21時以降の遅い食事が健康によくない理由
夜食は良くないとわかっていても、どうしても避けられない場合もあります
また食事と就寝の間は2~3時間あけないと、食べたものが、睡眠前に消化しきれず、胃腸が働き続けることになります。そうなると、たとえば22時に夕食をとった場合、眠れるのは早くても0時過ぎ。体のためには十分な睡眠も必要ですから、「21時までの夕食」は体にとってごく自然なことだといえます。
もしも、あなたが毎朝のように胃がもたれる不調を感じているなら、遅い時間の飲食が原因かもしれません。また、胃の中に大量に食べものが残っていると、就寝後も胃が働きつづけて、いわば消化器官はフル稼働状態となってしまうため、なかなか寝つけなくなる場合もあります。
夕食は脂質を控えて消化によいものを
夜遅い時間の食事が体に悪いとわかっていても、生活が多様化している現代人には、避けられないこともあるでしょう。また、深夜の飲食が体によくないからと、夕食を抜いてしまうのも問題です。あなたは「空腹で眠れない」、という経験をしたことはありませんか? これは、前の食事から時間が経ち過ぎているために、内分泌臓器が何かを食べるように胃に呼びかけているからです。それでも胃の中が「から」だと、肝臓などが、体内で必要な栄養素を作りだそうとするため、脳も内臓も覚醒状態となってしまうからです。それよりは、夜遅い時間でも適度に食べたほうがよいでしょう。もちろん、消化のよいもので、いつもの夕食よりも少なめにします。
夜は消化器系の臓器が休息に向かうタイミングなので、臓器のはたらきはにぶくなっています。消化に時間がかかる牛肉のステーキやカツ丼、唐揚げ定食、ハンバーグなど脂質の多い食事は避けるようにしてください。夕飯後は運動もしないでしょうから、エネルギー源になる糖質は多くは必要ありません。夕食は、1日の活動で消費された栄養を補うためと考えて、食べ過ぎないようにするのがポイントです。
当然ですが、夕食時にはアルコールも控えめにするのが理想的。冷たい飲み物は内臓の休息モードに逆行するので、一日の終わりに近い時間帯は、飲み物は温かいものをとるようにしましょう。
遅い時間に夕食や夜食をとるときの注意点
どうしても夕食の時間が遅くなるなら、「分食」がおすすめです。分食はその字の通り、食事を分割して食べるということです。夕食までのつなぎとして、17~18時くらいに軽い食事をとりましょう。昼食後から次の食事までに長く時間があくと、血糖値が低下してしまいます。分食はこれを防止し、帰宅後遅い時間の食べ過ぎを防ぐことにもなります。軽い食事には、おにぎりやサンドイッチなど、糖質をメインにしてもかまいません。片手で食べられるようなバータイプの栄養調整食品を活用するのもよいでしょう。もちろん帰宅後の夕食も軽くします。
なお、20時を過ぎると活動量の低下に伴い、糖質が余りがちになるため、脂肪に変わりやすくなります。夜遅い食事には糖質の多いものは控え、メニューは野菜を中心にしましょう。野菜は消化をよくするために、汁物や煮た物がよいでしょう。低カロリーのものを選ぶと、内臓への負担も少なくなります。小腹がすいたときの夜食は、手軽な麺類やお茶漬けなどになりがちですが、ビタミンやミネラルを含む野菜を意識的に食べるようにしましょう。(監修:管理栄養士・一政 晶子)