なぜ「大晦日に早く寝ると白髪やシワが増える」といわれるの?
大晦日とは12月31日のこと。月末最後の日を「晦日(つごもり)」ともいうので、大晦日のことを「大つごもり」ともいいます。大晦日の夜、神社では境内で大祓えをおこなって罪やケガレを清め、寺院では除夜の鐘を鳴らします。1日の境を日没のときとしていたころは、大晦日の日暮れとともに新年になりました。大晦日に早く寝ると白髪やシワが増える!?
そもそもなぜ大晦日に早く寝てはいけないのでしょう? それは、元日に新年を司る年神様に仕えることで、生命力が更生されると考えられていたため、大晦日は寝ないで年神様を迎える習わしがあったからです。これを「年籠り(としごもり)」といいます。昔は家長が神社に籠って年神様をお迎えする習わしがあり、これが初詣の起源だと考えられています。
(※初詣について詳しくは「初詣はいつ行く?何日まで?松の内の期間はいつからいつまで?」をご覧ください)
早く寝てしまうことは、神様に仕える義務を果たしていないことになります。すると、生命力が衰えて老け込み、白髪やシワが増えることになるわけです。
また、日没後に神々がやってくるという考え方をするところでは、大晦日の日没とともに正月の祭りが行われ、夜明けまで寝ないのが作法とされていました。こうして徹夜で神に仕えたからこそ、元日の昼間に寝る「寝正月」も許されました。
大晦日に早く寝たいときは「稲積む」と言うと、白髪やシワが増えない
大晦日に眠くなったら白髪やシワが増えないよう「稲積む」と言いましょう!
もともと「稲積む」は刈り取った稲を重ねて積むという意味のことばで、秋の季語にもなっています。大晦日の晩は寝ずに過ごす習わしに基づくと、「寝る」は縁起が悪い忌みことばなので、「寝ね(いね)」と「稲」を掛け、「稲積む」を用いました。年神様は新年の五穀豊穣や福徳などを司っています。
言い伝えの意味を知るとおもしろい
「大晦日に早く寝ると白髪やシワが増える」ので、どうしても眠くなったら「稲積む」と言って寝れば魔力から逃れられる―― 現代の私たちには魔訶不思議な言い伝えに思えますが、その背景を知ると、なるほどなぁと思うのではないでしょうか。【関連記事】