所得税・住民税の所得控除に注意
個人の所得に対してかかる税金は所得税と住民税です。所得税は国に、住民税は地方自治体に納めています。所得税、住民税とも税額を計算する方法は、ほとんど同じといえます。いずれも、所得(収入から経費をひいたもの)から「所得控除」をひいたものを課税所得とし、この金額をもとに税金が決まります。
この「所得控除」とは、それぞれの家族構成や置かれた事情を勘案しようというもの。所得が一定額以下の配偶者がいれば配偶者控除が、扶養親族がいれば扶養控除を受けられ、課税対象の所得が減額されることになります。
扶養親族は年間所得38万円以下
所得控除の中の扶養控除ですが、この対象の扶養親族となれるのは、納税者と生計を共にし、かつ、年間所得が38万円以下の親族となります。この基準は所得税も住民税も同じです。所得控除における所得税と住民税での違いは、その控除額。住民税の控除(ひかれる)金額は、所得税より低く設定されています。住民税は広く住民が地域社会の費用を分担するものという考えから、所得税より多くを課税対象としています。ですから、住民税の所得控除額は所得税のものより低額になっているのです。
住民税の所得控除額は扶養親族の年齢によって違い、33万円から45万円
住民税の扶養控除は、扶養親族の年齢によって違いがあります。扶養親族の年齢が16歳以上19歳未満もしくは23歳以上70歳未満では、一般の扶養控除が受けられ、その控除額は33万円。19歳以上23歳未満は特定扶養控除となり控除額が45万円と増えます。また、70歳以上になると老人扶養控除となり控除額は38万円。さらに、直系尊属(父母、祖父母など)で同居している場合、同居老親等加算が7万円あり合計45万円の控除額となります。いずれも、前年の12月31日での年齢で考えます。
ちなみに、所得税における控除額は一般の扶養控除は38万円、特定扶養控除は63万円、老人扶養控除は48万円、同居老親等加算は10万円。住民税の控除額と比べて高くなっています。
平成24年から年少扶養控除が廃止
15歳までの子どもなどがいても、扶養控除を受けることができません。これは平成22年度の改正により控除がなくなったものです。「所得控除から手当へ」等の観点から、子ども手当(当時)が創設され、年少扶養控除がなくなりました。また、現在は19歳からの特定扶養控除が16歳から受けられていたのですが、高校授業料の実質無償化に伴い16~18歳までの特定扶養控除としての上乗せが廃止されました。16歳から18歳までの控除が一般の扶養控除になったわけです。
非課税限度額の世帯人員には16歳未満もカウント
15歳までの子どもの数が住民税と無関係かというと、そうでもありません。住民税には非課税限度制度があります。世帯人数や所得に応じて、住民税を課税しないというものです。この非課税限度額の計算では、世帯人数に16歳未満の子どもも人数としてカウントされることになります。会社員では年末調整時に、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を会社に提出していると思います。この一番下の欄に、「住民税に関する事項」の欄があり、16歳未満の扶養親族を記入するところがあります。忘れずに記入しておきましょう。
扶養控除は児童手当(子ども手当)や高校授業料の実質無償化などの政策によって、複雑な体系になっています。子どもの年齢が変わると税額も変わることになりますので、チェックしておきましょう。
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