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小規模企業共済等掛金控除とは?年末調整と確定申告が必要?
所得税や住民税を計算する際には、個々人の個人的事情を考慮するために、税金を計算する前に、所得から引くことができる、14種類の所得控除が設けられています。今回は小規模企業共済等掛金控除について解説したいと思います。この控除は、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)に加入する人が増えているため、最近は注目されています。会社員で個人的にイデコをやっているなど、この控除を受けたい人は、年末調整・または確定申告が必要です。会社の給与からそのまま天引きされている人は、年末調整や確定申告は不要です。★書き方をすぐ知りたい人は以下を参照してください
●サラリーマンは年末調整でOK。年末調整の記入方法はコチラ
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小規模企業共済等掛金控除とは
個人が小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等を支払った場合には、その年に支払った掛金の全額の所得控除が受けられます。じつは、原則として、掛金等の全額が控除されるという所得控除は、14種類の中でも、社会保険料控除と、この小規模企業共済等掛金控除しかないのです。節税のためにも必ず申告したいものです。控除できる掛金は3種類
小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等とは何か?具体的には、
1 小規模企業共済法の規定によって独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下中小機構という)と結んだ共済契約の掛金(ただし、旧第二種共済契約は除く)
この内容が控除の名前となっています。
2 確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金又は個人型年金加入者掛金
3 地方公共団体が実施する、いわゆる心身障害者扶養共済制度の掛金
の3種類です。この3種類の掛金を支払った場合には、その全額を控除できる!というものです。
それでは、それぞれの内容を簡単に確認しましょう。
1.小規模企業共済法の規定による共済契約の掛金
国の機関である中小機構が運営する小規模企業共済制度は、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度です。(中小機構HP参照)サラリーマンの方にはあまり馴染みがないかと思いますが、じつは、小規模企業の経営者の間では、比較的有名な制度であり、退職金のない個人事業主の方も利用しています。
また、月々の掛金は1,000~70,000円まで500円単位で自由に設定が可能で、加入後も増額・減額できます。
ただし、掛金納付月数が、240か月(20年)未満で任意解約をした場合は、掛金合計額を下回りますので注意が必要です。
そして、一般貸付制度として、掛金の範囲内(掛金納付月数により掛金の7~9割)で、10万円以上2,000万円以内(5万円単位)の借入れをすることができます。
2.確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金又は個人型年金加入者掛金
こちらには今注目されているiDeCo・個人型確定拠出年金(個人型401k)の掛金が該当します。主に企業型確定拠出年金を導入していない会社に勤めているサラリーマンや個人事業主の方は、この個人型であるiDeCoの掛金が該当します。
そして、企業型確定拠出年金に加入している方には、企業型と個人型の2種類があります。個人型がiDeCo、企業型がマッチング拠出と言われているものです。企業型の掛金は、一般的には、会社が負担するものですが、いずれも会社の負担とは別に、個人が掛金を増やすことができる制度です。
企業型か個人型かの選択は、会社が判断しますので、個人的に選ぶことはできなくなっています。また、掛金の上限額が選択された制度により異なりますので、自分の会社がどの制度を採用しているかの確認が必要です。
確定拠出年金は、原則として60歳まで引き出すことができませんので、節税の効果だけではなく、今後の資産形成、マネープランも考えながら、慎重に検討する必要があります。
3.地方公共団体が実施する、いわゆる心身障害者扶養共済制度の掛金
この制度は、心身障害者を扶養する保護者に万一のこと(死亡・重度障害)があったとき、残された心身障害者の生活の安定と福祉の増進に資するとともに、心身障害者の将来に対して保護者の方が抱く不安の軽減を図ることを目的としています。(東京都福祉保健局HPより)小規模企業共済等掛金控除を受けたい人の手続きは?確定申告の方法
この控除を受ける場合は、確定申告が必要です。確定申告書の小規模企業共済等掛金控除の欄に記入したうえで、支払った掛金の証明書を確定申告書に添付するか提示することが必要です。サラリーマンは年末調整でOK。保険料控除の申告書の記入方法
14種類の所得控除の中には、年末調整で手続きできるものとできないものがあります。この小規模企業共済等掛金控除は、年末調整でも控除可能です。サラリーマンの場合は、支払った掛金の証明書を「給与所得者の保険料控除申告書」に添付して給与の支払者に提出するか、同申告書を提出する際に提示することになります。
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