三銃士

8月6~8日=日生劇場
『三銃士』提供:日生劇場undefined撮影:三枝近志

『三銃士』提供:日生劇場 撮影:三枝近志

【見どころ】

『サ・ビ・タ~雨が運んだ愛~』『お・ど・ろ』などで知られる中島淳彦さん作で11年に上演された日生劇場版ミュージカル『三銃士』が、待望のリメイク上演! ダルタニアンと三銃士たちが友情と勇気を糧に、困難に立ち向かう姿を描きます。

今回の第一の話題は、短期公演とは思えないその豪華キャスト。 ダルタニアン役には今秋『ミス・サイゴン』クリス役を演じる予定の小野田龍之介さん、アトス役には癖のある悪役から二枚目まで幅広く演じ分ける今拓哉さん、アラミス役には『1789』での雄姿が記憶に新しい上原理生さん。ほか福井貴一さん、沼尾みゆきさん、樹里咲穂さんら、今を時めくミュージカルスターたちが出演します。またTVで知名度抜群のなだぎ武さん、芋洗坂係長も重要な役を演じ、ファミリーミュージカルということで、ミュージカルを観たことのない層にもアピールします。

音楽監督・指揮は『天使にラブ・ソングを』でもノリノリの指揮で場内を明るく、華やかな音楽空間に染め上げていた塩田明弘さん。今回も三銃士たちの冒険を音楽面からいっそう楽しく、スリリングに盛り上げてくれることでしょう。

【観劇ミニ・レポート】

『三銃士』提供:日生劇場undefined撮影:三枝近志

『三銃士』提供:日生劇場 撮影:三枝近志

広々としたホワイエ、赤い絨毯に流線の優雅な意匠が印象的な客席。会場の日生劇場は子どもたちをたちまち“非日常の世界”へ誘います。筆者の6歳の子もロビーに並ぶふかふかの椅子を見て「後であそこで休憩しようね」と嬉しそう。
『三銃士』提供:日生劇場undefined撮影:三枝近志

『三銃士』提供:日生劇場 撮影:三枝近志

ロビーで借りたクッションを座席にセットし、子供を座らせると、ダルタニアンの「行くぞ!」の声が響き、塩田明弘さん指揮によるわくわくするような生オケの音色とともに、幕が上がります。剣の腕を磨いてきたダルタニアン(小野田龍之介さん)は、銃士隊に入るべくパリへ向かう途中、悪者・リシュリュー枢機卿(福井貴一さん)と悪女ミレディ(樹里咲穂さん)にそそのかされ、三銃士のアトス(今拓哉さん)、ポルトス(なだぎ武さん)、アラミス(上原理生さん)と決闘することに。キックスクーターに馬の頭をつけてダルタニアンが疾走したり、ポルトスはなぜか自転車に乗って登場したり。子供たちが大好きな(?)お下品ジョークも飛び出すなど、前半はあの手この手で(?)場内を沸かせ、フランスの時代劇を身近に引き寄せます。その後、場面は宮廷、そしてイギリスへと移り、悪者たちのたくらみから王妃アンヌ(沼尾みゆきさん)を救うべく、仲間となったダルタニアンと三銃士が活躍。序盤のリラックス感は持続しつつも、長大な原作物語を正味2時間の上演時間にコンパクトにおさめています(脚本・中島淳彦さん)。
『三銃士』提供:日生劇場undefined撮影:三枝近志

『三銃士』提供:日生劇場 撮影:三枝近志

3日間きりの公演がもったいない顔ぶれの出演陣は大人の観客の期待にも応え、ダルタニアン役の小野田さんは若さに似合わぬ(?)抜群の安定感で歌とダンス・立ち回りをこなし、主人公としての頼もしさ十分。ダルタニアンの父役も兼ねる今さんには“大人の男”の余裕が漂い、なだぎ武さんはアドリブも駆使して大いに笑わせ、上原理生さんは“洒落男”役が楽しそう。また福井さん、樹里さんは勧善懲悪物語に不可欠な手ごわい悪役を憎々し気に演じ、特に樹里さんは王妃のダイヤモンドを盗み、逃げ回った挙句に……と見せ場の多いミレディを、コミカルな味を徐々に拡大しながら“怪演”。芸達者ならではの芝居で舞台を大いに盛り上げます。
『三銃士』提供:日生劇場undefined撮影:三枝近志

『三銃士』提供:日生劇場 撮影:三枝近志

1幕終わりには「イ~ギ~リ~スへイ~ギリスへ」と明るく、簡明なメロディのナンバー(作曲・NAOTOさん)を観客と振り付きで歌う場面も。筆者の子供も立ち上がって楽しそうに参加していましたが、カーテンコールにもこんな趣向があれば、子供たちはさらに“ミュージカルの楽しさ”を体に刻み付けることができるかも。そう思えるほど、アンサンブルを含む歌声やオーケストラピットからの音の響き具合も美しい、贅沢な公演です。

