■幻の外道
館山沖で釣れる金目鯛は築地市場でも最高値がつきます。脂の乗りがよく、相模湾ものや駿河湾ものより、2割近い高値がつくこともあると聞いています。
その金目鯛を釣る漁師の竿にかかる外道が今回紹介するエンザラです。

エンザラという名前は館山あたりの地方名で、学名はクロシビカマスと言い、他の地方ではスミヤキやクロサンマなどの名前で呼んでいるようです。伊豆の東海岸ではこの魚を長寿の魚として珍重しているとのお話も聞いたことがあります。いずれにしても、あまりメジャーな魚ではないので、まったく同種のものか確認はできておりません。ただ、館山沖のクロビシカマスだけが格別に美味しいと、現地の方はおっしゃっています。

今回は生の一匹 (約1.1kgサイズ) を館山の 『鮮魚のまるい鈴木商店』 から取寄せました。最近はこの魚のうまさを嗅ぎつけた首都圏の料理屋からの注文が増えている上に、数もそれほど揚がらない為、大変、手に入りにくい幻の魚になりつつあります。通常は1kgサイズのエンザラを、まるい鮮魚さんが軽く塩をして干物にして販売しています。



生の状態の写真を見るとわかりますが、深い海にすむ魚らしく、ぎょろっとした目と大きな口が特徴です。また、皮と腹の中が黒く、確かに一般にうける姿ではありません。ただ、小骨がなく脂がのって柔らかな白身は刺身でもおいしそうです。

地元の館山では 『この魚のなますは皿まで舐め尽くすほどうまい』 と言われていますが、ある理由があり刺身には向かない魚です。

実は長い骨が背骨から皮に向かって伸びており、この骨を抜こうとすると、身がぐしゃぐしゃになってしまうからです。

多分、これだけ美味しい魚が高級魚にならなかった理由は、見た目の悪さと横に伸びる骨にあるかと思います。

さばいた魚は海水より濃い目の水にしばらくつけてから、3時間ほど風干しにして余分な水分を飛ばします。



いよいよ、エンザラを炭火であぶります>>