住民税と所得税の控除額の違いとは?

住民税』とは『広く住民が地域の費用を負担するもの』と定義され『道府県民税』と『市町村民税』をあわせた総称のことを指します。また前年の所得に対して課税され6月から次の年の5月まで1年間支払います。なお1月1日にお住まいの市町村(住民票住所)が一括して徴収しているため仮に転居した場合でも、その年度は1月1日時点の居住市町村に納めます。

一方『所得税』とは国に納める税金でありその年の所得に対して課税されます。サラリーマンは毎月の給与からどちらも天引きされていますが住民税は前年分、所得税はその年分(仮額を源泉徴収として天引き)と覚えておきましょう。

住民税には所得税にない「均等割」という負担も

住民税には所得税と同じようにその方の所得に応じて負担するいわゆる『所得割』と呼ばれるもののほかに『均等割』と呼ばれるものがあります。なお『所得割』も『均等割』も非課税限度額という一定以下の所得なら払わなくてもよいという基準があります。その他預金の利子には『利子割』が、株式取引をされてない方にはなじみが薄いかもしれませんが『配当割』『株式譲渡割』というものもあることも知っておきましょう。

個人住民税の種類

個人住民税の種類



住民税の非課税限度額とは

住民税を払わなくてよい人として『生活保護法による生活扶助を受けている方』『障がい者、未成年者、寡婦または寡夫、で前年中の合計所得金額が125万円以下の方』があげられますが、そのほかにも『非課税限度額』という制度があり『所得割』と『均等割』それぞれで所得金額がこれ以下なら支払わなくてよいという基準が定められています。

所得割(全国同じ):所得金額≦35万×世帯人数+32万(扶養親族がいれば加算)
均等割(1級地):所得金額≦35万×世帯人数+21万(扶養親族がいれば加算)
(2級地):所得金額≦31.5万×世帯人数+18.9万(扶養親族がいれば加算)
(3級地):所得金額≦28万×世帯人数+16.8万(扶養親族がいれば加算)


ここで注意いただきたいのは収入ではなく所得の基準であることです。例えば収入が給与のみのサラリーマンの方ならば『給与収入』から『給与所得控除』を引いた額のことです。

また世帯人数は本人+扶養している家族のことですが、上に書いた『所得割』を例にとると扶養している親族が一人でもいると32万が加算されます(均等割も同じ考え方)また『所得割』の『非課税限度額』基準は全国同じですが『均等割』の基準は居住地の生活保護基準の級地区分(1級、2級、3級)によって異なっていることには注意が必要です。お住まいの地域がどの等級に該当するかはホームページ等で確認したほうがよいでしょう。

非課税限度額
(所得)
所得割 均等割
(1級地)
均等割
(2級地)
均等割
(3級地)
本人のみ 35万 35万 31.5万 28万
本人+扶養親族 1人 102万 91万 81.9万 72.8万
本人+扶養親族 2人 137万 126万 113.4万 100.8万
本人+扶養親族 3人 172万 161万 144.9万 128.8万
*扶養親族には16歳未満の年少扶養親族も含めることができます*
図2:非課税限度額表


所得控除にも違いが

住民税も所得税と同じように各種の所得控除を引いた後の課税所得に税率をかけて税額出すという流れは変わりません。なお所得控除の項目は同じですが控除額が同じものと異なるものがあります

控除額が同じ項目:雑損控除医療費控除社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除

この項目については算出の計算式や控除金額は所得税のそれと全く同じです。逆に言うとここで挙げた項目以外はすべて所得税の控除額と異なります。控除金額が異なる項目のうち人的控除(いわゆる人に関わる控除)については以下の表にまとめてみました。

所得控除 住民税 所得税
基礎控除 33万 38万
配偶者控除 33万 38万
老人配偶者控除 38万 48万
配偶者特別控除 上限33万 上限38万
扶養控除(一般) 33万 38万
特定扶養控除 45万 63万
老人扶養控除 38万 48万
同居老親等扶養控除 45万 58万
障害者控除 26万 27万
特別障害者控除 30万 40万
同居特別障害者控除 53万 75万
寡婦・寡夫控除 26万 27万
特定寡婦控除 30万 35万
勤労学生控除 26万 27万
図3:人的控除対比一覧

控除金額が異なる項目のうち物的控除については以下の表の通りです。
所得控除 住民税 所得税
生命保険料控除(新) 合計控除7万上限 合計控除12万上限
一般・介護・個人年金 各2.8万上限 各4万上限
生命保険料控除(旧) 合計控除7万上限 合計控除10万上限
一般・個人年金 各3.5万上限 各5万上限
地震保険料控除 合計控除2.5万上限 合計控除5万上限
地震保険 各2.5万上限 各5万上限
(旧)長期損害保険 各1万上限 各1.5万上限
*生命保険料控除を(新)(旧)両方で受ける場合は各上限が2.8万(所得税4万)かつ合計控除限度上限は7万(所得税は12万)*
図4:物的控除対比一覧


住民税と所得税の税率にも違いが

『所得税』は所得が多くなれば税率も高くなる『累進課税』を採用しており、税率は5%~45%です。一方で住民税の税率は基本的に一律で以下の通りです。これを『標準税率』といいます。

所得割=道府県民税4%+市町村民税6% 合計10%
均等割=道府県民税額1500円+市町村民税額3500円 合計5000円


自治体によって住民税の税率が違うってホント?

結論から言うと税率が違う自治体があるというのはホントです。基本的には先ほどお示しした『標準税率』なのですが、自治体は条例によって独自税率を定めることができるので、例えば『所得割』では道府県民税率4%に対し神奈川県は4.025%、市町村民税率6%に対し名古屋市では5.7%と異なることや、『均等割』にしても道府県民税額1500円に対し1800円(神奈川県)~2700円(宮城県)、市長村民税額3500円に対し3300円(名古屋市)~4400円(横浜市)など自治体によって幅があります。詳しくはお住まいの自治体のホームページなどで確認してみてください。

平成30年度(2018年度)から政令指定都市では税率の変更が

平成30年度(2018年度)からは政令指定都市において、今まで県が負担していた教職員の給与負担等を市町村がすることになりました。そのため個人住民税の所得割において道府県民税を2%減らす一方で市町村民税を2%増やす財源移譲が行われます。例えば先ほど例に挙げた神奈川県の中の政令指定都市(例えば横浜市)では道府県民税が2.025%に市町村民税が8%になることが決まっています(個人住民税の所得割合計税率は変わらないので今までに比べてお住まいの方の負担は増えません)

住民税にも関心を持とう

所得税と比べると住民税については話題に上らないし、詳しいという方もあまり聞いたことがありません。理由の一つとして所得税の確定申告が終わるとそのデータをもとに住民税は自治体が計算してくれるため個人が関わりを持つことが少ないことがあげられるかと思います。

引っ越したら以前住んでいた地域に比べ住民税が高い、低いなどの話題(間違いではないですが月額に換算すると……)もよく理解していない方が多いからだと思います。この記事を読むことで皆さまが正しく答えられるようになっていただけると嬉しく思います。

執筆・監修/井出やすひろ(CFP・一級FP技能士・MR)

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