美女と野獣

8月28日まで=キャナルシティ劇場
『美女と野獣』撮影:荒井健

『美女と野獣』撮影:荒井健(C)Disney

【見どころ】

夏休みに旅行や帰省で国内を移動される方も多いかと思いますが、九州方面に行かれるならば、見逃せないのがこの舞台。今や世界のミュージカル界の大きな柱であるディズニーがミュージカルに参入した記念すべき第一作で、花火も飛び出す華麗なダンスナンバー、いまだに仕掛けが謎のままの変身シーンなど、ディズニー・アニメのイメージそのままの、マジカルで華麗な演出が特色です。

そのいっぽうで、村では“変わり者”と呼ばれていた読書好きのヒロインが、囚われていたはずの城で心の居場所を見つけ、彼女の優しさによって野獣も少しずつ内面的な成長を遂げるというヒューマン・ストーリーもしっかりと描写。ストーリーを既に知っていても、結末にはほろりとさせられます。
上演劇場は博多駅から徒歩圏にあり、アクセスも楽々。夏の思い出作りに、ぜひ!

【観劇ミニ・レポート】
『美女と野獣』撮影:荒井健

『美女と野獣』撮影:荒井健(C)Disney

5か月にわたった福岡公演も終盤を迎え、連日、家族連れを中心とした観客で盛況の『美女と野獣』。日下武史さんの名ナレーションで始まる舞台は滑らかに観客を“おとぎの世界”へと誘い、ディズニーの舞台進出第一作らしく、キャラクター(特にガストン)にはアニメ的な誇張の効いた動きが随所に見受けられます。(この日のガストン役=田島亨祐さんを観て、6歳のわが子は“アニメのガストンみたい!”と大喜び)。
『美女と野獣』撮影:荒井健

『美女と野獣』撮影:荒井健(C)Disney

ベル役の平田愛咲さんは絵本から飛び出してくるような生命力に満ち、父を探して単身森の中へと分け入ったり、恐ろしい野獣を前にして父の身代わり役を申し出たりといった勇気ある振る舞いもしごくナチュラル。対して、ビーストは稚気を強調して演じられることの多い役ですが、佐野正幸さんが演じるこの日のビーストはフルに体を覆ったこしらえにもかかわらず“隠せないロイヤル感”が漂い、格調高い歌声もあいまって物語世界をロマンティックに染め上げます。
『美女と野獣』撮影:下坂敦俊

『美女と野獣』撮影:下坂敦俊(C)Disney

城内の様々な“モノ”に変えられてしまった召使たちはルミエールの岩城雄太さん、コッグスワースの青羽剛さん、ミセス・ポットの遠藤珠生さん、タンス夫人の大和貴恵さん、バベットの荒木美保さんと適役揃いですが、特にこの日の岩城ルミエールには従来の同役にない柔らかな優しさがあり、ちょっと気の強いバベットとのやり取りも新鮮。チップ役は子役ではなく、劇団員の澁谷陽香さんが演じていましたが、母親役の遠藤さんとも息が合い、“声の出演”シーンでわが子は完全にトリックが分からず。“あのチップはどうやっているの?”と、後々まで不思議そうにしていました。
『美女と野獣』撮影:荒井健

『美女と野獣』撮影:荒井健(C)Disney

アニメ版ではビーストとベルが恋に落ちるまでを一気に見せてゆくのに対して、舞台版では劣等感と焦燥感に苛まれるビースト、ベルとビーストとの心のすれ違い、相手の新たな一面に気付いた瞬間の驚き等、“そこ”に至るまでの過程をじっくりと見せているのが特色。この日も出演者たちの丁寧な演技が、シンプルなおとぎ話に奥行きを加えていました。この日初めて、舞台を観る喜びを知った子供たちも少なくないことでしょう。
『美女と野獣』撮影:荒井健

『美女と野獣』撮影:荒井健(C)Disney

2階席ロビーにはガストンやドアマット気分を味わえる記念撮影コーナーが3つも設けられ、開演前や幕間、終演後にも作品世界が楽しめます。
2階席ロビーの記念撮影コーナー(C)Marino Matsushima

2階席ロビーの記念撮影コーナー(C)Marino Matsushima

皆さん順序良く並び、後ろの人々を気遣う空気が醸成されているのはここ福岡でも同じ。さすが四季ファン、と誇らしい(?)気分で、劇場を後にしました。