ウメ輪紋ウイルス(プラムポックスウイルス、PPV)
2009年に青梅市の梅の木から見つかった、国内初の「ウメ輪紋ウイルス(プラムポックスウイルス、PPV)」。またたく間に市内で感染が広がり、吉野梅郷にあった2万5千本のおよそ9割が伐採され姿を消しました。木を弱らせ、梅の実の収穫へ深刻な被害をもたらすウイルスですが、農林水産省などによれば人には感染せず、また感染した果実を食べても健康への影響はありません。
毎年2月末から3月末にかけて開催されてきた「吉野梅郷梅まつり」。その中心地、「梅の公園」に残った1,266本の梅の木は、2014年春に全て伐採され、今春は、伐採後に植栽された花を愛でる「吉野梅郷花まつり」が開催されました。
まだ知名度のない「花まつり」の花見客は、「梅まつり」の1割程度に止まったそう。同地の飲食・観光業等の年間売り上げは「梅まつり」によるところが大きく、ダメージを受けて既に廃業したところもあるそうです。
「氷梅」と「梅酒風味水羊羹」
自家製梅シロップでいただく出来立ての「青梅葛切り」や、鉄釜で炊く淡い紫色の餡を使った和菓子の数々で知られる「紅梅苑」。私自身、10年来のファンですが、これからの季節におすすめなのは、「かき氷」や「水羊羹」。かき氷は、梅シロップの「氷梅(こおりうめ)」と北海道産小豆で作る「氷小豆」の2種類。青梅の水を鉄瓶で沸し、ゆっくりと凍らせた自家製氷をふんわりと削っています。
「氷梅」に使われるあおうめシロップは、葛切りのものより濃厚でとろりとし、梅の風味がギュッと詰まった贅沢な味わい。梅の効果で夏の疲れも和らぎそうです。
梅酒のふくよかな香りにハッとする「梅酒風味水羊羹」。よく晒された漉し餡と相まって、深みがありながらもさっぱりとした食べ心地。梅の酸の影響か、煉っている間に赤みを帯びた薄紫色になるそうで、独特の美しい色をしています。瑞々しく口当たりのよい水羊羹は夏のご馳走。手土産にもオススメです。
「青梅吉野梅郷 梅の里未来プロジェクト」
夏の梅菓子に舌鼓を打ちながら、鈴木さんにお聞かせいただいた梅郷の厳しい現状。一方で今夏、青梅市の梅の里再生計画を支援するコーナーが立川高島屋のお中元会場に設けられるなど、支援の輪も少しずつ広がっているそうです。「紅梅苑」としても新製品の開発に乗り出すなどしてはいるものの、「個々の店舗レベルでの努力では限界がある」とし、鈴木さん自らが代表を務めるNPO法人「青梅吉野梅郷 梅の里未来プロジェクト」を立ち上げ、2015年7月1日に申請が認められたばかり。
苗木からでは梅の実の収穫まで約10年要するため、1本数10万円かかるとされる成木の植樹など、梅の里早期再生のための募金を呼びかける等する予定です。つい先日ホームページも完成しました。
10年、20年後のことを考えて動き始めた鈴木さん。より若い世代とも力を合わせて再生へ向かっていきたいと仰っていました。青梅吉野梅郷に1日でも早く、満開の花が咲く梅の園が戻ることを願います。
<店舗情報>
■ 「紅梅苑」
所在地:東京都青梅市梅郷3-905-1
JR青梅線「日向和田」駅より徒歩5分
電話:0428-76-1881
FAX:0428-76-2161
営業時間:9:30~17:00(喫茶は~16:30)
定休日:詳細はHPをご覧ください。
地図:紅梅苑
<NPO団体 連絡先>
■特定非営利活動法人「青梅吉野梅郷梅の里未来プロジェクト」
所在地:東京都青梅市梅郷3-905-1
お問い合わせ先Tel:090-8942-9848(代表鈴木宗)