法人実効税率の引き下げ

法人実効税率(現行:32.11%)が、平成28年4月1日以後開始事業年度から29.97%(△2.14%)、平成30年4月1日以後開始事業年度から29.74%(△2.37%)に引き下げられます。なお、中小企業者等の年800万円以下の所得金額について、軽減税率15%が平成29年3月31日までに開始する事業年度まで適用されますが、中小企業者等も課税所得が800万円を超えると、超過部分に大法人同様の法人税率が適用されます。

なお、法人実効税率を引き下げるための財源として、経済に悪影響の少ないものに絞って、増税改正がされますが、中小法人に影響があるものを2つご紹介します。

1.「建物附属設備及び構築物」の減価償却方法は定額法へ一本化

投資拡大に悪影響の少ない「建物附属設備・構築物」に限定し、平成28年4月1日以後に取得するものから、減価償却方法が定率法から定額法へ一本化されます。賃借している事務所や店舗等の内部造作は建物附属設備となることが多いですが、平成28年3月中の完成引渡であれば、定率法を適用することができます。

2.「生産性向上設備投資促進税制」の縮減・廃止

生産性向上設備投資促進税制における現行の優遇制度では、機械装置はもちろん、建物でも、一定要件を満たせば、全額即時償却(上限なし)できます。また、中小企業者等なら税額控除も上乗せで適用可能で、控除率は最大10%にもなります。

しかしながら、当初の期限通り、平成28年3月31日で現行の優遇制度は終了し、平成29年3月31日までは支援措置を縮減(機械等は50%償却・建物等は25%償却、税額控除率も縮小)し、これ以降は廃止とされます(中小企業者等の場合、要件が合えば中小企業投資促進税制が適用できます)。
投資をお考えならば、平成28年3月までが得策です。

機械装置における固定資産税の特例の創設

新法の制定を前提として、中小企業者等が認定計画に基づき取得する一定の機械装置(新品)について、固定資産税(税率1.4%)の課税標準が3年間、1/2に軽減されます。
なお、一定の機械装置とは、次の(1)から(3)までの全てを満たすものです。
(1)販売開始から10年以内のもの
(2)旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等) が年平均1%以上向上するもの
(3)1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの

空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設

周辺の生活環境への悪影響を及ぼす空き家の数は、毎年平均して約6.4万戸増加しています。これらの空き家の約75%は旧耐震基準の下で建築され、そのうち約60%が「耐震性のないもの」と推計されます(「平成28年度国土交通省税制改正概要」より)。

そこで、相続人が平成25年以後の相続により古い空き家(被相続人居住用家屋)を取得し、耐震リフォーム後又は更地後に、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に売却した場合、その譲渡所得から3,000万円を控除できるようになります。

なお、被相続人居住用家屋とは、被相続人のみが居住していた旧耐震基準の戸建て住宅等であり、相続を機に空き家になったものです。また、譲渡対価1億円超となるものは対象外です。

対象者は限定されますが、該当すれば税負担軽減幅が大きいため、売却を検討中の方は平成28年4月以降が得策かと思われます。

消費税の軽減税率導入

消費税率が10%に増税される平成29年4月1日から、軽減税率8%が導入されます。軽減税率の対象品目は、(1)酒と外食以外の食料品、(2)定期購読新聞代(週2回以上発行)で決着しました。

軽減税率の導入にあたって、いわゆる「インボイス制度」が平成33年4月1日から導入されますが、それまでの間については、現行の請求書等保存方式を基本的に維持しつつ、区分経理に対応するための簡易な経理措置が認められる方向です。

消費税関連としては、他にも「高額資産を取得した場合における消費税の中小特例を利用した節税スキーム」が使えなくなるなどがあります。

そのほかの改正として、「企業版ふるさと納税の創設」「通勤交通費の非課税限度額15万円に引上げ(現行10万円)」「スイッチOTC薬控除の創設」、「三世代同居に対応した住宅リフォームを行う場合の特例の創設」などがあります。



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