ストレス

withコロナで増える5つのストレス・3つの対策法

【公認心理師が解説】withコロナの新しい生活は、様々なストレスを伴います。流行の度に出される緊急事態宣言、その解除時の喜び、再流行の不安のせめぎ合い、感染不安の緊張感、長引く在宅生活による意欲低下や無気力、経済的なダメージや、自律神経の乱れによる不調など。ストレスによる心身の興奮をリセットしやすくする3つの生活習慣もあわせてご紹介します。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

「withコロナ」の生活はストレスと隣り合わせ

落ち込む女性

ストレスと隣り合わせのwithコロナの日常。抱えこみやすい5つのストレスとは

緊急事態宣言の発出と解除が繰り返され、常に感染に注意しながら生活しなければならない「withコロナ」期。1年以上、「新しい日常」を過ごしてきたわけですが、withコロナ期は常にストレスと隣り合わせです(「新しい日常」については、「withコロナ時代を軽やかに生きる!マインドセットのポイント」もあわせてご覧ください)。

気分が落ち込みすぎないように、あらかじめ抱えやすいストレスポイントを把握し、適切に予防していきましょう。
 

withコロナ期に生じやすい5つのストレス

まず、withコロナ期に生じやすいストレスにはどのようなものがあるかを見てみましょう。

1. 自粛解除の喜びと再流行への不安……気分のアップダウンが生じやすい
自粛が解除されれば、それまでの鬱屈を晴らすように街や観光地には人があふれます。その結果、再流行や感染への危険が高まると、喜びもつかの間、再びブルーな気分に戻ってしまいます。つまり、この時期には気分のアップダウンが生じやすくなります。
 
2. 外出時には常に感染に警戒……緊張続きで疲弊しやすい
自粛解除時も引き続き、マスク着用と消毒を徹底し感染予防が求められています。ウイルスという目に見えない敵と闘う日常は、毎日が緊張の連続です。感染リスクを考えると、人と会っても落ち着いて話せず、気晴らしに外出しても心底楽しめないもの。そうした状況では交感神経が優位な状態が続き、心身は常にファイティングモードです。外出するだけで、以前の何倍も疲れてしまいます。
 
3. 長引く在宅生活の余波……意欲低下と無気力の常態化
在宅生活に慣れ過ぎたせいか、職場や学校に戻っても、仕事や学業に今一つ身が入らないと感じる方は少なくないでしょう。意識が感染予防にばかりに集中し、本来やるべきことに気持ちを向けられない、人とのかかわりが薄くなり、やる気を高めあえない、といったことも背景にはありそうです。そのまま意欲の低下が続くと、無気力が常態化していくことも考えられます。
 
4. いよいよ直面する経済ダメージ……収入の減少による貧困妄想
既に深刻な業界もありますが、それ以外の業種でもさまざまな影響を受ける可能性があります。また、「新しい日常」を機に組織の合理化が進んでいることで、雇用の削減により職を失う人も増えていくかもしれません。経済危機は、人々を絶望的な気分に陥れます。「貧困妄想」による抑うつが増えることも考えられます。「貧困妄想」については「心配事や不安が強く眠れない…うつ病の3大妄想とは」で詳しく解説しています。
 
5. まだまだ長引く感染への不安……自律神経の乱れによる不調
withコロナ期には、緊急事態宣言下の時期と変わらず、常に感染の不安がつきまといます。その緊張感の持続によって自律神経のバランスが乱れると、心因性発熱や上気道の違和感など、風邪に似た不調が生じることも。すると、ますます感染への不安が高まり、ストレスが募ってしまいます。
 
自律神経の乱れによる風邪に似た症状については、「ストレスが原因で風邪に似た症状も…自律神経の整え方」もあわせてご覧ください。
 

withコロナ期のストレスマネジメントは「リセット」がカギ!

このように、withコロナ期にはたくさんのストレスと対峙していかなければなりません。これまで以上に上手にストレスマネジメントを行っていく必要があります。
 
withコロナ期のストレスマネジメントのポイントは、「リセット」です。例えば緊急事態宣言の解除後は、解放感によって、それまで抑えてきた欲望のたがが外れ、欲望の渦に溺れやすくなります。同時に、感染不安によって緊張感が持続してしまうと、心身のエネルギーが消耗し、疲弊しやすくなります。こうした心身の興奮を、上手にリセットしていくことが必要です。
 

心身の興奮をリセットさせるための3つの生活習慣

では、心身の興奮のリセットを働かせるには、何を行えばよいのでしょう。リセットをとっさに行うのは難しいもの。そこで日常生活の中に、心身の興奮をリセットしやすい工夫を取り入れていきましょう。ここでは、次の3つのコツをお勧めします。
 
1.  毎朝太陽の光を浴び、早寝早起き
人間の体は太陽の光を浴びると、精神を落ち着かせる脳内物質セロトニンが分泌されるようにできています。昼夜逆転の生活で、しかも薄暗い部屋の中でこもりきりでいると、セロトニン神経が活性化されなくなってしまいます。気持ちが落ち着かない方は、夜更かし、睡眠不足などの生活習慣の乱れが影響しているのかもしれません。日頃から、朝日と共に気持ちよく目覚めて活動し、夕方になったらリラックス、という早寝早起きの生活習慣を続けていきましょう。
 
2. リズム運動で気持ちよく興奮をほどく
一定のリズムをくり返す動きをすると、しだいに心地よい感覚を覚えると思います。これは、リズム運動によってセロトニン神経が活性化されているためだといわれています。たとえば、歩く、一定の音楽のリズムに身を任せて体をゆする、といったことでもリズム運動はできます。しっかり噛んでゆっくり食べることもリズム運動の一つです。心身が興奮しやすいときには、意識してリズム運動を行っていきましょう。
 
3. 深呼吸をして雑念から距離を置く
欲望や過剰なワクワク感を止められない、緊張してイライラが止められないと感じたら、いったん深呼吸でリセットしましょう。「吸って吐く」という一定のリズムと、それによる心身の心地よい変化にただただ意識を集中させます。すると、欲望や緊張がもたらす雑念から距離を置くことができ、気持ちがすーっと落ち着いていきます。
 
このように、withコロナ期のストレスマネジメントでは、上のような行動を実践しながら、心身の興奮をリセットすることが必要です。どなたでもすぐにできる方法ですので、ぜひ意識的に実行してみてください。

■参考書籍
  • 『セロトニン欠乏脳』(NHK出版)
  • 『「脳の疲れ」がとれる生活術』(PHP研究所)有田秀穂著
  • 『ストレスに負けない生活』(筑摩書房)熊野宏昭著
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
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