ストレスチェック制度の目的とは?
「ストレスチェック」って何? 受けるとどんないいことがあるの?
ストレスチェック制度には、労働者自身が自分のストレス状態に気づき、メンタルヘルスの維持や心の病の予防に役立てること、事業者が職場環境の改善に活用できることという2つの大きな目的があります。
ストレスチェックを受ける側のメリットは?
この制度の労働者側のメリットとしては、主に次の4つがあります。一つ目は、年に1回以上、定期的に受けるストレスチェックの結果を元に、自分のストレス状況や心の健康度を把握してセルフケアを図ることができることです。
忙しく働き、過剰なストレスにさらされた状態でいると、心身共に興奮状態が続き、心の負担や疲労状態を自覚しにくくなることが少なくありません。そのまま心的負荷がかかり続けると、自覚のないままに心身が疲弊し、心の病を発症してしまうことがあります。したがって、定期的にストレスチェックを受けて、自分のメンタルヘルスを把握することは、有効な健康管理方法であると期待できます。
二つ目は、個人の情報が、事業者に知られる心配がないということです。
このストレスチェック制度では、プライバシーの保護が重要なポイントになっています。ストレスチェックを実施するのは、医師や保健師、厚生労働省が定める研修を修了した看護師、精神保健福祉士であり、事業者や労働者への人事権を持つ人は、検査の実施も、実施の事務を行うこともできません。検査の実施者にも実施の事務を行う人にも、守秘義務が定められていますので、検査を受けた本人の同意を得ずに、検査結果が事業者に通知されないように法的に配慮されています。
三つ目は、検査の結果、高ストレス状態であった場合には、医師の面接を受けることができることです。
面接の結果、医師の判断によって労働時間の短縮や労働負荷の制限、就業場所の変更、療養などの必要性が検討されますし、就業上の措置の判断が行われることもあります。また、これらの措置によって、面接を受けた労働者が不利益な取り扱いを受けることは禁止されています。
高ストレス状態にある人は、休みたくても休めない、業務負荷を軽減してほしくても願い出ることがためらわれる状況にあることが、少なくありません。労働者本人に不利益が生じない形で、制度として医師からその必要性を事業者に伝えられれば、処遇改善、環境改善がスムーズに進むことが期待できます。
四つ目は、個人情報が特定されることなく、職場環境全体の改善が進みやすくなることです。
ストレスチェックの結果は集団ごとに分析され、事業者は、その分析結果を職場環境の把握と評価に活用することができます(ただし、努力義務です)。個人情報の秘密は守られるため、個人の検査結果が特定されることがないように配慮されます。
事業者は職場全体の勤務形態や組織の問題点などを把握し、労働者のストレス軽減に結び付く職場環境の改善を検討することができます。次のページへ続く。