暮らしの歳時記/冬の行事・楽しみ方(12~2月)

成人式の「振袖」は良縁につながるってホント?

なぜ成人式に振袖を着るのでしょう? 振袖の由来から、振袖に込められた思いがわかります。「フラれた」の語源になった恋愛事情、厄払い、袖にまつわる言葉など、振袖文化のおもしろさを紹介します。

三浦 康子

執筆者:三浦 康子

暮らしの歳時記ガイド

なぜ成人式に振袖を着るの?

成人式の振袖姿

振袖は未婚女性の第一礼装。長~い袖には意味があります

成人式といえば振袖をイメージされる方は多いでしょう。振袖は未婚女性の第一礼装とされているので、成人式に相応しい晴れ着です。

でも、よく考えてみると、どうしてあんなに袖が長いのでしょう? 華やかではありますが、あの長さは日常動作に向きません。

じつは、あの長~い袖に秘めた思いがあるのです。

 

振袖の由来

振袖とは、袖の長い着物のことをいいます。その歴史は古く、飛鳥時代頃には振袖の原型がうまれ、江戸時代に現在の振袖に近いかたちに変化したといわれています。明治以降、未婚女性の第一正装として定着し、袖丈により大振袖、中振袖、小振袖があります。

振袖という名前は、長い袖を振ることに由来しています。古来より、振るという行為には呪術的な意味があり、振ることで神の魂を奮い立たせたり、神を呼び寄せたり、厄を払ったりすると考えられていました。これを「魂振り(たまふり)」といい、神に仕える女性たちは長い布や袖を振って魂振りをしていました。神社で柏手を打ったり、鈴を鳴らしたり、神輿を揺さ振ったりするのも魂振りのひとつです。

やがてこの魂振りは、神に対してだけではなく、人に対しても行われるようになっていきました。意中の人を振り向かせたり、心を通わせたり、祈願したりするために、袖を振るようになったのです。『万葉集』などには、愛する人に向けて袖を振る歌(※)が数多く残っています。また、振る行為には厄払いや神のご加護で安寧を祈願する意味もあるので、私たちが「いってらっしゃい」と手を振るのもここからきているといわれています。

※『万葉集』にみられる袖を振る歌
・茜さす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君の袖振る /額田王
<茜色に染まる紫の野、御領地の野を行くあなた そんなに袖をお振りになると野守が見咎めるかもしれませんよ>
・おとめらが 袖ふる山の 瑞垣の 久しき時ゆ 思ひき吾れは /柿本人麻呂 
<おとめ達が袖を振る布留山(ふるやま)の瑞垣(みずがき)が年久しいように、ずっと昔からあなたのことを思っていました>
 
結婚式

結婚後は、袖を短くした「留袖」となります

こうして若い女性は良縁を願って袖を振るようになり、その効果を高めるためにどんどん袖が長くなったと考えられています。江戸時代には装飾性も増していき、晴れの日に華やかな振袖を着用するようになりました。そして、結婚すれば袖を振る必要がなくなるため、長い袖を切って着用するようになったのです。

こうして振袖は恋愛事情に関わっていき、お馴染みの言葉も生まれました >>>
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