なぜ還暦祝いに「赤いちゃんちゃんこ」を贈って着るのか
還暦といえば赤いちゃんちゃんこと頭巾のイメージがありますが、なぜ還暦祝いにこれらを贈り、着る風習があるのでしょう? 還暦とは何か、何歳で還暦祝いをするのか、還暦に赤い色・ちゃんちゃんこ・頭巾が選ばれた理由・由来・意味などを解説します。還暦祝いに「赤いちゃんちゃんこ」と「頭巾」を贈るのはなぜ?
- 還暦とは?還暦祝いは何歳でするの?
- 還暦に赤いちゃんちゃんこを着て、赤い頭巾をかぶる理由・由来・意味
・なぜ赤なのか?
・なぜちゃんちゃんこと頭巾なのか?
・還暦祝いをいつから贈るようになったのか? - 現代流の還暦祝いも人気
還暦とは? 還暦祝いは何歳でする?
還暦とは、生まれた年の"干支に還る"ことからそう言われ、数え年61歳(満60歳)で還暦祝いをする習わしがあります。60歳の還暦は、自分の生まれた年の干支に還るよみがえりの歳なので、赤子に還ると捉えます
日本で古くから用いられている暦法に、
- 十干(じっかん/甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10種類)
- 十二支(じゅうにし/子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の12種類)
60種類ある干支は60年で一回りするので、自分の干支が再びめぐってくるのは、61年先ということになります。つまり、人が生まれて61年目に、生まれた年と同じ干支に還るので「還暦」といい、「本卦還り(ほんけがえり)」という呼び方もあります。
還暦に赤いちゃんちゃんこを着て、赤い頭巾をかぶる理由・由来・意味
還暦は、暦がひとまわりして生まれ変わり、新しい寿命を授かるよみがえりの歳だと捉えられ、「赤子(赤ちゃん)に還る」という意味で、赤いちゃんちゃんこと赤い頭巾を贈る習わしとなりました。赤は太陽、火、血などを象徴し、生命力や再生を意味します
赤い色は、太陽や火、血を象徴する色であり、生命力や再生を意味する色とされています。昔から赤には魔除けの力があるとされ、生まれたばかりの赤ちゃんに赤い産着を着せていました。また、還暦を迎える61歳は男女ともに本厄の年にあたるので、厄払いの意味もあります。こうした理由で、赤子に還る還暦に、赤いちゃんちゃんこと頭巾を贈るようになりました。
■なぜちゃんちゃんこと頭巾なのか?
ちゃんちゃんことは、袖なしの綿入り羽織のことを言います。袖がないので着脱に便利で動きやすいため、赤ちゃんの産着など子どもに着せることが多く、働くときの防寒着としても重宝されました。
頭巾とは、頭部を覆うかぶりもので、さまざまな種類があります。還暦のときに用いられるのは、大黒天がかぶっているような丸頭巾(大黒頭巾、焙烙頭巾)で、江戸末期に年寄りのかぶりものとなりました。
■還暦祝いをいつから贈るようになったのか?
上記の理由で、魔除け・厄除けの赤、赤ちゃんの産着だったちゃんちゃんこ、年寄りのかぶりものの丸頭巾を合わせて、還暦に赤いちゃんちゃんこと頭巾を贈る風習が江戸時代に広がったと言われています。
現代流の還暦祝いも人気
今の60歳は若々しく、昔のようにお年寄りのイメージはありませんが、人生50年の時代には、還暦まで無事に過ごせることは大変おめでたいことでした。還暦などの長寿祝い(年祝い)は、人生で一度きりの通過儀礼のひとつ。自分の干支に還るよみがえりの歳「還暦」をお祝いする習わしは、広く親しまれています(詳しくは「長寿祝いの年齢、名称、読み方について」をお読みください)。今でも、赤いちゃんちゃんこと頭巾を贈り着用する方もいれば、赤いベストやショール、帽子、服、アクセサリーなど「赤い色で身につけるもの」を選ぶ方もいます。日本の習わしには、幸せを願う気持ちが込められています。現代流にアレンジする際も、意味を知っておくことで物事に深みが出るでしょう。
普段着にも着れる男女兼用の赤いベストを還暦の赤いちゃんちゃんこのお祝いの代わりに(画像提供Amazon)
ウエストバッグ付きの赤い多機能ジャケットを還暦の赤いちゃんちゃんこのお祝いの代わりに(画像提供Amazon)
赤いカシミアマフラーを還暦の赤いちゃんちゃんこのお祝いの代わりに(画像提供Amazon)
ベレー帽を還暦の赤いちゃんちゃんこのお祝いの代わりに(画像提供Amazon)
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