古都アンティグアの中心、カテドラルとパルケ・セントラル

アンティグアの守護聖人サンティアゴを祀るバロック式のカテドラル。カテドラル内は地震によって多くが倒壊したままで、現在も修復中 ©牧哲雄

アンティグアの守護聖人サンティアゴを祀るバロック式のカテドラル。カテドラル内は地震によって多くが倒壊したままで、現在も修復中 ©牧哲雄

そんなアンディグアだから、なんといっても楽しいのは街歩きだ。

中南米の街を歩くのは簡単だ。植民地時代の名残で、街の中心にはカテドラル(大聖堂)とパルケ・セントラル(中央広場。北米ではセントラル・パーク、メキシコではソカロ、南米ではセントロやプラザ・デ・アルマス)があり、カテドラルを中心に碁盤の目状に道路が規則正しく張り巡らされている。だからどの街も、カテドラルを中心に方角だけ意識して歩けば、迷うことなくほとんどの見所を回れてしまう。

こちらもカテドラル。夜はライト・アップされる ©牧哲雄

こちらもカテドラル。夜はライト・アップされる ©牧哲雄

パルケ・セントラルの東にカテドラル、北に市庁舎、南に総督府があり、植民地時代は先住民を支配・統治する首都としてグアテマラからコスタリカに至るメソ・アメリカ一帯を治めていた。首都という割に建物が小ぶりでかわいらしいのは、度重なる大地震で何度も破壊され、高い建物を嫌ったため。白亜のカテドラルは1680年に再建されたもので、アンティグアでもっとも豪華で重厚なファサード(建物正面部)を誇る。

おもしろいのがパルケ・セントラルのフェルティリダ噴水。女性の乳房から水が出ており、豊穣と安産を祈願したものらしい。実はアンティグアは水の都でもあり、中南米最大といわれるラ・メルセー教会の大噴水をはじめ、少し大きな家にはたいてい庭の中央に噴水がある。

木々の緑が美しいフェルティリダ噴水の周辺はいつも人でにぎわっていて、美しいウイピルを着た子供たちが飛び跳ね、カップルたちがささやきあい、ギターや民族音楽が演奏され、街いちばんのにぎわいを見せている。

 

中米一華麗な教会、ラ・メルセー

精緻な漆喰装飾が美しいラ・メルセー教会。キリストやマリアの像が数多く祀られている。一部倒壊しているがかなり状態はいい ©牧哲雄

精緻な漆喰装飾が美しいラ・メルセー教会。一部倒壊しているがかなり状態はいい ©牧哲雄

パルケ・セントラルから北へ向かい、アンティグアのランド・マークとなっているエル・アルコ(時計台)を抜けた先にあるのがラ・メルセー教会だ。

中南米一とうたわれたラ・メルセー教会の大噴水。こちらの彫刻も見事 ©牧哲雄

中南米一とうたわれたラ・メルセー教会の大噴水。こちらの彫刻も見事 ©牧哲雄

黄色と白の淡いコントラストと、壁面中に彫られた繊細な漆喰装飾がとてもかわいらしい。当時中米一の漆喰職人をメキシコから呼び寄せて造らせたということだ。

ラ・メルセー教会の内部はかなり状態はいいものの、やはり一部崩壊していて廃墟となっている。それでも白い城壁が風化し崩れている様はやっぱり美しい。廃墟をよーく見てみると、クスコなどの街と同様、先住民たちの建物の土台の上に教会が築かれているのがよくわかる。

ラ・メルセー教会の見所のひとつは、中米最大といわれた噴水。当時のようには水は出ていないが、この豊富な水が人々をアンティグアに引き寄せた。アンティグアには他にもサンタ・クララ修道院、カプチナス修道院、ラ・レコレクシオン教会など、数々の廃墟がある。

 

パステルカラーが美しいコロニアル風邸宅群

地震が多いために平屋が基本となるアンティグアのコロニアル風邸宅 ©牧哲雄 

地震が多いために平屋が基本となるアンティグアのコロニアル風邸宅 ©牧哲雄

アンティグアでもっとも印象に残っているのは、実は普通の住宅街だ。

コロニアル風の街並みが続くのだが、パステルカラーの家々がとんでもなく趣がある。壁の色は黄や青やオレンジや白、茶色などにカラフルに塗られているが、原色というわけではなく、とても淡くてかわいらしい。

なにげない壁がとても美しい ©牧哲雄

なにげない壁がとても美しい ©牧哲雄

邸宅はほとんどは1階建ての平屋で、同じ高さの家々が規則正しく並んでいる。個々の家も美しいのだが、街全体として落ち着きが出ているのはそのためだろう。

色彩も街並みも日本とはかけ離れているのだが、どういうわけか日本の田舎を歩いているような親近感させ抱いてしまう。なぜこんなに懐かしいのだろう?

思い当たる言葉が「生活」だ。数百年と繰り返されてきた生活がそこにあり、いまも繰り返している人々がいる。「生」の輪が生きている場所。

アンティグアのパステルカラーの壁は、美しく生きたいという人々の希望と、それを崩し風化させる自然の営み、それに抗って生を次世代へ紡ぐ生命の力。いまも生きている街並みは、そんなことを力強く物語っているのかもしれない。