コンテンポラリーの大貫さんとクラシックバレエの宮尾さん、そして日本舞踊の尾上菊之丞さんと、ジャンルを違える踊り手が集います。クリエイションはどのように行っているのでしょうか。
宮尾>それぞれジャンルが違うので、まずは方向性を定めるためにテーマを設けようということで、演出振付の川崎悦子先生が『桃太郎』はどうかと発案してくださいました。最初は『スタンド・バイ・ミー』とかいろいろアイデアが出たけれど、男5人の舞台ということで、『桃太郎』がいいのではということになって。ストーリーが決まったことで役ができ、同時に違う動きをしていても不自然ではなくなった。大貫>役柄が一応あって、SINSKEさんが桃太郎、道山さんが鬼、菊之丞さんが猿、僕が犬で、宮尾さんが雉。ただ桃太郎の幼少期は僕が演じたり、お婆さんは菊之丞さんが演じたりと、シーンによっていろいろな役を演じます。
宮尾>その曲とそのシーンにぴったりくる動きができるひとが、その都度演じていく形です。菊之丞さんはお婆さんや猿も踊れるし、僕が青年期の桃太郎をバレエ的に踊るシーンもある。
大貫>物語をみせるところに重きを置いてる訳ではなくて、『桃太郎』というストーリーがあることで、観るひとも意味を掴みやすくなるし、コンテンポラリーでこう表現するんだって理解しやすくなるのではと思っていて。
宮尾>具体的には、川崎先生が舵を取りつつ、各々が自分のジャンルのパートを一緒につくりながら進めています。僕だったら“バレエだとこう踊ります”という動きをまずつくり、そこから川崎先生が方向性を指南していく。各々のジャンルをベースに、僕がコンテンポラリーを踊ることもあるし、大貫くんがバレエのステップを踏むこともある。僕にとっては未知の世界のダンスバトルみたいなシーンもあります。
大貫>全二幕構成になっていて、二幕で『ボレロ』を僕と宮尾さんで踊るんですけど、そこは柳本雅寛さんがコンテンポラリーの振付をしてくれています。
宮尾>あと、菊之丞さんと3人で動くシーンは、みんなでいろいろ意見を出し合いながらつくっていて、その過程もすごく面白いですね。日本舞踊はこういったらこちらにしかいかないとか、いろいろ決まりごとがあってとても新鮮でした。