フィンランドの冬の名物、雪と氷だけでできたホテルつき観光スポット!
ルミリンナの宿泊部屋(スーペリアルーム)のイメージ。備え付けられた家具までもが氷でできている。一室一室壁面の彫刻の絵柄が違うのも圧巻!
フィンランド北西部の街ケミ(Kemi)は、フィンランドとスウェーデンを隔てるバルト海北部のボスニア湾の頂部に面した港街。北極圏内には入っていませんが、冬にはかなり気温が下がり、雪に閉ざされます。ケミは
砕氷船クルーズサンポ号の発着拠点の街としても有名で、冬の間はにぎわいを見せます。そんなケミの街で開催される冬の名物イベントのひとつが、ルミリンナ(Lumilinna)。「雪のお城」という意味で、海沿いの広大な敷地に、毎年1月下旬から4月上旬まで、大きな観覧会場が特設されます。
雪と氷を駆使してエレガントに作られた、まさに雪のお城という名前のふさわしいルミリンナの外観
ルミリンナは、なんと建物の壁も天井もすべて、本物の雪を特殊な技術で固めて作られています。観光客を迎える真っ白なファサードは、名前の通り、まさに幻想的な雪のお城。会場内で観覧できるのは、雪の壁面に繊細に施されたレリーフアートや、近隣の海に張った厚い氷を利用した彫刻アートなど。その他に、氷製の食卓で熱々料理をいただけるレストランやバー、結婚式も挙げられるという氷のステンドガラスが輝くチャペル、そして実際に一夜を明かすことのできるスノーホテルが、すべて雪で作られています。観光客は、1日券、2日券、または期間中何度でも入場可能なシーズンパスを購入することで、内部を自由に鑑賞したり利用したりすることができます(スノーホテル宿泊料やレストラン利用料は別途)。
毎年異なるテーマで繰り広げられる、冷たくてアーティスティックな世界
レストランの様子。もちろん机も氷でできている。この年の壁面は、国民的作曲家シベリウスをモチーフに作られていた
ミュージアムやレストランなどの壁面に施されるレリーフアートや、氷の彫刻アートは、毎年テーマも内容も一新されます。フィンランドならではのキャラクターや神話の世界をあしらったもの、昨今注目される有名人をモチーフとしたものなど、まさにさまざまな世界が広がります。そしてその完成度の高さにはびっくり!雪の壁や天井が組み上がったあとに、職人さんたちの手によって、わずか数日で次々に立体作品が完成させられていくのだそうです。
鑑賞中に気軽に利用できるバーカウンター
レストランでは、毛皮の敷かれた椅子に腰掛けて、分厚い氷の卓上で、地元の魚の包み焼きなど、寒い空間だからこそ嬉しい熱々のお料理をいただくことができます。サーブされるお皿は、すぐに冷めないように工夫が凝らしてありますが、素手で食べ続けるのは寒すぎてちょっと大変! 手袋をしたままでも食べられるように、ミトンではなく五本指手袋をはめて行くことをおすすめします。レストランでは日中はランチメニューが、夜は通常メニューがオーダー可能で、ウェブメールか電話による席の事前予約がおすすめです。またレストランのそばには、こちらも全て氷でできたバーカウンターがあり、氷のショットグラスでお酒をくいっと飲んで身体を温める……なんていうユニークな体験もできますよ。
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