お金の悩みを解決!マネープランクリニック/保険を見直したい世帯のお金悩み相談

37歳貯金1400万円。コロナ禍で夫の残業代がカットされ、貯金できない月があります(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、会社員として働く37歳の女性。コロナ禍で夫の給与が下がり、毎月の貯蓄が難しくなってきたとのこと。今後を考えて、家計のバランスを見直したいと考えています。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 住宅ローンの繰り上げ返済は積極的に行いたい

新型コロナウイルスの影響で、ご主人の残業がなくなってしまったとのこと。金額にして月6万円の減収は、確かに金額としては大きいですが、マネープラン全体で見れば、資金的に心配することはありません。
 
現在の貯蓄額も、貯蓄ペースも立派です。毎月の貯蓄については、「できない月がある」とのことですが、ボーナスの手取り額は少なくとも夫婦合計で年間170万円。それをほぼ全額貯蓄に回しているわけですから、それだけでも十分なハイペースです。ご相談文では、毎月の分と合わせて「年間200万円ほど」貯蓄できているとありますので、ご主人定年までの17年間で3400万円、貯蓄が積み上がることになります。
 
また、途中、児童手当の支給はなくなりますが、ことりさんが2年後に時短勤務からフルタイム勤務に戻られますから、それにより手取り額で月4万7000円アップ。それも考え合わせれば、4000万円程度の貯蓄はできそうです。
 
教育費は保険で用意されていますが、便宜上、ここから大学費用と、仮に仕送りが必要になった場合のコスト、計1000万円を差し引いて残り3000万円。あとは大きな支出として、クルマの買い替えでしょうか。定年までに2回ないし3回、費用を計500万円としても2500万円がまだ残ります。
 
これに今ある貯蓄と払込済保険の満期金等の合計額を合算して約5000万円。さらにご主人の退職金、個人年金保険の年金総額1500万円を加算すれば計6500万円。これがおおよその老後資金となります。ご夫婦とも厚生年金加入ですから、老後になって資金的に困ることは一般的には考えにくいと言えます。
 
それと、住宅ローンの繰り上げ返済は是非すべきです。完済が現時点でご主人73歳ですから、できれば60歳かそれに近い完済に短縮したいところ。一時的に資産は目減りしますが、資金的には余裕が十分あります。支払利息の軽減という点でもメリットは大きいでしょう。
 

アドバイス2 保険商品はリスクを減らし、保障中心に切り替えを

ご相談の家計バランスですが、十分に管理されています。固定資産税や自動車の維持コスト(車検、保険、税金など)も月割りで毎月の支出に計上しているので、家計のボーナス依存がほとんどなく、それが高い貯蓄率につながっています。その意味でも、家計管理はほぼ満点と言えます。ただし、保険だけは気になります。
 
確かに、ことりさんが言われるように、余剰資金を貯蓄商品に預けるより、保険商品を活用した方が増えるという考えも理解できます。単純に利回りだけを比較すれば、保険が有利なのも間違いありません。
 
ただし、理解されていると思いますが、変額保険は満期金が払い込み保険料の総額を下回る可能性もあります。さらに、外貨建て保険に関しては、為替差益があると同時に為替差損というリスクもあります。とくにNZドル建ての商品は、そのリスクが小さくありません。加入されている3本の外貨建て保険の保険料が月払いではなく、すべて一時払いという点もリスクを取る形となっています。
 
毎月7万2000円の保険料を「運用」と割り切るのであればこれでも構いません。しかし、保険商品は保障がある分、そのためのコストが発生しています。支払っている保険料が100%運用に回っていません。これは運用を第一の目的とするなら、効率的ではありません。高い手数料を支払っているのと同じです。
 
したがって「削るべきところ、かけるべきところ」という点では、このままでも資金的に困ることはないでしょうし、仮に先に述べた保険のリスクを実際に被ったとしても、それが家計破綻を引き起こすわけでもありません。しかし、今後さらに資金を増やす、もしくは運用をしたいという点で言えば、今の保険の入り方は合理的ではないということになります。
 

