「冷蔵庫」は万能食品庫?
万能食品庫と化している「冷蔵庫」
しかしその反面、冷蔵するまでもない食物(根菜などの野菜や、調味料や、お米など)を保管していた「冷暗所」という場は、住まいから消えつつあります。そして今「冷蔵庫」は、もはや「なんでもBOX」、万能食品庫と化しています。
加えて共働きの増加や増税などの影響で「まとめ買い」ニーズが高まっており、ますます家庭用冷蔵庫の大型化が進んでいる今日このごろ。そのうち、けっして小さくない体積を占める「野菜室」が、今回の主題です。
<目次>
「野菜室」は細菌天国?
常温保存では心配なものも、とりあえず野菜室に詰め込めば安心?
しかし、そんな便利な「野菜室」に警鐘が……。兵庫県立生活科学研究所が行った家庭用冷蔵庫の検査(※1)で明らかになったのは、冷蔵庫の中でもっとも汚染されているのはなんとこの「野菜室」であること、またその掃除の仕方によっては、清掃後の方が汚染度が増してしまうという衝撃的な事実でした。
※1 兵庫県立生活科学研究所 「家庭用電気冷凍冷蔵庫の細菌汚染状況に関する試験研究」(2008年3月18日)
「野菜くず」が「野菜室」の細菌を増やすガン
野菜室でひからびている、トマトのヘタ、トウモロコシのヒゲ、ブロッコリーの葉っぱ、玉ねぎの皮……あるある!
しかしこの「野菜くず」の落ちている「野菜室」と、「野菜くず」のない「野菜室」とでは、検出される生菌数に、なんと100~1000倍もの開きが生じていることが、先ほどの調査で分かりました。さらに、「野菜くず」をふきんで水拭きすることによって、むしろ生菌数は30~700倍に増えてしまうことも明らかになったのです。
つまり、きれいにするつもりで「水拭き」すると、水気を含んだ「野菜くず」に付着している細菌が、より塗り広げられてしまうということ。皮肉なことですが、もしかすると、普段から良かれと行っていた「掃除」によって、野菜室の汚染はますます進行していたのかもしれません。
野菜室の掃除には「消毒用エタノール拭き」が有効!
大根、ニンジン、ジャガイモ、里芋、玉ねぎ、ネギ……。土の中で育つ野菜はたくさんあります
掃除を行う際は、そんな「野菜室」に、垂れやすい調味料類やお米などの雑多なものを一緒に入れた場合の影響にも、思いを及ばせる必要があります。
兵庫県立生活科学研究所のまとめでは、この水拭きの後「消毒用エタノール」での清拭のひと手間を加えることで、生菌数の増加を抑えられることが示唆されています。
ガイドは十年来、「消毒用エタノール」での手早く効果的な冷蔵庫掃除をおすすめしてきました(ガイド記事「日替わりメニューで!冷蔵庫大掃除!」を参照のこと)。この「水拭き」+「消毒用エタノール拭き」はもちろん良いのですが、最初から「消毒用エタノール」での拭き掃除を「高頻度」に行うことが、「野菜室」の衛生状態を整える上では最短ルートになるのではないかと考えています。
「消毒用エタノール」にまだなじみのない方なら、ドラッグストアなどで市販されている「キッチン用アルコールスプレー」として購入するのが早道です。拭くものも、専用のふきんなどがなくても、手近な「ティッシュペーパー」などでまったく構いません。
細菌の繁殖は倍々ゲーム……。ぜひ早め早めに、「野菜室」掃除に着手してみてくださいね。
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