エフェソスの構成資産1. 古代都市エフェソス
セルシウス図書館。エフェソスの統治者セルシウスを偲び、その息子が父の墓の上に図書館を建設した。現在でも地下墓所に石棺が安置されている
公衆トイレ跡。ローマ時代の生活が垣間見られる
南のクレテス通り、セルシウス図書館から大劇場に至る大理石通り、大劇場から西に延びるアルカディアン通り(港通り)、大劇場から北に延びるスタジアム通りの4本の通りを中心とした遺跡で、アルカディアン通りの先に港があった。20以上の遺跡が残されているが、主なものは以下。
■国営アゴラ
160×73mほどの広場で、古代ギリシアのアゴラ同様、立法・行政・司法・宗教の中心で、重要行事が執り行われた。大理石通りにあるアゴラは商業アゴラと呼ばれ、経済活動の中心となっていた。
■ヴァリウス浴場
ヴァリウス浴場。他にスコラスティカ浴場や海の浴場などがあるほか、アヤスルクの丘には数多くのハマム跡が見られる
■プリタネイオン
もともとは、かまどの神ヘスティアを祀った聖所で、巫女たちの手で24時間休みなく聖火が燃やされており、炎は民衆の生活にも利用された。その後、議事堂として改修された。
■ハドリアヌス神殿
ハドリアヌス神殿のアーチ(上)とまぐさ石(下)。まぐさ石に彫られているのは見た者を石に変えるというメドゥーサ像
■トラヤヌスの泉
ローマ皇帝トラヤヌスに献上された泉で、エフェソス山中から引かれた水はここに到達した。人々の飲み水としてだけでなく、火事の際には消火活動にも使用された。
■セルシウス図書館/ケルスス図書館
セルシウス図書館とその周辺
■大劇場とオデオン
遺跡の北にそびえる半円状の劇場が大劇場で、25000人を収容し、文化活動だけでなく闘技場としても使用された。一方、南に位置する劇場は音楽堂オデオンで、1500人ほどを収容した。
エフェソスの構成資産2. アヤスルクの丘、アルテミス神殿および中世の住居群
手前の柱がアルテミス神殿跡。奥に見える城壁がセルチュク城砦 (C) Adam Carr
セルチュク城砦。もともとはセルジューク朝やオスマン朝といったトルコ人やアラブ人の侵略を防ぐために建設された
■城壁とセルチュク城砦
アヤスルクの丘の中心部は城壁に囲われており、その北にはセルチュク城砦が建っている。セルチュク城砦は石とレンガで築かれた城跡で、14世紀の東ローマ(ビザンツ)帝国時代に築かれ、16世紀のオスマン帝国時代まで使用された。城壁や石畳の道路のほか、教会跡・住居跡・雨水の集水設備などが残されている。
■聖ヨハネ教会
アヤスルクの丘にたたずむ聖ヨハネ教会 (C) Jose Luiz Bernardes Ribeiro
■中世住居跡
城壁の内外にはオスマン帝国時代の住居跡や病院跡・水路・ハマム(浴場)・墓地などが点在している。
■イサ・ベイ・モスク
1375年に建設されたモスクで、シリアの世界遺産「古都ダマスカス」のウマイヤド・モスクを参考にデザインされた。57×51mほどの大きさで、2つのドームとミナレット(塔)を有し、大理石で覆われた華麗なモスクだった。
■アルテミス神殿
16世紀、オランダの画家へームスケルクによるアルテミス神殿