言葉の発達が遅い子どもの原因や対応とは
言葉の発達が遅い子ども
子どもの言葉の発達目安、個人差には注意も
何歳からが「言葉が遅い」?
■5ヶ月頃の言葉の発達目安
- 「アー」「ウー」だけだった喃語にも少しずつ変化がでてくる。ただ音を出しているというよりも、高低をつけたり、何度も繰り返したり
- 声帯だけではなく上下の唇も使う「バッブー」「プップ」など、濁点や半濁点がつく音も発音できるように
- 家族と一緒にいるときなど、話しかけるような声を出すように
- 真似っこ遊びの一環で、「バイバイ」「アワワ」「バー」と親の言葉を繰り返すことも
- 「パパ」「ママ」「ワンワン」「ブーブ」といった意味のある言葉が出てくる子も。人やものの名前を少しずつ覚えてきたサイン
- まだ言葉にならない子でも、たとえば「パパはどこ?」とたずねると、パパがいる方向を向いたり、指をさしたり。これも、ものの名前がわかってきた証拠
- ほとんどの子は1歳から2歳くらいには「マンマ」や「ブーブ」「ワンワン」など、意味のある言葉を使えるようになる
- ものと言葉の関係に気づき、ものには名前があることが分かるようになる
- ものの名前に興味を持って、「これ、なあに?」という質問が出てくる
- 「マンマ、たべた」「ブーブ、きた」という主語と述語の二語文が出てくる
- なんにでも興味を持つため、「どうして?」「なぜ」の質問が増えてくる
- お友達とコミュニケーションをとり、おもちゃの貸し借りなどもするように
- 自分の経験したことや思ったことなどが言葉で伝えられるのがうれしくて、とてもおしゃべりになる
- 記憶力もしっかりしてきて、「あのね、今日ね……」と、ママやパパがいないところであったできごとを話す
言葉の発達の遅れが気になる子へのサポート
生後5ヶ月の赤ちゃんの成長と生活・育児のポイント
生後11ヶ月の赤ちゃんの成長と生活・育児のポイント
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4歳児の成長ポイントは? 言葉やコミュニケーション能力の発達
1歳半健診でチェックされる言葉の発達とは
1歳半健診では、どのようなことをチェックされるのでしょうか
<1歳半健診の重要なチェックポイント>
- 周囲の人とコミュニケーションが取れるか
- 視線が合うか、声がけに反応するか、共感や応答する姿が見られるかなど
- 聴力に問題がないか
- 身体全体の成長発達の遅れが、ことばの遅れとして出てきていないか
- 発語能力の遅れがないか。呼吸の調節が適切か、喃語を発しているか
- 親が言葉の発達に関して何らかの不安を感じていないか
注意しておきたいのは、1~2歳は、言葉の発達に非常に個人差が大きい時期。言葉の遅れが問題ない範囲なのか、その子の情緒面を様々な角度から見て適切な刺激が得られる場を用意した方がよいのかどうかの判断は、専門家以外には難しいということ。
知人や友人の体験談やアドバイスももちろん大きな参考にはなりますが、あくまでその方のお子さんのケースと体験に基づいたものです。不安を感じる場合には、専門機関に相談してみましょう。
▽参考記事
1歳半で喋らない…健診で言葉の遅れを指摘された子供への対応
▽参考サイト
障害の発見にかかわる主な制度/文部科学省
言葉が遅い原因 主な4ケースを解説
お子さんの言葉が遅い原因とは、一体……?
