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銀浮き&塩吹きが出た時・雨天後の革靴の手入れ&修理方法

ゲリラ豪雨などひどい雨天の日に履いた革靴で起こりがちな銀浮き・塩吹きについて、原因と修理方法をお話致します。放置したりいい加減に対応してしまうと革の劣化に直結し、靴の寿命を大幅に縮めてしまう危険のあるトラブルですので、十分気を付けてください!

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

革靴の塩吹きお手入れ方法

銀浮き&塩浮きが出た時・雨天後の革靴の手入れ&修理方法

激しい雨の後、アッパーの履きジワの部分やアウトソールとの境目に赤丸で囲ったような「白いシミ」が出ていた経験ありますよね。これが「塩吹き」です。


例えば、雨の日に履いている靴のアッパーの表面に、いつのまにやら上の写真のように「白いもの」が浮き出ていた経験をなされた方、多いのではないでしょうか?これはカビではなく、俗に言う「塩吹き」。特にアッパーにスムースレザーを用いたもので起きがちな現象で、折角綺麗にお手入れした靴であったとしても、これ、起こる時には起きてしまう厄介モノです。「塩吹き」がなぜ起きてしまうのか、まずは原因を探っておきましょう。

一つは、アッパーの革を鞣す過程で内部に残ってしまった薬品。靴のアッパーに用いる「クロム鞣し」の革では、製造の際に腐らなくさせる目的でイオン化合物=塩類を含んだ薬品が用いられ、「革」として完成した後も人体に影響がない程度にそれが極僅かに残留しているのです。もう一つは、足にかく汗!靴を履いていると内部で足部が必然的に発汗しますが、それには例えば尿素や乳酸・アミノ酸などと共に塩分が含まれています。

革が通常の状態であれば、アッパーに吸収されたそれらの殆どは外気に順調に放出されて行きます。しかしそれが一定以上水濡れしてしまうと、これらの放出が鈍ってしまい、乾き始める段階でこれらが革の表面に、正に塩状に析出するのです。そう、これが「塩吹き」!この状態の解決補法は、さほど難しくありません。つまり析出しているものを除去してしまえば済むのですが、実はこれ、普段お手入れに使っているクリーナーでいとも簡単に落とせるのです。
クリーナー

塩吹きの解決方法は簡単! 素直にクリーナーの類で落ちます。ゴシゴシ擦ったり上からいきなり靴クリームを塗ったりは、絶対に禁物です。


別にゴシゴシ強く拭かなくても、いつもと同じ使い方で綺麗に落とせます。逆にこの上からいきなり靴クリームの類を塗ってしまうと、この「塩」がこびり付いてしまい、かえって落とすのが困難になる場合もあります。どうか焦らないで、帰宅後にまずクリーナーを用いて落として下さい。
 

銀浮きは早めに包む!革靴修理方法

銀面浮き

青丸で囲った革の一部がプクッと盛り上がっている個所が、「銀面浮き」を起こしているエリアです。放っておくと見栄えが悪いだけでなく、革にひびが入る原因にもなります。


雨天にお気に入りの靴を履かざるを得なかった後、「塩吹き」は無事解決できたのだけれど……靴をゆっくり乾かしてみたら、アッパーにいつの間になんか変な凸凹が生じている…こんな経験をされた方も多いのではないでしょうか?

クリーナーを用いても解決できないこの現象は「銀面浮き」と呼ばれ、スムースレザーの中でも銀面の残っているいわゆる「銀付き革」で起こりがちなものです。逆に言うと、雨が降った後でこれが起きてしまったアッパーは、あまり余計な加工のされていない良質な革とも言えます。

この銀面浮き、要は一種の水ジミと考えていただいて結構です。つまり革の中で水分が偏在する一方で、一種の排気口のような感じで局所的に乾燥しているから起きている現象です。そしてこの原理が解ってしまうと、直す方法も自ずと浮かんでまいります。そうです、革の中の水分を均等に戻してあげれば、これは解消する、はずです。

ではどうやって?実はこちらも簡単なんですよ。クリーナーで汚れや塩吹きを除去した後、おしぼり程度に濡らした雑巾やキッチンタオルの類を、銀面浮きの周囲だけでなく靴のアッパー全体に湿布するように包んで、一晩放置するだけ!翌朝それを取り除くとアーラ不思議、銀面浮きは大抵なくなっています。
キッチンタオルで湿布

ちょっとドキッとする写真ですが、銀面浮きの最適な解決方法がこれ! 翌朝には靴もキッチンタオルもしっかり乾き、銀面浮きも消えています。


つまり、もう一度きれいな水分を革全体にフルに染み込ませた上で、それを均等に取り除くのを通じ、言わば革の地慣らしをやり直すのです。そのままの状態で長期間放置してしまったり、いきなり靴クリームを上から塗り込んだりすると、回復が不可能になるばかりでなく、ひび割れ等を引き起こす原因にもなりかねません。どうか早めに処置してあげて下さい。

ということで、今回は雨降りの時季に起こりがちな革のトラブルについて、解決方法をお話し申し上げました。どちらも「そうなってしまった理由を知る」のと共に、「作業を焦らない・省略しない」のが上手く克服するためのポイント。「せっかくなのでいつも以上に丁寧にお手入れしよう!」 などと思いつつ、じっくり取り組んでみて下さい!

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