働き方革命以降、評価される人材になるための視点とは何でしょう?
1.時間生産性の高い人材-仕事の量から仕事の質へ
このところ、残業の見直しが多くの企業でも行われています。それを誘発した象徴的な事例として、2014年、伊藤忠商事の夜8時以降の残業禁止令です。ガイドの私が若手社員にヒアリングしたところ、「今までと違い、夜の時間を有効に使えるようになり、朝も早く出勤するようになった」とのことでした。結果として、残業から前業(=朝の時間外勤務)となったのです。昭和の時代、残業は“ガンバリズムの象徴”として“美徳”であったのですが、これからの時代は“鈍間な亀”というレッテルを貼られかねません。これからは時間当りの生産性が求められるのです。そのためにはデッドライン(〆切)を明確にし、何が何でもそれまでに完成度の高いものを仕上げるという習慣を徹底的に身に付けることです。
2.イノベーションを起こす人材-バランスよりも尖り感
今、多くの企業で悩んでいることは新規事業や新商品がヒットしないということです。これは画期的なイノベーションが起こっていない証左とも言えます。企業は既得価値に加え、時代に即応した新しい価値を生み出せるかどうかが益々求められます。同じ会社に長年居続けると、居心地が良いので気がつくと丸くなり、同質化していきます。イノベーションはそもそも異質との交わりから化学反応を起こし生まれるのです。インターネットによるデジタル通信革命により、2000年以降、加速度的に技術革新が起こっています。
同質的な管理職層が選抜され、部門横断型なプロジェクトを組み発想しても、中々期待できないでしょう。それこそ、会社から一歩離れてみることや、若い世代の自由な発想を取り入れる勇気と包容力が必要かと思います。
オールマイティーに合格点が取れるゼネラリスト人材よりも、1点でも卓越した能力があるエキスパート人材の方がこれからは求められるでしょう。更に、オープンイノベーションが普及しているように、会社という枠を越えて、様々な人とコ・ワークすることで化学反応が起こり、イノベーションが誘発されます。よって、意識的に社外の方と接する機会を習慣化することが大切です。意識レベルの高い刺激的な方々と繋がることで結果的に自分のレベルも上がるのです。
3.仕事へ全エネルギーを注力できる人材-社内政治からの解放
”定年まで一生安泰”というサラリーマンの時代は終焉を告げ、気がつくとビジネスプロフェッショナルの時代へ突入しました。年功ではなく、成果そのものが評価される時代へ移行しています。アスリートの世界のように、10代、20代でもトップになれる時代にシフトしていくことでしょう。それに応じて、評価そのものの力点も変わることでしょう。日本企業の場合、成果と人間関係性を考えれば、従来は6:4程度で評価されていました。これからはプロフェッショナルとしての成果にフォーカスが置かれますので。8:2程度になることでしょう。
日本人は人間関係重視型の文化コードを持っています。よって、上しか見ないというヒラメ社員や社内政治、情実人事が蔓延っていました。フラットなグローバル社会となった今日、評価における透明性が益々求められます。卓越した専門能力、実務能力を持ち、成果をコンスタントに出せるプロフェッショナル人材がより求められるのです。