- 早産や未熟児で生まれたため、発達を修正年齢で考える必要がある
- 言葉の刺激が少ない環境にいる
- ほかの発達能力には問題が見られず、単にあまり喋らない性格である
- 発達障害がある
早産だった、未熟児で生まれたなどの経緯があり、発達を修正月齢で考える必要がある場合です。現在はちょうど1歳だけれど、2ヵ月早産で生まれたので、予定日から考えると生後10ヵ月に当たるなど。
【ケース2】言葉の刺激が原因で言葉が遅い
自分の中にどれだけの速さで、どれくらいの数の単語をためていくかや、ためた単語がいつごろ意味のある言葉として文としてつながっていくかには、個人差がとても大きいです。たまたまその子に適した言葉の刺激が少ない環境にいるため、言葉の出方に影響が出ているという可能性もあります。
【ケース3】言葉だけが遅い場合
聴力、理解力、行動にも問題が見られないが、3歳過ぎ~5歳近くなってしゃべり始めるなど、言葉だけが遅いという子もいます。周りの子どもたちの多くがおしゃべり上手になっていく中、コミュニケーションにストレスを感じてしまう可能性もあります。
【ケース4】発達障害が原因で言葉が遅い
視線が合わない、指さしをしない、言葉が出ないなどの症状があった場合に疑われることがありますが、当然ながら素人が判断してはいけません。専門の医療機関で診てもらいましょう。
▽参考記事
1歳半で喋らない…健診で言葉の遅れを指摘された子供への対応
発達障害の種類・症状・子どもの行動の特徴
▽参考サイト
発達障害の法令上の定義/文部科学省
言葉が遅い子ことに不安になる前に
子どもの言葉がなかなか出てこなかったり、単語が増えなかったりすることに、不安や焦りを感じてしまう方もいることでしょう。言葉が出てくる仕組みは、よく、コップに水が溜まり、あふれ出す様子に例えられます。言葉が出てくる仕組みは、コップに水がたまり、溢れだす様子に例えられます(出典:1歳半で喋らない…健診で言葉の遅れを指摘された子供への対応)
■内向的な性格が原因でお喋りせず「言葉が遅い」とされる子も
アメリカの大学で、816人の赤ちゃんが14ヶ月、20ヶ月、24ヶ月のときに、親への質疑応答や家庭訪問、実験室での行動観察が行われ、子供達の言語発達の状況が調査されました。
結果として分かったことは、
- 内向的な子ほど言葉を発さない傾向がある
- 内向的な子は発語は少ないが、言われていることはきちんと理解できている
つまり、「喋らない子=言葉を理解できていない子」という訳ではないということ。よく喋る子は「言葉が早い」、あまり喋らない子は「言葉が遅い」と言われますが、実際の言語発達レベルを正確に反映しているとは限らず、むしろその子の性分の方が大きく影響しているようです。
言葉が遅いことについて不安に思う前に、まずはその子の性格が、外向的なのか内向的なのかを考えてみましょう。子ども自信の性格を踏まえたうえで、言葉の発達を見てあげるべきなのですね。内向的な子には、その子に合った方法で言葉を育んであげる必要があるでしょう。
▽参考記事
1歳半で喋らない…健診で言葉の遅れを指摘された子供への対応
しゃべらないからといって「言葉が遅い」わけではない
言葉が遅い子への対応・関わり方
言葉が遅い子のために、周囲の大人は何ができるのでしょうか
身の回りモノ、様子、状態、出来事など全てを言葉で説明してあげましょう。名詞だけでなく動詞や形容詞も少しずつ加え、「ブーブー」と車を指して言えば「ブーブー」「キタ」と、できるだけ2語文で話しかけていきましょう。単語とその言葉の持つ意味を一致させていき、語彙量を増やしていくことにより、言葉の刺激を与えましょう。
■子どもの要求に先回りしていないか要注意
子どもの振る舞いを見ていれば欲しがっているものが分かるからと、子どもが言葉にしないうちに親が先回りをしてしまってはいませんか?
例えば、子どもが親の手を引いて、お菓子のある戸棚に連れて行ったとしましょう。親は何気なくお菓子を出してまいます。子どもが「伝えればお菓子を出してもらえる」と理解しているのはとても良いことです。しかし、言葉の必要性を感じにくくなってしまいます。子どもの言葉を引き出すには、要求ははっきり言葉で伝えることを促しましょう。
<子供の言葉を引き出す関わり方>
子: 手を引いてお菓子の棚に親を連れていく
親 : 「お菓子が入ってる棚だね、お菓子が食べたいの?」
子 : うなずいたり、手を出したりして表現する
親 : 「そういう時は『ちょうだい』って言うんだよ」
■健診で発達が気になった場合は成長記録を残す
1歳半健診、もしくは2歳くらいで発達が気になった際は、成長記録を残しておくこことをおすすめします。母子手帳のチェック項目について、子どもの成長記録を残して、初診の時に提出できるようにしておきましょう。
発話はいつか、どんな言葉だったのか、意味のあるブーブー、マンマなどの単語や2語文はいつ出たか、いつ、どんなトラブルや特定の行動が見られたか、というようなことを箇条書きでよいので時系列で書き記しておけば、参考になることでしょう。
小児科では、母子手帳に記入された保護者のチェックを元にいろいろ確認していくだけではありますが、医師に確認することで、不安が解消かもしれません。特に1人目の育児の場合は不安が大きいものです。積極的に質問をしてお子さんについて、理解しておきましょう。
▽参考記事
将来伸びる能力の基礎を創る!1歳から2歳学習法
「言葉が遅い?」発達を疑う前に試したい親の関わり方
言葉の発達の遅れが気になる子へのサポート
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