
袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合の「安全に食べられる期限」。お弁当、サンドイッチ、生めん、ケーキなど、傷みやすい食品に表示されています。基本的に「期限を過ぎたら食べられない」と考えます。
賞味期限
袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合の「品質が変わらずに美味しく食べられる期限」。スナック菓子、カップめん、チーズ、缶詰、ペットボトル飲料など、消費期限に比べて傷みにくい食品に表示されています。この期限を過ぎても、すぐに食べられなくなるわけではありません。
ただし、消費期限も賞味期限も、袋や容器を開けないで、書かれた通りに保存していた場合の安全や美味しさを約束したもの。一度開けてしまった食品は、期限に関係なく早めに食べるようにしましょう。
出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/featured/abc2.html)
卵の賞味期限はいつまで?
「卵は、生食で約2カ月食べられる」という噂も……。卵の賞味期限について、食品ロス専門家でジャーナリストの井出留美さんに伺った話によると、卵は、気温10度くらいの冬場なら57日間は生で食べられます。フランスでは少し寝かせた卵のほうがおいしいとされているそうで、一定時間を置いた卵の方が、食感や白身の泡立ちもはるかに上だそうです。日本では、卵の賞味期限は「夏場に生で食べる」ことが前提になっており、パック後14日間と設定されています。
時期により異なりますが、卵の賞味期限は安心して「生食」できる期限を表示しています。実状は、年間を通してパック後2週間(14日程度)を賞味期限としているところが多いようです。
参照:日本卵業協会(http://www.nichirankyo.or.jp/qa/hinshitsu.htm#tag01)
参考記事
卵は2カ月もつ!?「賞味期限」のカラクリを知って、食費のムダをなくす!
賞味期限から1週間過ぎても、卵は生で食べられる?
卵の賞味期限は「安心して生食できる」期間
卵の賞味期限は「安心して生食できる」期間です。期限を過ぎた卵は加熱調理をして食べましょう。加熱調理とは、卵単食なら70℃で1分以上、他の食材と混じる場合は75℃で1分以上の加熱を指します。ただし、涼しい季節であったり冷蔵保存されていたものならともかく、夏期に常温で保存していたものなど、保存状態によっては避けた方が無難な場合もあります。
参照:日本卵業協会(http://www.nichirankyo.or.jp/qa/hinshitsu.htm#tag16)
賞味期限が切れた卵のサルモネラ菌増殖は大丈夫?
サルモネラに汚染されている卵の割合は、おおよそ10万個に3個程度だそう。サルモネラ菌の増殖が起こらない期間は、卵の保存温度によって決まります。7~9月の夏期は産卵後16日以内、4~6月と10~11月の春秋期は産卵後25日以内、12~3月の冬季は産卵後57日以内とされています。
万が一、卵内にサルモネラ菌が存在していたとしても、サルモネラ菌の増殖が起こらない適切な温度管理と保存期間を守れば生食できるそう。心配であれば、70℃で1分以上(他の食材と混じる場合は75℃で1分以上)加熱調理すれば、サルモネラ菌は死滅します。賞味期限が切れた卵の場合は加熱調理しましょう。
参照:日本卵業協会(http://www.nichirankyo.or.jp/qa/hinshitsu.htm#tag18)
賞味期限が切れた卵は加熱すれば食べられる?
賞味期限が切れても加熱すれば食べられる?
卵の賞味期限は、「安心して生食できる期限」のことです。万が一、サルモネラ菌が存在していたとしても加熱すれば死滅するため、賞味期限を過ぎても加熱調理をすれば食べられます。
卵単食なら70℃以上で1分以上、他の食材と混じる場合なら75℃以上で1分を超える加熱が必要です。低温調理の温泉卵などは避けましょう。
また、あまりにも賞味期限を過ぎた卵や常温で保存していたものは避け、加熱したものも数日以内に食べきるようにしましょう。目安として、卵を割ってみたときに明らかに弾性を失い、平べったくなっている場合は食べるのは避けてください。賞味期限を数カ月越した卵は体調を壊す可能性が極めて高いです。
参考記事
「生卵」と「ゆで卵」、日持ちするのはどっち? 意外と知らないタマゴの「5つの常識」
卵の長持ちする保存方法
特に夏は冷蔵庫での保存がおすすめです
■冷蔵庫で保存する
細菌、特にサルモネラ菌汚染の関係から、卵は10℃以下に安定的に保存されていれば長期保存できるといわれています。食品衛生法でも生食用殻付卵は10℃以下で保存することが望ましいと定められているため、特に夏期は冷蔵庫での保存をおすすめします。
■卵の殻は洗わない
卵の殻には呼吸をするための小さな穴が空いていますが、そこから雑菌などが入ってこないようにクチクラ層という薄い膜が覆っています。卵を洗ったり布などで拭くと、このクチクラ層が剥がれて菌が入りやすくなってしまいます。
卵のほとんどはGPセンター(洗卵選別包装施設)で洗卵を経て出荷されており、卵の殻の汚れが気になっても中身には何の影響もありません。もし卵を洗ってしまった場合は、なるべく早めに食べるようにしましょう。
■卵は尖った方を下にして保存する
卵の丸い方よりも尖った方が卵殻の強度があって割れにくいということ、また、気室がある丸い方を下にすると、卵黄と気室内の空気が触れやすくなって細菌が入り込む可能性が高くなってしまうことから、卵は尖った方を下にして保存します。
■冷蔵庫のドアポケットには入れない
温度の変化で卵の表面が結露して、その水分でクチクラ層がなくなってしまうため、冷蔵庫のドアポケットなど、開け閉めのたびに温度が変わる場所に保存することは避けたほうが無難です。
卵の日持ちをアップさせるには、冷蔵庫のドアの内側にある卵ケースに保存せず、パックのまま冷蔵室の奥に入れましょう。
参照:日本卵業協会(http://www.nichirankyo.or.jp/qa/hinshitsu.htm#tag10)
参考記事
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ゆで卵より生卵の方が長持ちする? ゆで卵の保存は要注意!
