一汁三菜の考え方
一汁三菜とは、汁物1品とおかずを3品(主菜1品+副菜2品)で構成された献立のこと。栄養バランスのよい食事の基本形とされていて、できることなら毎日の食事に一汁三菜用意したいと思っている人も多いかもれません。でも、実際に、それを続けるのはなかなか大変なことです。無理なく一汁三菜を続けるためには、その日の献立と段取りを考えてから、調理に取り掛かること。また、全部の料理に手をかけるのではなく、上手く手を抜くことがポイントです。
帰宅後30分以内で一汁三菜を作る、献立の立て方と段取り術
忙しい毎日の中で料理にかけられる時間はあまりありません。夕ご飯の支度にかける時間の目安として、帰宅後30分以内を目標に一汁三菜を作る段取り術をまとめました。■献立は前日に考えておく
料理をしながら「他に何を作ろうか」と悩んだり、「材料はあったっけ」と準備していると、意外に時間をとられます。前日のうちに冷蔵庫の中身と相談して、何を作るのか献立を決めておくのがコツ。翌日すぐに調理に取りかれるように、冷凍してあるものは冷凍庫から冷蔵庫に出して解凍しておいたり、足りなくなった調味料を補充しておくと、よりスムーズです。
献立が決まっていれば、時間がかかりそうな料理を早めに取りかかったり、茹でるものは一気に茹でたりと、作業の無駄が少なくなります。
■献立に困ったら、五味五色五法を思い出してみる
『五味五色五法(ごみごしょくごほう)』とは、和食の決まりごとです。「五味」とは酸味・苦味・甘味・辛味・塩味という5つの味を、「五色」とは白・黄・緑・赤・黒という5つの色を、「五法」とは生・煮る・焼く・蒸す・揚げるという5つの調理法を示しています。
「あと1品ほしいけど、何にしよう」というときに、五味五色五法を思い出してみます。例えばメインに魚の塩焼きがあるのであれば、「副菜は甘みのある野菜の煮物にしよう」であったり、全体的に茶色っぽい料理が多いから、「赤いトマトと緑のネギを添えてみよう」といったように、献立を考えるヒントであったり、より彩りよく、バランスのよく飽きのこない献立にすることができます。
■夕ご飯の支度も、朝からスタート
朝昼晩、1日に3回ご飯を食べるにしても、その調理の回数はできるだけ一度にまとめた方が時間短縮につながります。食材を切ったり茹でたり、調理器具を出したりしまったり、洗ったりする作業はその都度やると、意外と時間が奪われますが、一度にまとめてやれば、時間のロスが少なくなります。
朝食を作るついでに、できるところまで夕食までの下ごしらえをしておくと、慌ただしい夕方がラクになります。例えば、ほうれん草のおひたしを作るなら、朝のうちに茹でておく。火の通りにくい材料を使った煮込み料理は、朝のうちに火を通しておくようにします。朝のうちからできること、食べる直前でなければできないことをわけておくと、スムーズです。
我が家では、朝は朝食と弁当(夫と息子の二人分)と、夕ご飯の下ごしらえまで済ませて40分~1時間以内。夕方は15~30分以内の支度で、食卓に並べます。一度にまとめて調理してはいますが、一汁三菜の夕ご飯の支度にかける時間は平均して30~40分。忙しかったり疲れていて料理ができないときなどは一汁二菜や一汁一菜にするのもアリです。臨機応変に対応しましょう。
■1or2ステップで作れる料理を覚える
一汁三菜といっても、すべての料理に手をかけていたら大変。とても毎日続けられません。1ステップ、多くても2ステップで完成する料理をマスターしておくとラク。切るだけ、茹でるだけの料理があってもOKです。
例えば、主菜なら、干物などの魚を焼くだけ、肉をタレにからめてフライパンで焼くだけ。副菜なら、トマトを切るだけ、豆腐をパックから出して冷奴にするだけ。これも三菜のうちのひとつと数えれば、一汁三菜も無理なく用意することができます。
■作り置きした方が美味しい料理を覚える
例えば、カレーなどは翌日の方が美味しいとよく言います。でも、揚げ物は食べる直前に揚げないと、美味しくない。こんなふうに料理は時間が経った方が美味しいもの、直前の方がいいものがあります。
慌ただしくなる夕方の負担をできるだけ減らすために覚えておきたいのは、早いうちに作り置きした方が美味しい、もしくは作っておいても味が落ちない料理。例えば、マリネは作った直後より、時間をかけて味を染み込ませた方が美味しいので、夕ご飯に食べるなら、朝のうちに作っておくきます。
簡単一汁三菜レシピでは、先に作った方がいいものと直前に作った方がいいものを組み合わせて、無理なく一汁三菜を用意できる献立を提案していきます。
無駄なく美味しく作るために便利な段取り表
ひとつひとつは簡単な料理でも、一汁三菜を一度に作ろうとすると、「本当は先にお湯を沸かしておかなきゃいけなかった」「先にサラダを作っちゃったら、野菜から汁気が出てベチャベチャ。美味しくない…」といった手順の悪さによる時間のロスや味の損失が起こることがあります。料理を始める前に、段取りを考える習慣をつけるのがおすすめです。簡単一汁三菜レシピでご紹介している料理は、それぞれに段取り表をつけています(例:あさりと冬野菜のバター蒸し定食の献立と段取り)。これを毎日の料理でわざわざ書くというのはさすがに面倒ですが、手の込んだ料理に取りかかるときだけでも書き出してみると、無駄なくスムーズに、しかも料理が美味しい状態で仕上げやすくなります。
段取り表は、次のような料理と時系列が一覧でまとめられるものがおすすめです。参考にしてください。
時短料理に揃えたい調理器具
■フードプロセッサー料理を作るときに「野菜のみじん切りをしなければならない」と思うと、途端に作る気がなくなってしまう。でも、フードプロセッサーがあれば、そこのハードルがぐんと下がります。容量が大きなものであれば、必要な材料を全部入れて回すことで、簡単に肉団子のタネを作ってしまうこともできます。
■圧力鍋
煮込み料理は時間がかかるイメージがあるかもしれませんが、圧力鍋なら、大きな塊肉も短時間で柔らかくなります。朝のうちに肉を入れて、加圧し、時間が経ったら火を止めて放置。あとは味をつけるだけにしておけば、夕方の負担が軽くなります。
■スチームケース
電子レンジで使えるスチームケースも持っておくと便利です。例えば、いろんな野菜を食べやすい大きさに切って、電子レンジにかけるだけで温サラダが完成。火加減を気にする必要もないので、他の料理を調理中も手や目を奪われることもありません。