シニア起業だからこそ気をつけておきたい実務上の注意
団塊世代の引退とともに50代以上での起業、いわゆる「シニア起業」が増えてきています。この世代は経験も人脈も豊富で、なおかつ若い世代に比べればお金を持っている人が多いという点で有利に起業できる可能性があります。一方で、シニア起業だからこそ気をつけておきたい実務上の注意点もあります。今回は、そのポイントについて解説します。会社の看板、役職は一旦リセット
シニア起業は経験、人脈、お金がプラスにもマイナスにも作用する
経験が邪魔になることもある
今までの経験を起業に活かせる反面、それが足かせになる可能性もあります。時代の変化は早いです。例えば、数年前までスマホなんて無かったのに、今ではスマホを使う人が多いのを前提として広告展開を考えることが必要ですよね。つまり、3年経てば、世の中はすっかりと変わってしまうのです。経験があるが故に、昔のやり方に固執していれば、時代から取り残されてしまいます。起業したら、最新の情報や技術、マーケティングなど、常に勉強し続ける心構えが必要です。お金をもっているからこそ
お金を持っていることはもちろん起業にはプラスですが、かえって邪魔になることもあります。例えば、起業してから売上を上げるまでにはスピードが勝負です。安定した売上が無ければ経費がどんどんと流出する状況下におかれるからです。お金がなければ、稼ぐために必死に行動しますが、お金があるとのんびり構えてしまうこともありえます。また、お金があるが故に、コスト面でもルーズになる傾向もあります。そのようにならないためにも、事業に掛けるお金と老後資金などプライベート用のお金はきっちりと分けておくことをオススメしています。借金とのつきあい方
この世代が事業をするとき、一番したくないのは周りに迷惑を掛けたくないということでしょう。特に子どもに借金を残すことは避けたいはずです。逆に子どもからもその歳になってから事業を始めるということに反対されることもあるでしょう。このようなことが背景にあり、借金を恐れて小さく事業を始める人が多いのもこの世代の特徴です。ただ、事業内容にもよりますが、あまりにもお金を掛けない場合、かえって業界内での競争に打ち勝てない「弱小企業」になってしまうこともあります。ここで考えるべきことは、適正な金額を使って事業を立ち上げること、適正な金額を使うためには、適正な金額の借入をしておくことです。起業当初であれば、公的な創業融資制度など手厚い保護があります。適正規模でビジネスを展開するためにも、あまり萎縮せず、このような制度を利用することをお勧めします。無担保・無保証で借入れができる可能性があります。避けたいのは、子どもに残すほど多額の借金を抱えて手を広げたあげく、失敗してしまうことです。適正規模であれば避けることは可能です。