借りる
いつの時代も子を思う親の気持ちは変わらない
借りる際は、借用書をつくり借入額や返済方法、返済条件を明記して証拠を残しておくことがポイントです。「親から借りると利息がかからずお得だ」という方がいらっしゃいますが、親御さんへの返済であっても利息をつけねばなりません。少し不思議な感じでしょうか。「無利息だから親から借りたのに、利息を払うのならば意味がない」と反論されそうですが、税法上の考え方はこうです。
例えば、金融機関から借りると2.5%の利息がかかるところ、親から無利息で借りたので利息が浮いたという場合では、その浮いた分が親からあなたへ贈与があったとみなすのです。たしかに金銭的なメリットがあることには間違いありません。親御さんからの借入れの場合も、相当の利息をつけて返済しておくとよいでしょう。もちろん、この場合も先にお話しした基礎控除は考慮されます。
また、返済中も証拠を残すことが必要です。あなたの口座から親御さんの口座へ、当初の約束どおり定期的に返済があり、その事実が通帳に起票されていると確実です。
共有名義
もっとも馴染みがないのが、この方法かもしれません。マンションを購入すると、「これは私の所有物だ」と告示するために不動産登記を行います。購入時の諸費用に含まれる登録免許税は、この所有権の登記にかかる税金です。頭金も住宅ローンもすべてあなたのお金で賄う場合は、マンションの所有権は100%あなたのものです。例えば、4000万円のマンションを購入する際に、頭金の1000万円を親御さんから援助を受け、3000万円の住宅ローンをあなたの名義で借りたとすると、4分の1を親御さん、4分の3をあなたの所有権として登記する方法です。
親御さんは、1000万円を出して1000万円分の所有権を得るので、贈与ではありませんし、その分を毎月返済する必要もありません。特に同居する必要もありません。
一戸建ての場合、父親の土地に息子が自分で家を建てる、というケースは珍しくありませんが、マンションの場合はご夫婦二人の住まいに一方の親御さんの名義が入ることを嫌うのか、あまり多いケースではありません。むしろ、シングルの方が、母娘で住むからと共有名義にされるケースの方が多いようです。
以上、親御さんからの資金援助の方法を3つみてきましたが、いかがでしたか。贈与税の特例は、生前贈与をすることにより親御さんの相続税対策になるケースもあります。マンション購入という何度とないビッグイベントに親子で対応策を練ってもよいのではないでしょうか。希望のマンションへの引越が完了したら、親御さんを招いてホームパーティが開けるとハッピーですね。贈与税の特例については、別コラムにてご案内いたします。