医療費控除の明細書を提出するときに医療費の領収書が必要
平成29年分の確定申告から医療費控除を受ける際には、従来からの医療費の領収書等の提出等は行わず、医療費控除の明細書を提出することになりました。【領収書をなくした、もらえない場合の対処方法を動画で解説】
注:経過措置として、平成29年分から平成31年(2019年)分までの確定申告については、明細書を確定申告書に添付せず、領収書を確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示することによることもできましたが、令和2年(2020年)からは原則どおり、医療費控除の明細書を提出しなければなりません。
ここで重要なのは、医療費控除の明細書は医療費の領収書に基づいて作成する必要があるという点です。つまり、原則として、医療費の領収書がないと医療費控除の明細書が作成できない!ということになります。また、医療費控除の明細書の記載内容を確認するため、確定申告期限の翌日から起算して5年を経過する日までの間、医療費の領収書(医療費通知を添付したものを除きます。)の提示又は提出を求める場合がありますので、やはり、領収書はなくてはならない、ということになります。
領収書が必要ないケースとは?
ただし、一定の要件に該当した、医療保険者(協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)や組合健保、市役所など)から交付を受けた医療費通知を確定申告書に添付した場合には、医療費の領収書保存が不要になります。なお、令和4年1月1日以後に令和3年分以後の確定申告書を提出する場合は、「医療費通知」に代えて、次のいずれかの書類等を添付できます。
【1】「医療費通知」に記載すべき事項を記録した電子証明書等に係る電磁的記録印刷書面
(QRコード付控除証明書のことをいいます)
【2】 医療費通知情報
(審査支払機関が発行する医療費の額等を通知するXML形式のデータのことをいい、令和3年9月以降の支払い分から対応しています)
領収書をなくしてしまったら?
万一、領収書をなくしてしまった場合、再発行はしてもらえるのでしょうか。領収書等には、再発行はしない旨の記載がされている場合も多いので、一度、医療機関等に相談してみましょう。
再発行をしてもらえなかったら、医療機関等に対して、領収額証明書や支払証明書など、医療費を支払ったことが証明できる書類の発行をお願いしてみましょう。お願いする際には、医療費控除のために使用する旨を伝え、それに対応できる書類の発行が可能かどうか、をあらかじめ確認しましょう。各種証明書等の発行には、手数料がかかるケースも多いため、発行してもらった後に、医療費控除には使用できない証明書だった!ということがないように、あらかじめ確認をすることが重要です。
どうしても領収書や領収額証明書等が入手できない場合
医療費の領収書や領収額証明書等が入手できない場合は、あきらめるしかないのでしょうか?まずは、医療費通知を確定申告書に添付した場合には、医療費の領収書保存が不要になりますので、医療費通知の利用ができないか、を検討しましょう。
最後の手段として、医療費通知が利用できない場合には、だめもとですが、税務署等に相談してみましょう。医療費を支出したことがわかる書類(家計簿など)や、お薬手帳、日付や医療機関名・医療内容等を記載した一覧表や医療費通知として認められない電子データなどなど、領収書等としての証明はできないが、医療を受けたという証明ができる書類等を、できるだけ多く集めて、だめもとで、税務署等へ相談してみましょう。
注:あくまでも、例外ケースとなりますので、原則としては、認められない!ということを前提に、相談してみることになります。(必ず認められるわけではありません。あくまでも相談するということです)
実際の記載方法は?
医療費控除の明細書の2医療費(上記1以外)の明細という欄に記載していきます。記入する内容は、
【1】医療を受けた方の氏名
医療を受けた方の氏名を記入します。
【2】病院・薬局などの支払先の名称
診療を受けた病院や医薬品を購入した薬局などの支払先の名称を記入します。
【3】医療費の区分
医療費の内容として該当するものを全てチェックします。
【4】支払った医療費の額
医療費控除の対象となる金額を記入します。
【5】【4】のうち、生命保険や社会保険(高額療養費など)などで補填される金額
生命保険契約、損害保険契約又は健康保険法の規定等に基づき受け取った保険金や給付金(入院費給付金、出産育児一時金、高額療養費など)がある場合に、その金額を記入します。
※ 保険金などで補塡される金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても、他の医療費からは差し引きません。(これは勘違いしている人が多いので注意して下さい)
日々の領収書等の整理をして、失くさないことが重要です。確定申告期限の直前に、あわてて対応することがないように、日ごろから準備しておくことが大切になります。
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