8割超が定年後も継続雇用されることを希望している

 
定年前の50代の7割が継続雇用を希望。理由のトップは「日々の生計維持のため」。

65歳が定年、と言ってもおかしくないんじゃないか……。



平成31年度に60歳になる人の特別支給の厚生年金の支給開始は64歳です。60歳定年の場合には「改正高年齢者雇用安定法」(2013年4月施行)により、年金受給開始年齢の64歳までは継続雇用で働き続けることができます。
 
出典:「年金支給開始引き上げスケジュールと経過措置適用年齢との関係」(東京労働局作成)

出典:「年金支給開始引き上げスケジュールと経過措置適用年齢との関係」(東京労働局作成)

2017年6月1日~2018年5月31日に60歳定年に到達した人の84.4%が継続雇用され、希望したが継続雇用されなかったのはわずか0.2%でした。(出典:厚生労働省「2018年高年齢者の雇用状況」(6月1日現在)2018年11月16日発表)
  • 継続雇用された者 84.4%(84.1%)
  • 継続雇用を希望しなかった者 15.4%(15.8%)
  • 継続雇用を希望したが継続雇用されなかった者 0.2%(0.2%)
*( )内は2017年6月1日現在の数値

2018年6月、明治安田生活福祉研究所が50~69歳の男女6250人を対象に行った「50代・60代の働き方に関する意識と実態」から、定年退職前に迎える「役職定年」と「定年後も働き続けている」60~64歳の人の原状をお知らせします。
 

役職定年で年収半減は4割、6割がモチベーション低下

「役職定年」とは、部長や課長などの役職者が一定年齢で管理職から外れる制度です。50~55歳に設定されていることが多いようです。この調査では、60代前半の就労者の4割が役職定年を経験しています。
 
役職定年で所属が変わった人は3割強、年収が減少した人は9割を超えます。年収が減少した人の6割超えが、また年収が変わらない人でも2割超えの人がモチベーション低下を感じています。

役職定年」後の年収:半減以下、が4割弱
役職定年前の50~75%が3割超え、50%未満が4割弱
  • 100%超え 1.0%
  • 100%(変わらない) 5.9%
  • 75~100%未満  21.7%
  • 50~75%未満  32.6%
  • 25~50%未満  31.1%
  • 25%未満  7.7%
●役職定年後の年収と「モチベーションの(かなり)低下」の関係 :年収が減少した人の6割程度はモチベーションが低下している。

収入の減少割合  モチベーション(かなり)低下の割合
  • 100%(変わらない)   24.0%
  • 75~100%未満     56.0%
  • 50~75%未満     63.0%
  • 25~50%未満     58.1%
  • 25%未満       64.0%
課長や部長などの役職の場合、定年退職前に役職定年による年収減、という崖が存在することがあります。そのダメージは、継続雇用での年収減より大きいと思われます。
 

定年後の6割超が継続雇用で働いている

60代前半の定年後有職者の男性のうち6割が定年前と同じ企業(グループ)に継続雇用で働き、3割が定年前とは別の企業に再就職しています。
  • 継続雇用  64.1%
  • 再就職  28.0%
  • 起業  5.4%
  • その他  2.5%
継続雇用で働いている60~64歳の男性の現状をもう少し詳しく見ていきましょう。

継続雇用を選んだ理由のトップ3(複数回答)
1位 今まで培ったスキルやノウハウを活かせそうだったから  51.3%
2位 職場や勤務地など環境を変えたくないから  37.1%
3位 会社から継続を頼まれたから  33.9%

労働時間(定年直前の労働時間を100%とする):変わらない、が5割超え
  • 50~75%に減少が1.5割、50%未満は2割超えです。
  • 100%以上 2%
  • 100%  51.2%
  • 75~100%未満  22.5%
  • 50~75%未満  14.5%
  • 25~50%未満 7.0%
  • 25%未満  2.8%
 ●定年直前の年収を100%とした時の現在の給与:50%未満に減少、が4割
  • 100%以上 1.4%
  • 100% 6.9%
  • 75~100%未満 15.0%
  • 50~75%未満 37.0%
  • 25~50%未満 34.2%
  • 25%未満  5.6% 
仕事内容
  • 「全く変化はない」 39.0%
  • 「少し変化があった」33.1%
  • 「かなり変化があった」19.0%
  • 「全く別の仕事になった」8.9%
以上から浮かび上がる継続雇用後の働き方は、仕事内容や労働時間は定年前とほぼ同じで、給与は定年前の25~75%に減少、が半数近くに上ります。
 

「引退したくない」人が2割超え

 
定年前の50代後半の男性と定年後の60代前半の男性有職者の6割は定年制度があるほうがいい、と考える。

70歳を超えているが職場に必要な人だ。60歳定年の意味は何だろう……。

継続雇用の6割超えの人が生計維持のために働いており、仕事内容には満足しているものの給与に不満を持つ人が7割を超えています。

働く理由(複数回答)
  • 「日々の生計維持」64.7%
  • 「生活のハリ・生きがいを持つため」34.9%
  • 「社会とのつながりを持ちたいため」20.6%
  • 「より豊かな生活をするため」19.5%
 ●仕事の満足度
  • 「どちらかと言えば満足している」53.5%
  • 「どちらかと言えば満足していない」20.6%
  • 「満足している」14.9%
  • 「満足していない」11.0% )
●満足していない理由(複数回答)
  • 「収入額が少ないから」73.7%
  • 「業務内容にやりがいを感じないから」36.4%
  • 「業務量が多すぎるから」17.7%
  • 「人間関係が良くないから」11.1%
●働き続ける上での障害・課題
  • 「肉体的な衰えや気力などの身体的事情」37.6%
  • 「受け入れてもらえる仕事を見つけられるかどうか」24.2% 
  • 「働きたいと思える仕事を見つける事ができるかどうか」16.5%
  • 「現時点では思い当たるものはない」14.8% 
●完全引退は何歳?
  • 「65歳」22.2%
  • 「66~69歳まで」9.6%
  • 「70歳」22.9%
  • 「71~74歳まで」0.2%
  • 「79歳以上」3.4%
  • 「引退したくない」23.1%

60歳以上を雇う企業に必要な取り組み

将来的に労働力人口の不足が予測されていることから、高齢者の活用が企業にとってより重要になっています。企業は、定年制の廃止を含む定年年齢の引き上げ、再雇用での評価方法、給与水準の見直し、など労働環境の整備を急ピッチで進めています。一方、現在60歳以上で働いている人たちが企業の取り組みとして必要と考えているのは、継続雇用者の処遇改善、シニアの就労への職場の理解、勤務シフトの導入、健康保持措置、などです。シニアの就労は、働き方改革の方向と体力や気力の維持が決め手になりそうです。

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