世界遺産都市ソウル近郊の「華城(かじょう/ファソン)」
水原のランドマーク、華虹門。7つのアーチが美しい。流れているのは水原川で、華城を南北に貫いている
いずれも日本の御所や墓地・城郭などとはかなり異なっており、中国の影響を色濃く残していることがひと目でわかる。ソウルは大陸の文化を肌で感じることができる街なのだ。今回は城郭都市という日本にはあまり見られない都市設計で魅せる韓国の世界遺産「華城」を紹介する。
韓国が誇る城郭都市・華城
北西方面を守る華西門。右の入り口付近から半月状に飛び出した城壁を甕城(おうじょう)という。華西門と蒼竜門は一方が開いた半月状で、八達門と長安門は両端が閉じた半円状になっている
華城の城壁。このような城壁で街が囲われている
韓国の世界遺産「華城」はそんな日本の城とは異なる大陸の城郭都市のひとつ。下のGoogleマップで城壁を確認してみてほしい。マークしているのが南門=八達門で、ここより北(上部)に城下町が展開していた。拡大して八達門の西(左)にある八達山から城壁をたどるとわかりやすいだろう。
■華城とその周辺(Googleマップ)
城郭都市・華城の構造
華城行宮、洛南軒。正祖が母である恵慶宮洪氏の還暦を祝っている様子が再現されている
デザイン的に華西門とよく似た蒼竜門。華城の設計を担当したのは実学者・丁若よう(ていじゃくよう/チョン・ヤギョン)だ
城壁には東西南北の順番に蒼竜門、華西門、八達門、長安門という4つの門楼があり、5つの暗門(隠し門)と2つの水門が設けられていた。このうち現存しているのは門楼4、暗門4、水門1だ。
華城行宮の正殿、奉寿堂。中央が王の座具である玉座だ
また、八達山の麓には華城行宮が建設された。行宮とは、王が行幸する際に一時的に留まる臨時の宮殿のこと。華城を建てた正祖(せいそ/チョンジョ)は各地に数々の行宮を建設したが、その中で最高傑作とされるのが華城行宮なのだ。
ライトアップされた西将台