たんぱく質は筋肉や酵素、ホルモン、コラーゲンなど、人間が生きていく上で非常に重要な物質のもとになる栄養素である。しかもその一部は脂肪と同様に体内では合成できないために、必ず一定量は食物として摂取しなければならない。そのため、ほとんど全てのダイエットの専門家が「ダイエット中も十分なたんぱく質を摂りましょう!」と指導しているところである。また、かく言う私も「ダイエット中はたんぱく質不足に注意するように」と口癖のように言っている一人である。

ところが、たんぱく質にはもう一つ重要な側面がある。それは、食べ過ぎればたんぱく質も脂肪として蓄積されるし、健康にも良くないという側面である。さらに、現代の日本人の多くはたんぱく質を過剰摂取しているという事実である。

このことについて、まずたんぱく質も脂肪として蓄積されるということからご説明すると、人間の身体はある程度ならば体内で炭水化物やたんぱく質を脂肪に換える機能を持っており、これを三大栄養素の相互変換という。結局、全てと言うわけではないが、脂肪もたんぱく質も炭水化物も摂りすぎれば体脂肪になりえるのである。したがって、ダイエットを効率よく行うためにはたんぱく質の摂り過ぎにも注意が必要であるといえる。

次に「たんぱく質も食べ過ぎれば健康に良くない」というお話をするならば、例えば動物性たんぱく質の摂り過ぎがカルシウムの排出量を増加させるという研究報告がある。ただでさえ、カルシウムの摂取量が少なめになりがちなダイエッターにとって、非常に深刻な問題である。余談になるが、このことについて興味深い話に「ミルク・パラドックス」と呼ばれるものがある。これはカルシウム補給のために牛乳を飲むように薦めると、牛乳自体のたんぱく質や食生活が洋食化(高たんぱく化)して、かえって骨そしょう症などのカルシウム欠乏症が増えるという仮説である。さらに日本では戦後牛乳の普及が政府(時にアメリカ政府)主導で進められてきたが、牛乳の消費量が伸び続けているにも関わらず、カルシウム不足による骨そしょう症などの患者が増えつづけている現状は、日本人もミルク・パラドックスに陥っていると指摘する専門家も多い。

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