住宅ローンの金利タイプは大きくわけて3つ

住宅ローンは、大きくわけて3つの金利タイプがあります。変動金利型固定金利期間選択型長期固定金利型です。現在は、金融機関ではさまざまな優遇金利を提示しており、変動金利では1%を切るところが常態化しています。
変動金利のリスク、怖い理由

注意したい変動金利のリスク

住宅ローン選びの鉄則は、金利下落局面や低金利状態の場合は変動金利、これから上昇していきそうという場合は、固定金利を選ぶことです。
   

住宅ローンの変動金利とは?

変動金利は「短期プライムレート」と言って、銀行が企業に貸し出す際に適用される金利をベースにして決められますが、日銀の金融政策によっても影響を受けます。基本的には金利自体は毎月見直されますが、返済中の金利については4月と10月に適用金利の見直しがされます。ただし、毎月の返済額については、5年に1度の見直しが一般的で、金利の変動があっても5年間は毎月返済額は変わりません。

一方、固定金利は「新発の10年もの国債の利回り=長期金利」が指標となっています。現在の長期国債の利回りはマイナス0.22%程度(2019年10月7日時点)。これをベースにして各金融機関で住宅ローンの固定金利が設定されます。固定金利期間選択型は2年、3年、5年、10年などがあり、期間終了時点でそのまま固定金利にするか、変動金利にするか選択することになります。

住宅金融支援機構の「フラット35」は全期間固定金利で、取扱金融機関によって金利に違いがありますが、現在のところ、返済期間21年以上35年以下(融資率9割以下)で1.110%を提示しているところが多いようです。

さて、こうした状況から考え、セオリーからすると、現在は変動金利を選ぶという選択になりそうですが、果たしてそれで大丈夫なのでしょうか。
 

変動金利による借り過ぎリスク

たとえば、無理なく返せる毎月返済額を10万円としたとき、それぞれの金利タイプでいくらまで借りられるかを見てみましょう(返済期間はいずれも35年返済、毎月返済のみ)。
  • 長期固定金利(フラット35)金利1.11%  3479万円
  • 固定金利期間選択型(10年)  金利0.57%  3807万円
  • 変動金利          金利0.447%  3887万円
毎月同じ返済額であれば、金利が低いほど、住宅ローンを多く借りることができます。少し頭金が足りない、返済額は増やしたくないけれど、希望の物件を購入するには、金利が低くないと資金が不足する。そんなケースの場合に変動金利を選んでしまいがちです。また、金利=利息なわけですから、金利が低ければ、それだけ支払う利息も少なくなります。余計な利息はもったいないからと、変動金利を選ぶ人も少なくないでしょう。

しかし、ここには、2つのリスクが潜んでいます。

まず一つ目のリスクは、実力以上の住宅ローンを借りてしまうこと。上記の例では、無理のない毎月返済額を10万円として、借入可能額を算出していますが、購入物件が決まり、仮に4500万円借りたいとなった場合、毎月返済額はいくらになるのか試算してみます(借入金額4500万円、返済期間35年、毎月返済のみ)。
  • 長期固定金利(フラット35)金利1.11% 毎月返済額12万9348円
  • 固定金利期間選択型(10年)  金利0.57% 毎月返済額11万8210円
  • 変動金利          金利0.447% 毎月返済額11万5762円
無理のない毎月返済額は10万円であるにも関わらず、試算結果では、あと1万~3万円頑張れば、4500万円借りられる、ということになります。なかでも変動金利を選べば、1万5000円の上乗せで済むと思えば、変動金利で4500万円借りてしまおうとなるのです。実力以上の住宅ローンを借りてしまう、典型的パターンです。あと1万円、あと2万円頑張れば、というのは、何の根拠もありません。住宅ローンを返済しながら、子どもの教育費や自分たちの老後資金を貯めていかなければならない世帯にとって、簡単に決められる金額ではないはずです。
 

変動金利による元金減らないリスク

もうひとつのリスクとは、金利上昇の可能性を低く考えていることです。変動金利は長い間、最低金利を継続しています。しかし、20年前は4%台、30年前には8%台ということもあったのです。デフレ脱却をめざし、日銀が2%のインフレ目標を掲げている今、この先もずっと低金利のまま推移するとは考えにくく、実際に、2018年7月末の金融政策決定会合で金利上昇を容認する発言によって、即座に住宅ローン金利が上昇する局面がありました。もちろん急激な上昇はないでしょうが、30年、35年と続く返済期間中には、金利上昇もありうる、と考えるべきでしょう。

その際、変動金利を選択した場合は、未払い利息が発生する可能性が高まります。
 

変動金利で金利上昇時の未払い利息とは

変動金利で借りても、元利均等返済であれば、少なくとも5年間は毎月の返済額は変わりません。そのため金利が半年に1度見直されていても、毎月返済額が変わらないため、負担を感じることがありません。しかし、返済額の中身が変わっていることに、多くの人は気づいていません。