アドバイス3 運用はDCやつみたてNISAを活用

具体的な保険の見直しですが、払込済みの外貨建て保険については、為替動向によっては中途解約もあるでしょうが、現状、保険料の支払いが発生しないので、ここではそのままとします。
 
その上で、現在、解約していいと思われるのは、ご夫婦それぞれ加入の医療保険、がん保険、それとこども共済。医療保障は必要だとお考えでしょうが、医療費は貯蓄から十分支払えます。個人年金保険を残すのは、老後を迎えてからの病気や介護の費用に使えるからです。その意味で、個人年金保険は医療保険を兼ねている。資金的に余裕があるため、そう考えることができるわけです。
 
もし、医療保障がないことがどうしても不安であれば、入院5000円の医療共済に新たに加入すれば十分でしょう。
 
あと、ご主人加入の変額保険。これは払済保険に。払込済みの外貨建て保険も加えれば、すでに多くの投資商品を保有しているのと同じです。新たに運用を始めるなら、資金配分という点でも、変額保険は不要となります。お子さん名義の変額保険も同様。満期は50年後。あまりに先のため、社会にも市場にも不確定要素が多く、運用結果は未知数です。もしも、お子さんに投資商品を残したいなら、同様のリスクをともなうとしても、もっと中身がわかりやすい、かつ自由に売買できる個別株や投資信託の方がいいと考えます。
 
さて、ここまでの見直しを実際にされると、月額3万5000円程度の保険料が浮きます。これで、まずは勤務先に制度がある企業型DC(確定拠出年金)を始めてはどうでしょう。DCのメリットは掛金が全額所得控除の対象になるという点。これは投資と異なり、確実な節税=利益を生みます。運用益についても非課税です。これは、iDeCo(個人型確定拠出年金)も同様。掛金に上限はありますが、企業型DCとの併用も可能です。
 
併せて、つみたてNISAを始めるのもいいでしょう。価格変動が大きくなく、長期運用に向いている投資信託から選択する形ですから、ビギナー向きです。こちらも運用益が非課税ですし、積立型ですから運用リスクも抑えられます。掛金は貯蓄に回すボーナスから捻出できるはずです。
 

相談者「ことり」さんから寄せられた感想

この度はアドバイスをいただき、ありがとうございました。家計管理について、いつか専門の方に見ていただければと思っておりましたので、今回このような機会をいただき、大変有り難く思います。家計管理を行う上でネックとなっていた保険について、実際に解約・変更などの行動を起こしたかったのですが、何をするべきか分からない状況でした。医療・がん保険の考え方や、変額・外貨建て保険の持ち方について、分かりやすくご説明いただき、これから保有商品を保持すべきか解約すべきかなど、あり方を明確にし、一つずつ行動に移していこうと決心できました。また、DC・iDeCo・つみたてNISAも積極的にスタートさせようと思います。今までは貯蓄をどのように活用するべきか分からず、最終的には身近な保険商品に加入する傾向にありましたが、これからは長期・分散型の運用を基本とした商品に目を向け、節税効果など目に見える堅実な方法を取り入れて、将来に向けた資産を形成していきたいと強く思うようになりました。まずは、ローンの全額繰り上げ返済を第一目標とし、同時に老後の資産を維持できるよう、頂いたアドバイスをもとに、できることから着実に進めていきたいと思います。この度は本当にありがとうございました。


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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など



取材・文/清水京武


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39歳主婦、コロナ禍もあり貯蓄はほぼゼロに。来月からパートで働きます
40歳子ども2人、貯金160万円。夫は7社から借金をして自己破産も考えているようです
42歳貯金260万円。給料だけでは生活できず、口座は貸し越し状態でカツカツの生活です
45歳、貯金130万円。自営業の夫がケガをして収入が下がり貯金を切り崩しています
35歳子ども3人。夫の借金が発覚し返済にすべての貯金を充てましたが残り800万円です
 
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