カスタマージャーニーの基礎知識
マーケティングにおいて、顧客が何を考え、どのように行動するのかを時系列に示したものが、「顧客の旅=カスタマージャーニー」です。この記事では、カスタマージャーニーの基礎知識、カスタマージャーニーマップの作り方や使い方について、詳しく解説します。
■カスタマージャーニー
カスタマージャーニーとは?
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを利用する流れを、「いつ」「どこで」「何を」「どのように体験」してそこに至るのかを時系列に並べ、その時々で顧客が「何を考え」「どう感じたか」の思考や心情を書き加えたもの。認知してから、購入するに至るまでを旅と捉え、一連の行動を時系列で把握する考え方です。これらを1枚のシートに可視化したものがカスタマージャーニーマップと呼ばれる図で、変化するターゲットの行動をより明確に、時系列で把握することができます。カスタマージャーニーマップの作り方とマップ
- ペルソナの設定商品を提供したいと考える顧客像をより具体的にするために、ペルソナを1人設定します。このとき、ターゲットが広い場合はペルソナを複数準備し、それぞれに対しカスタマージャーニーマップを作成するようにしましょう。抽象的な像だと、収拾がつかなくなるためです。
- ペルソナの行動を仮説して設計(横軸の設定)設定したペルソナが、商品やサービスを購入したり利用するまでに、どのような行動をとるのかを洗い出します。このとき、ペルソナの行動を「認知」「興味・関心」「検討」「購入」などの段階に分け、そのフェーズごとの行動を想定してみましょう。ここで設計する段階が、カスタマージャーニーの横軸になります。
- 顧客へのヒアリング、アンケートで仮説を検証するカスタマージャーニーマップを作成する上で、最も重要なのがこの作業です。できるだけペルソナの属性に合った顧客を集め、実際に商品やサービスについてヒアリング調査やアンケート調査を行います。使ってもらうまでの行動を検証し、改めて顧客の声として各段階のペルソナの行動を整理し直し、反映させましょう。
- 縦軸の設定横軸はペルソナの行動の段階によって決めましたが、縦軸は、ペルソナが対象の商品やサービスについて「何で知ったか(タッチポイント)」「どう考えたか(思考)」「何を思ったか(感情)」を中心にするとよいでしょう。また、それらの思考や感情によって起こる問題点や課題について書き込めるフレームもあると、分かりやすいです。
- 完成最後に、それぞれの軸が交わるところでの、顧客の行動や考えなど全ての情報を書き込んでいけば完成です。カスタマージャーニーマップは視覚的に明確で分かりやすいことが求められるので、文章だけで書くのではなく、分かりやすい図も多用するとよいでしょう。
カスタマージャーニーを作成するメリット
1.行動を図解することで、共通認識が持てるカスタマージャーニーでは顧客の行動や思考、心情を図解化します。ペルソナの設定にも言えることですが、予想する見えない対象に対して深堀りして、「このペルソナだったらどのような行動を取るか」を考えることで、関係者が共通認識を持ち、想像しやすくなります。
2.課題を見つけ、解決策を立てやすい
カスタマージャーニーを作成することで、それぞれのフェーズで顧客が何に触れ、どんなときに何を考え、商品にたどり着いたのかを知ることができます。その過程で商品やサービスに対してマイナス思考やマイナスの感情がある場合には、購入に結びつかない場合もあるのです。顧客行動を時系列に可視化して追うことで、これらのマイナス感情が生まれることに対してなんらかのアプローチを仕掛け、未然に防ぐことが可能になります。顧客行動における穴を見つけ、解決策を立てることができるのです。
ビジネスにおける使い方
作成したカスタマージャーニーの使い方としては、商品に至るまでの顧客の購買行動の把握によって、課題を発見することが挙げられます。チャネルやタッチポイント(顧客が対象となる商品やサービスを知るきっかけとなる媒体やSNS)が多様化している現代では、商品を知るまで、買うに至るまでの経路がさまざまです。顧客がどこでどうやって知り、どんなアクションをしているのかを時系列で把握し、顧客が必要とする情報を、必要とするタイミングで提供できているかどうかを見極めていくことで、改善の余地を発見することができます。フェーズごと、心情、思考ごとに、あいまいな根拠からの行動がないかどうかを確認できるのは、カスタマージャーニーならではの活用法です。
まとめ
明確な顧客像をもとに作られたカスタマージャーニーマップは、顧客の行動フェーズを時系列に確認でき、より具体的に顧客について共通認識を持つことができるものとして有効です。最近は簡単にカスタマージャーニーマップを作成できるツールも増えてきています。まずは作ってみて、施策をする上での参考として社内で活用してみましょう。文/鈴木麻理奈