2年前と比較すると、購入できる物件価格は200万円プラスに

日銀のマイナス金利政策の影響で、住宅ローン金利は相変わらず最低水準。若干の金利上昇はありますが、それでも住宅購入を検討している人にとっては、まさに借り時?という状況です。しかし、こういうときに資金計画を甘く考えてしまうと、のちのち返済困難に陥ってしまうキケンも潜んでいるのです。

老後破たんを避けるために

老後破たんを避けるために



2年前のフラット35(融資額9割以下、返済期間21年以上)の金利は1.58%でした。仮に、毎月返済額8万円、ボーナス返済なし、返済期間35年で試算すると、借入可能額は2580万円。2017年7月現在の金利1.09%では、借入可能額は2790万円となり、2年前と比較して約200万円多く借りられる計算になります。頭金が500万円だとすると、2年前は同じ条件で購入できる物件価格は3080万円。現在は3290万円までが可能です。

購入可能な物件価格が上がれば、それだけ選択肢は多くなります。そこに、資金計画を甘く考えてしまうキケンがあるのです。毎月8万円が家計に無理のない返済額であったにも関わらず、金利が低いからという理由で、融資額を増やし、結果、毎月返済額を増額させてしまうことです。少し頑張れば手が届くとばかりに、当初の計画から逸脱してしまうのです。

もし頭金500万円で4000万円の物件を購入しようとすると、借入額は3500万円。毎月返済額は約10万円になります。当初予定から2万円のオーバー。年間で24万円負担が増えるわけです。最初は、家計を切り詰めれば、なんとかなる、と思っていても、その先、10年、20年先に何が起こるかわかりません。毎月の赤字分をボーナスで補てんするようになったり、節約生活が続くことに嫌気がさしてしまう可能性もあります。昇給の見込みが不確定な状況で、返済負担が重くなることを安易に考えてはいけません。

返せる額が借りられる額。基本の借り方は変わらない

時代とともに、お金のセオリーは変化していきますが、基本となる部分は変わらないものです。住宅ローンでいえば、金利は上下したり、新しい仕組みのローンが出てきたりと変化はありますが、基本となる「返せる額が借りられる額」というのは変わりません。毎月8万円がムリなく返せる額であれば、ローン金利が下がったからといって、借りられる額を増やしていいことにはなりません。

基本の考え方は、
1) 毎月返済額で無理のない金額を設定し、借りられる額を試算する
2) できるだけ毎月返済のみで試算、ボーナス返済は補完的にとらえ、1~2割程度にとどめる
3) 35年返済で試算し、繰り上げ返済をうまく活用する
4) 頭金の不足を気にしすぎて購入を後送りすると、定年退職後も返済が続く可能性大。
5) 必ずしも、60歳定年とは限らない。また、退職金をあてにした資金計画はキケン
6)夫婦でそれぞれローンを借りるなら、妻は低金利の変動金利で早期返済を


挙げればキリがありませんが、上記6つのポイントを抑えておけば、ムリな資金計画をすることもないでしょう。

60歳で完済を目指さなくてもいい。収入を得る道も視野に

最近は、晩婚化の影響で住宅購入の時期が遅くなり、60歳定年時にも住宅ローンが残っていることも多く、預貯金金利の低下で頭金が増えず、借入額を増やす傾向にもあります。しかし、50代に入ると、子どもの教育資金がもっとも重くかかる時期にさしかかり、教育費と住宅ローンの返済で、自分たちの老後資金を準備する時間が足りなくなります。今は、返せる額の住宅ローンであっても、教育費とダブルの負担に耐えられるのか、そういった観点も必要になるでしょう。

前述の基本の考え方3で「35年返済で試算する」と書きましたが、仮に毎月返済額を少し増やせる余裕があれば、30年返済、25年返済でローンを組むこともリスク回避になります。今は返済に問題がなくても10年後に負担が重いと感じたときに、35年返済に延長し、毎月の返済負担を減らすことが可能になるからです。

また、定年退職前に完済を目指そうと、こまめに繰り上げ返済をするのも大事なことですが、あまり無理をしすぎないことです。教育費のめどが立つまでは、あえて繰り上げ返済をせずに、その分を教育費に回すということもひとつの考え方です。少なくとも住宅ローン控除を受けられる期間は、所得税軽減の恩恵を受けるのもいいでしょう。

退職金で住宅ローンを完済すれば、すっきりするかもしれませんが、65歳まで再雇用、継続雇用で収入を得られるようなら、必ずしも退職金で精算することがいいとは限りません。老後資金の準備も十分でないままに、退職金がローン返済でなくなってしまうのは、さらに不安を高めてしまうことになりかねません。

住宅ローンは借りるときの状況だけではなく、教育費との兼ね合い、退職金をどう活用するのか、退職後も返済が続くなら、働き方はどうするのか、といった長期的なライフプラン、将来のイメージをもっておくことが重要です。住宅ローンが老後破たんの始まりとならないような、資金計画をしっかり立ててください。

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