「成人式」の由来、年齢
出生、成人、結婚、死など、人が成長する過程で行われる儀礼を「通過儀礼」といいます。人生の通過儀礼として、社会的に大人になったことを祝うのが「成人式」です。成人式は、奈良時代に起こった「元服(げんぷく)」に由来しています。「元服」の「元」は首(頭)、「服」は着用という意味で、公家や武家において、成人男子の通過儀礼として頭や服を改めました。男子は、数え年で12歳~16歳ぐらいで「元服」の儀式を行い、髪を結い、服を改め、公家では冠、武家では烏帽子を着用しました。また、幼名から実名を名のるようにもなりました。
女子の場合は、13歳ぐらいで「髪上げ」「裳着(もぎ)」の儀式が行われ、髪を結って裳を着用するようになりました。また、江戸時代以降は、女性が結婚をして丸髷を結い、地味な着物に改め、眉を剃り、お歯黒をしたりすることを「元服」と呼ぶようになりました。(成人式にかかせない「振袖」の由来については「成人式の「振袖」は良縁につながるってホント?」をご覧ください)
日本の成人(成年年齢)が20歳とされてきたのは、明治29年に制定された民法によるものです。他の国では18歳が主流です。日本でも2022年4月1日から18歳に引き下げられました。(詳しくは「成人の日の由来・成年年齢の今昔とこれから、20歳から18歳への引き下げで何が変わった?」をご参照ください)
1月15日だった「成人の日」
「成人の日」は、「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝い励ます」趣旨の国民の祝日です。現在は1月第2月曜日ですが、2000年にハッピーマンデー制度で改定される前は、1月15日でした。1月15日は小正月にあたり、かつて小正月に「元服」が行われていたからだといわれています。「成人の日」が1月15日だったころは、前年の1月16日から、その年の1月15日までに誕生日を迎える新成人を祝っていました。
改定後は、前年の4月2日から、その年の4月1日までに誕生日を迎える新成人(学齢方式)になりました。
「成人式」の案内状はどこから届く?
いわゆる「成人式」の式典は自治体が開催しているため、案内状は住民票をおいている市区町村から届きます。なお、成人式の式典を「成人の日」以外に開催するところも少なくありません。地元を離れて就職・進学する人の多い地域や豪雪地では、ゴールデンウィークやお盆などに開催したほうが参加しやすいからです。成人式は「冠婚葬祭」の「冠」
成人式は「冠婚葬祭」の「冠」にあたります。「冠婚葬祭」といえば、一般的には慶弔の儀礼や年中行事をさしますが、本来は四大儀礼である成人式、婚礼、葬儀、先祖の祭祀(お盆や法事)をさしています。前述のとおり、「成人式」は「元服」に由来し、「元服」の際に冠をつけたため、「冠婚葬祭」の「冠」となりました。
いまどきは成年以外の成人式も!?
最近は、20歳の半分である10歳の門出を祝う「二分の一成人式」、社会的責任が増してくる30歳に激励の意味を込めた「三十路成人式」、還暦から20年経った80歳を祝う「熟年成人式」などを行うところもみられます。いずれもイベント的要素が強いのですが、少子化や長寿社会を背景に今後どうなっていくのか、注目したいところです。【関連記事】