パン/パン業界情報、イベント

辻芳樹(辻調)× 杉窪章匡(365日) 特別授業レポート(5ページ目)

新時代型ベーカリー「365日」の杉窪章匡さんと日本の料理界をリードする辻調理師専門学校校長の辻芳樹さんの特別授業をレポート。「一流のお客さまを相手にするには、超一流になる」「既製品を使ったモノ作りに未来はない」など、これから社会に出ていく若き職人たちのみならず、きっと仕事をするすべての人の心に響く杉窪さんのビジネス論、時間の使い方、生き方をインタビュー形式で伝える授業です。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

 365日が日本の風土に根ざした店である理由

365日

365日

―― 365日はこだわりのパン屋さん、とひとことではくくれない店です。製パン市場は大手企業が占めていますが、輸入食材に頼っています。365日は本来の日本の食のプラットホームとなろうとしている。日本中によい小麦があること、日本の風土を表そうとしている。その意図は?

それしか生き残る道がないからです。
お菓子屋さんにしてもそうですが、昔に比べて売れなくなっています。それはなぜかというと、昔はコンビニと個人店が違う材料を使っていました。個人店のほうがいい材料で。でも今はそれが逆転してコンビニのほうがいい材料を使ってます。
 
この社会に出ていく前に学生がしておくべき準備とは

この社会に出ていく前に学生がしておくべき準備とは


―― そんなに極端に言っちゃっていいんですか。
 
いいと思います。特にローソンの「ウチカフェ」シリーズは日本のトップレベルの材料を使っていますよ。小豆もうちと同じのを使っています。

既製の同じ材料で作ったら大量生産している方に必ず負けます。絶対に勝てない。デュヌラルテ時代に考えたのは、絶対に大手が真似できないものをつくろうということでした。すると素材はみんな手作りになるんです。

ドライリンゴとかもうちは手作りしているんです。市販のものは酸化防止剤だとか一杯入っている。体にいいか悪いかではなくて、おいしくないんです。はっきりいって、添加物が入っているものはおいしくない。

この時代を生き残る術とは

この時代を生き残る術とは

 

これから、皆、就職して働くでしょう。自分の少ない経験で自分のフィルター通してだけ、ものを見ていると、間違うことがあると思うんだけど、世間の人たち、特にお菓子屋さんとか個人店のパン屋さんに買いにくる人っていうのは、そこそこ裕福な人たちなんだよね。裕福な人たちはいろんなものを食べているからね、フランス料理を食べたり、京都の料亭に行ったりしているの。その人たちが添加物の味で満足するわけないからね。それだったらコンビニの方がいいってコンビニで買うからね。

―― 365日ではすべての商品に産地が書いてありますね。地域の生産者とのつながりを大切にしたり、国産小麦を使うというのは杉窪さんにとってあたりまえのことなんですね。

国産小麦は今は質もよくなっているので使います。最大の特徴は香りと味で、それを生かしたパンをつくります。今は、外国産の小麦でつくっていたパンが国産小麦でつくれるようになりました、という時代。せっかくいい小麦があるのだから、国産で日本のオリジナルのパンをつくろうというのがこれからの時代の流れです。 

 

365日の食の積みかさねが人の心と身体をつくる

365日の食の積みかさねが人の心と身体をつくる

 
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