仮に4000万円を変動金利0.447%、35年返済で借りたとします(毎月返済のみ、元利均等返済)。毎月の返済額は10万2899円で、一定です。しかし、返済額の内訳は、表にあるように、元金分と利息分に按分され、借入残高が減っていけば利息分も減るという仕組みです。
変動金利でも毎月返済額は変わらない

変動金利でも毎月返済額は変わらない


もし半年後に金利が0.1%上がり、7回目の返済から0.547%になったとしたら、どうなるでしょう。
金利上昇分は利息に回される

金利上昇分は利息に回される

毎月返済額に変わりはありませんが、利息分が増えていることに気がつきましたか? 金利上昇後の7回目の利息分は、6回目の利息分から3000円以上増えています。つまり、元金返済に充当する分が減っているということです。

同じように、半年に1度、0.1%金利が上昇したとして、24回目(2年後)までの返済状況を試算してみると、

●金利0.447%で変動がなかった場合
元利返済分の合計  212万1048円
利息分の合計    34万528円
借入残高      3787万8952円

●半年に1度、0.1%の金利上昇があった場合
元利返済分の合計  200万4994円
利息分の合計    46万4582円
借入残高      3799万5006円

毎月返済額の合計は同じなのに、途中で金利上昇があると、利息分に回される額が増えるため、結果的に借入残高の減少スピードが遅くなるわけです。

今回の試算は、ゆるやかに金利が上昇した場合を想定していますが、万が一、急激な金利上昇になった場合は、5年目の毎月返済額が急増することが考えられます。しかし、その際に、元の返済額の1.25倍までにとどめる、と規定している金融機関がほとんどなので、この例で言えば、10万2899円が12万8624円となり、これが上限となります。

でも、これはあくまでも急激に返済負担が重くなるのを防ぐための処置で、利息が軽減されるわけではありません。本来支払うべき上昇分の利息を先送りしているに過ぎないのです。この状態が長く続き、さらなる金利上昇が続くと、毎月返済額のうち元金に充てられる部分はさらに少なくなり、最悪、毎月返済額より利息分が上回るという事態も可能性としてはあります。このときに発生するのが「未払い利息」というわけです。未払い利息が怖いのは、一度発生すると、金利が下落しない限り積み上がっていく点です。

未払い利息が最終返済時にも残っていた場合は、最後の返済で一括精算する方法が一般的ですが、実際には、その時点でいくらの未払い利息があるかで、金融機関の対応も異なってくるかもしれません。

未払い利息が発生するような金利上昇はないとみるか、多少の金利上昇があっても、返済に困ることはないと考えるか、変動金利で借りる前に、一度慎重に判断してもいいのではないでしょうか。
 

もうひとつのリスク、固定金利は変動金利より先に上昇する

変動金利で借りる場合、こうした金利上昇リスクを理解したうえで、金利上昇に備えてできるだけ繰り上げ返済して元金を減らそう、金利上昇したときには、その時点で固定金利に借り換えようとする人も少なくありません。

確かに繰り上げ返済の「期間短縮型」は、繰り上げた資金が元金部分に充当されるので、金利上昇に備えての対応としては、一定の効果があるでしょう。しかし、途中で固定金利に借り換えればいい、と安易に考えている場合は、変動金利のもうひとつの隠れたリスクを見落としているのです。

通常、住宅ローン金利は下がるときは、なだらかに金利が下がる傾向にありますが、上がるときは、一気に上がる性質があります。さらに、上がるときは変動金利よりも固定金利のほうが、先に上がっているケースが多いのです。そのため、変動金利が上がりそうだからと固定金利に借り換えようとしても、その時点での固定金利は思いのほか高くなっていて、毎月返済額が大幅に増額になる可能性が高いのです。

グラフは2001年からの金利タイプ別の住宅ローン金利推移です。いずれも店頭金利、表面金利なので、実際に優遇される金利とは異なりますが、イメージとして、変動金利と固定金利の動きの違いが見てとれるでしょう。ずっと低金利に思える変動金利も2008年ごろにいったん上昇しました。固定金利は上げ下げの幅がありますが、上昇するときには極端に上昇する、ということがわかります。最近は、ネット銀行をはじめ、戦略的に低金利の住宅ローンを扱っており、市場金利などの動きと必ずしも連動しないことも多くありますが、全期間固定金利とは違い、固定金利期間選択型は、あくまでも固定期間の優遇金利であることに注意が必要でしょう。
固定金利は変動金利より先に上昇する傾向

固定金利は変動金利より先に上昇する傾向

また、返済途中で返済額が増える、金利タイプの見直しをしなければならない、という事態になるのは、家族のライフイベント次第では、非常に負担が大きいものです。子どもの進学時期と重なった場合、住宅ローンの返済が増額になったり、金利動向に常に注意していないといけない、という状況は好ましくありません。

変動金利がNGということではなく、こうしたリスクを十分理解し、少なくとも5年先、10年先の家族のライフイベントをチェックし、慎重な資金計画を立てることが重要ということです。一生に一度の大きな買い物です。住宅ローン破綻にならないよう、金利タイプ選びは慎重であるべきだと思います。

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