起業・会社設立のノウハウ

「また時短要請か……」コロナ禍で苦境に陥ったBARがDXと新店オープンにチャレンジする話(2ページ目)

コロナ禍で苦境に陥っている飲食店の中には、さまざまな工夫や挑戦を続けているお店がたくさんあります。「原価BAR」を経営する筆者が緊急事態宣言を機に行ったDX化や移転、いま考えていることなどを語ります。

柳谷 智宣

執筆者:柳谷 智宣

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2回目の緊急事態宣言が発出

しかし、1月7日に2回目の緊急事態宣言が出されました。連日テレビの煽り方が凄くて、嫌な予感はしていました。とはいえ、もちろん要請には従うしかありません。再度、休業しました。1カ月間の延長発表にも従いました。そこで、緊急事態宣言が明けるといわれていた3月8日にグランドオープンすることになったのです。
2021年3月8日、時短営業ながらも原価BAR三田本店をオープンしました

2021年3月8日、時短営業ながらも原価BAR三田本店をオープンしました

休業した2カ月間、DX化とコロナ対策を進めることにしました。業務用エアコン8台の分解洗浄をして性能を戻し、空気清浄機を複数台購入。換気扇もリニューアルして、換気性能を向上させました。入り口にはアルコール消毒液を用意し、足で踏んで利用できる機器も購入しました。非接触で検温できるデバイスはもとから利用していたので流用します。透明なアクリルのパーテーションも準備し、ご要望に応じてお出しできるようにしました。

DX化も進みました。お酒のテイクアウト販売、通信販売にも力を入れました。通信販売は飲食店では行えないので、販売部分は別の会社に委託しています。基幹システムはサイボウズ社の「kintone(キントーン)」を導入しました。あらゆるデータを集約管理し、今後の経営に役立てていくためです。そのため、利用するサービスも「kintone」に対応しているかどうかで選びました。

勤怠管理は「kintone」、POSレジとモバイルオーダーシステムは「スマレジ」、会員管理システムは「プリントクリエイター」「kViewer」などを導入し、システムを構築しました。全部筆者が作ってしまうとブラックボックス化してしまうので、社員の一人にお願いしたところ、自分で学習して作り上げてしまいました。以前であれば、システム開発会社にイチから依頼したら、1000万円でもできないものが2カ月でできてしまう時代になったのがありがたいところです。
基幹システムはkintoneで構築しました。画面は勤怠管理アプリです

基幹システムはkintoneで構築しました。画面は勤怠管理アプリです

コミュニケーションツールは以前から「Slack」を活用しています。情報の風通しを良くすることで、「聞いてないよ」というすれ違いを防止しています。逆に、社内では電子メールは利用していません。

通信販売サイトを盛り上げるために、YouTubeチャンネルも開設し、ド素人ながら全員でわいわいと動画を撮影しています。もちろん、まだほとんど再生されていませんが、頑張っていこうと思っています。

テイクアウトやランチも来月くらいから再開しようと考えています。原価BAR三田本店では大きなフライヤーやウォーターオーブン、燻製機などを利用できるので、料理の幅が広がりました。価格帯も少し下げて、毎日買っていただける内容に仕上げようとしています。鋭意チャレンジ中ですが、調査する中で思い知ったのは、テイクアウト専門で営業してきた企業のクオリティの高さです。味はもちろん、内容から包装、法律への対応など、すべてにおいて考え抜かれていて勉強になりました。

緊急事態宣言はさらに延長されましたが、3月8日からは20時まで営業していました。もちろん、売上はまだまだという状況です。3月21日に緊急事態宣言が明けましたが21時クローズを要請されるのであまり変わらないかもしれません。しかし、努力しなければ、消え去るしかありません。自分たちができることを全力でやり切るしか生き残るすべはないのです。

原価BARは変化を恐れず、飲食店としてDX化にチャレンジし、お客さまに満足してもらえる店作りをしていこうと思います。

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