生卵よりゆで卵の方が日持ちしない?
一般的に、食材は火を通した方が長持ちするイメージがありますが、卵の場合は生卵より火を通したゆで卵の方が日持ちしません。卵に含まれる、細菌から雛を守る「リゾチーム」という成分は、加熱するとその機能がなくなってしまうためです。
ゆで卵を作ったら、火を通したからといって長期保存せず、冷蔵保存で1~2日程度で食べるようにしましょう。殻を剥いたものはその日のうちに食べることをおすすめします。
参照:日本卵業協会(http://www.nichirankyo.or.jp/qa/hinshitsu.htm#tag17)
参考記事
「生卵」と「ゆで卵」、日持ちするのはどっち? 意外と知らないタマゴの「5つの常識」
卵は冷凍できる?
殻付きのまま冷凍した場合、中身が膨張して卵殻が割れます。卵白は、冷凍して解凍すると、水っぽくはなるものの元の状態に戻りますが、卵黄は固まったままの状態。卵を割り溶きほぐしての冷凍は可能ですが、卵は細菌が繁殖し易いため、殻付きの状態でも溶き卵の状態でも、家庭での冷凍はおすすめできません。参照:日本卵業協会(http://www.nichirankyo.or.jp/qa/hinshitsu.htm#tag02)
賞味期限間近の卵を大量消費! おすすめ定番レシピ!
■材料3つ、めんつゆでできる煮卵(3個分)めんつゆでできる煮卵(出典:煮卵をめんつゆで! 味付け卵の簡単レシピ・作り方)
卵3個を7分間茹でて半熟卵を作ります。殻をむいて、めんつゆ(3倍濃縮)100㏄と水100㏄の調味液に漬け、冷蔵庫へ。半日~1日後ぐらいが食べ頃です。
※冷蔵庫で保存し、数日以内に食べましょう。
参考記事
煮卵をめんつゆで! 味付け卵の簡単レシピ・作り方
■基本の卵焼き(4人分)
基本の卵焼き(出典:蒸し卵焼きの作り方! 鍋で作る簡単卵料理レシピ)
※冷蔵庫で保存し、2~3日以内に食べきりましょう。
参考記事
蒸し卵焼きの作り方! 鍋で作る簡単卵料理レシピ
■和風オムレツ(2人分)
和風オムレツ(出典:簡単!和風半月卵オムレツ)
※冷蔵庫で保存し、2~3日以内に食べきりましょう。
参考記事
簡単!和風半月卵オムレツ
■電子レンジで茶碗蒸し(2人分)
電子レンジで茶碗蒸し(出典:豆腐茶碗蒸しのレシピ!電子レンジで簡単卵料理)
参考記事
豆腐茶碗蒸しのレシピ!電子レンジで簡単卵料理
安心して卵を食べるために賞味期限を適切に理解しよう
卵は、料理やお菓子作りまで調理のバリエーションが豊富で、たくさんストックしておきたい食材の一つ。賞味期限後の対応や適切な保存方法を知っていると安心です。卵の賞味期限は、「夏場に生で食べる」ことが前提となっているため、賞味期限が切れているからといって即廃棄する必要はないのですが、時期や保存方法によっては食中毒を引き起こす可能性もあります。適切な保存方法の知識を得て、無駄なく美味しく、卵を使いこなしましょう。
参考記事
ひとりご飯は、食中毒に気をつけて
監修:管理栄養士 一政 晶子
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