台湾の高山烏龍茶(こうざんうーろんちゃ)について
丸まっていた茶葉は開ききるともとの葉っぱの形にもどります。
台湾には「凍頂烏龍茶」「東方美人」「文山包種茶(ぶんざんほうしゅちゃ)」など、有名なお茶がいくつもありますが、「高山烏龍茶」とは、名前の通り高い山で作られた烏龍茶(半発酵茶)の事を総称してそう呼んでいます。では高い山ってどのくらい高いの?ということになりますが、だいたい標高1000m以上の場所で作られたお茶と覚えておくと良いでしょう。
高山烏龍茶の特徴は、なんといってもその清らかな味と香りにあります。良いお茶を一口飲むと、お茶が喉を清らかに流れてゆき、その後に美味しさが広がり、華やかな花のような、時には果実のような香りが感じられます。この類稀な清らかさは、標高の高い場所の厳しい自然環境が作り出すものと言われています。そんなお茶、チャンスがあれば味わってみたいと思いますよね。
高山烏龍茶の名前の由来
いざ、茶藝館や専門店に行ってみるといろいろな名前の「高山茶」が目に入ってきます。ただの「高山茶」だったり、「阿里山(ありさん)」という山の名前だったり、「大禹嶺(だいうりょう)」という文字だけだったり。いったいどういう意味?どれが良いの?と思ってしまいますよね。今回はこのお茶の名前について少し詳しく見ていきたいと思います。台湾には島の中央を南北に走る山脈があり、高山烏龍茶はその山脈のいろいろな場所で作られています。高山烏龍茶の名前は、そういった産地の名前からきているものが多いのです。いくつか有名な産地がありますが、基本として押さえておきたい場所は「阿里山(a1li3shan1/ありさん)」「杉林渓(shan1lin2xi1/さんりんしー)」「梨山(li2shan1/りさん)」の3つのエリアです(以下「茶区」とします)。
阿里山・杉林渓・梨山地図
- 阿里山(ありさん)1000m ~ 1600m
- 杉林渓(さんりんしー)1400m ~ 1800m
- 梨山(りさん)1800m ~ 2600m
この3つの茶区を押さえておくと、皆さんがこれから出会う高山烏龍茶のかなりの部分はカバーできるのではないかと思います。一般的には、標高が高くなればなるほど清らかな味・香りに、そして値段が高くなると言われています。
さらに地図には、それぞれの茶区の下に名前が書いてあります。これは茶区の中にある場所の名前です。今、台湾の高山烏龍茶はその人気もあって、お茶に関する情報がどんどん増えてきています。中国茶好きの間では、梨山?梨山のどこ?なんていう会話が聞こえてきたりすることもあります。ここまでくるとかなりの中国茶通ということになると思いますが、きっと皆さんも何処かで出会う情報の一つであることは確かだと思います。
例えば、台北のお茶屋さんの女の子に「一番好きなお茶は何?」と聞いてみると「大禹嶺(だいうりょう)!」という答えが返ってきました。大禹嶺は、梨山の中でも標高がとても高く美味しいお茶を作る場所として有名なので、パッケージにその名前だけが書かれて売られているのを見かけたりもします。
次に、美味しい高山烏龍茶を、その名前を考えながらご紹介していきたいと思います。
阿里山烏龍 樟樹湖(ありさんうーろん しょうじゅこ)
2015年 春 阿里山烏龍 樟樹湖 (茶葉:TeaBridge)
さらにこのお茶の名前にはもう一つ大切な要素が入っています。「烏龍」という文字ですね。高山烏龍茶の味や香りは作られた場所だけで決まるわけではありません。その他に、季節・気候・品種・発酵・焙煎等、様々な要素が組み合わさって美味しい高山烏龍茶を作り上げています。
阿里山は「金萱(きんせん)」という品種で作られたお茶でも有名で、このお茶はとても人気なので、よく「阿里山金萱」という名前で売られているのを目にします。今回ご紹介しているお茶の名前に「烏龍」という文字が入っているのは、きっとこの「金萱」というお茶と区別する為なのでしょうね。名前を見るとどんなお茶なのか分かるというのも便利です。
お茶の味は、日本茶から渋みを取って甘く清らかにしたような印象のお茶で、ボディがあり、しかっかりと旨みが感じられる美味しいお茶でした。
杉林渓 水桶寮(さんりんしー すいとんりょう)
2015年 春 杉林渓 水桶寮 (茶葉:TeaBridge)
お茶の味は、最初にしっかりとした旨みが感じられ、その後に高山烏龍茶らしい清らかな甘みと草のような淡い緑の香りが感じられるとてもバランスの良いお茶でした。こういうバランスのとれた美味しいお茶に出会うと、一人ではなく誰かと一緒に飲みたいなと思うものです。
梨山 近福寿(りさん きんふくじゅ)
2015年 春 梨山近福壽 (茶葉:TeaBridge)
このお茶は、まずそのなめらかさに驚きました。やわらかなお湯が喉を流れていくような感覚で、その後にまろやかなで優しい甘みが口の中に広がる、まさに「清らか」なお茶でした。標高が高くなればなるほど清らかなお茶になるとお伝えしましたが、梨山は2000mを超える産地を持っている茶区なので、こんなお茶に出会えることもあるのでしょう。前の杉林渓は誰かと一緒に、この梨山はひとりじめしたくなるような贅沢なお茶でした。
以上、いかがでしたでしょうか? 高山烏龍茶の名前を少し覚えて頂けたでしょうか?
時に人知れない場所の名前まで付けられることもある高山烏龍茶。こうしたお茶の名前には、作り手や仕入れた方のお茶に対する思いがあるのかもしれませんね。
台湾には、今回ご紹介した場所以外にも沢山の美しい名前を持つお茶の産地があります。ぜひ気に留めて見てみてくださいね。きっと何か新しい発見があると思います。
※地名の表記については中国語と日本語がありますが、3つの茶区は中国語の読みを表記し、その他の産地については日本でよく耳にする読み方を優先して表記しました。
高山烏龍茶と楽しみたいお勧めのパイナップルケーキ!
最後に、台湾といえばやっぱりパイナップルケーキですよね。中国茶仲間の間では、よくどこのパイナップルケーキが美味しいかという話題になります。本当にいろいろなお店があるのですが、今回取り上げた、清らかで華やかな高山烏龍茶にお勧めしたい一品は、オークラプレステージ台北パイナップルケーキです。
まず目を引くのがそのパッケージです。オークラらしく、和柄の美しいパッケージで一つ一つ包装してあります。しかもいろいろな柄があるのが良いですよね。箱には台湾をモチーフにした素敵な絵が描かれています。誰にお土産にしても喜ばれる一品。大切な方へのお土産なら絶対にお勧めです。
きれいなパッケージで個別包装してあるのが嬉しい
甘すぎない生地とパイナップルの爽やかさが美味しい
http://www.okurataipei.com.tw/jp/
台湾の高山烏龍茶については、季節・品種・発酵・焙煎等、本当に奥が深いお茶なので、これからまだまだお伝えしていきたいと思っています。
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