Wi-Fi(無線LAN)機器の同時接続による弊害は?検証してみた
かつては、1台のWi-Fi(無線LAN)ルーターに複数の端末を接続すると目に見えて速度が低下した。特に動画の視聴に弊害が発生し、「動きがカクカクする」「音声が途切れる」、激しいときは「動画が止まってしまう」といった現象がみられた。そこで、現在(2017/12)販売されているWi-Fi(無線LAN)ルーター3機種で同時接続数と速度の関係を検証した。はたして、同時接続数を増やしていき回線に負荷をかけると速度はどの程度落ちるのか? Wi-Fi(無線LAN)ルーターの機種によって差が出るのか?
Wi-Fi(無線LAN)ルーターの購入を検討している人、買い替えを検討している人は是非参考にしてほしい。
<目次>
- 調査したWi-Fi(無線LAN)ルーター(特徴と公称速度)
- 同時接続時の速度調査方法
- 測定結果:速度低下は確認できたが目に見えて下がる様子はない
- Wi-Fi(無線LAN)ルーターの能力不足によ速度低下は少ない
調査したWi-Fi(無線LAN)ルーター(特徴と公称速度)
調査したWi-Fi(無線LAN)ルーターは、以下の3機種だ。3機種とも、IEEE802.11ac+IEEE802.11nでの接続に対応している。(注1)表記は、IEEE802.11ac+IEEE802.11n時の公称速度
■WXR-2533DHP2 BUFFALO(株)
特徴:BUFFALO製Wi-Fi(無線LAN)ルーターシリーズ中最高速度の機種。CPUも高速で負荷に強い。価格は、比較的高価
公称速度:1733+800Mbps(注1)
仕様詳細
■WSR-2533DHP BUFFALO(株)
特徴:公称速度は前機と同じだが、コンパクトな作りになっている中級機種。価格は、普及機器に近付いている
公称速度:1733+800Mbps(注1)
仕様詳細
■WSR-1166DHP3 BUFFALO(株)
特徴:リーズナブルな普及機種。価格の割に性能がよいため、よく売れている
公称速度:866+300Mbps(注1)
同時接続時の速度調査方法
各Wi-Fi(無線LAN)ルーターに、動画を再生した端末を順に接続していき、回線に負荷をかけた状態で速度を計測する。1回目は「AQUOS TV」で負荷をかけて計測、2回目は「AQUOS TV」と「iPad Pro」で負荷をかけて計測、6回目は6台の端末全てで負荷をかけて計測……といった具合だ。
接続する端末と接続順は、以下の通り。負荷は、併記した動画を再生することでかける。
接続順1:AQUOS TV
動画:Amazonプライム・ビデオ(オートマタ) 接続順2:iPad Pro
動画:Amazonプライム・ビデオ(オートマタ)
接続順3:BRAVIA TV
動画:You Tube HD動画(Fireplace romantic Full HD and 4K) 接続順4:iPhoneSE
動画:Amazonプライム・ビデオ(ソロモンの偽証)
接続順5:Zenfone2
動画:You Tube 【HD高画質】シパダンダイブサファリ【GoProHD2】
接続順6:iPhone5
動画:You Tube ヒカキンTV生配信!1時間みんなと雑談♪
測定は、iperf3を利用し、無線LANで接続したノートパソコンをクライアントに、有線で接続したデスクトップをサーバとした。測定は、10回連続して測定し、その平均を取った。
サーバー側実行コマンド:iperf3 -s
クライアント側実行コマンド:iperf3 -c 192.168.11.13 -w 1024k
クライアントは、距離の影響を避けるため、Wi-Fi(無線LAN)ルーターと同じ部屋に設置した。
測定結果:速度低下は確認できたが目に見えて下がる様子はない
さっそく測定結果を見ていこう。単位はすべてMbps(Mbits/sec)だ。・WXR-2533DHP2
無負荷 | 664Mbps |
---|---|
AQUOS TV | 661Mbps |
iPad Pro | 653Mbps |
BRAVIA TV | 623Mbps |
iPhoneSE | 621Mbps |
Zenfone2 | 586Mbps |
iPhone5 | 572Mbps |
無負荷 | 525Mbps |
---|---|
AQUOS TV | 517Mbps |
iPad Pro | 486Mbps |
BRAVIA TV | 475Mbps |
iPhoneSE | 474Mbps |
Zenfone2 | 473Mbps |
iPhone5 | 471Mbps |
無負荷 | 525Mbps |
---|---|
AQUOS TV | 494Mbps |
iPad Pro | 441Mbps |
BRAVIA TV | 421Mbps |
iPhoneSE | 410Mbps |
Zenfone2 | 390Mbps |
iPhone5 | 373Mbps |
下のグラフは、上の値をグラフにしたものだ。上から順に
「水色:WXR-2533DHP2」
「朱色:WSR-2533DHP」
「鶯色:WSR-1166DHP3」
となっている。
Wi-Fi(無線LAN)ルーターの能力不足によ速度低下は少ない
グラフを元に考察してみよう。まず、結論から言うと以下の通りだ。・利用しているインターネット回線の帯域さえ十分であれば、ここで試した程度の同時接続に問題は発生しない。
ここでは、6通りの負荷をかけているが、測定の負荷(1秒間に50~60 MBytes)を入れれば7通りの負荷となる。
グラフの数値からでも動画の視聴に問題が無いことが分かるが、試しに最高の負荷がかかっている状態でiperf3のサーバーが作動しているデスクトップ(有線)で、YouTubeのHD動画も再生してみた。結果だが、問題なく視聴できた。
そのほかの考察を下に挙げる。
・上位機種ほど、負荷がかかっても速度の低下が少ない。
・普及機種でも、本検証では、能力不足で同時接続に問題が起こることは無かった。
・WSR-1166DHP3は普及機種だが、無負荷の速度は中級機種と同じ。ワンルームマンションなどに最適だろう。
このように、最近の無線LAN機器の性能は、普及機種でも、かつての最高級機種と肩を並べていることがわかる。今回は、距離による負荷は対象外としたが、3LDKといった環境であれば、無理して上位の機種を選択する必要はないだろう。
【検証機材】
BUFFALO 11ac/n/a/b/g 無線LAN親機(Wi-Fiルーター) Giga ビームフォーミング対応 866+300Mbps WSR-1166DHP3-BK
BUFFALO 無線LAN親機 11ac/n/a/g/b 1733+800Mbps Giga ゴールド【Nintendo Switch動作確認済】 WSR-2533DHP-CG
BUFFALO 無線LAN親機 11ac/n/a/g/b 1733+800Mbps ハイパワー Giga 1.4GHzデュアルコアCPU搭載 WXR-2533DHP
【関連記事】