世界遺産/世界遺産関連ニュース

2015年新登録の世界遺産(5ページ目)

2015年6~7月にかけてドイツのボンで行われた第39回世界遺産委員会で、新たに24件の世界遺産が誕生し、世界遺産総数は1031件となった。日本の物件では「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」の登録が決定し、日本で19件目の世界遺産となった。今回は新登録の世界遺産全リスト(解説付き一覧)、拡大された世界遺産、危機遺産リストの変更点等、第39回世界遺産委員会の概要を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

2015年新登録の世界遺産全リスト 自然遺産

世界遺産「ケープ植物区保護地域群」

ケープタウンのテーブルマウンテン。山の上はテーブルマウンテン国立公園として保護されており、「ケープ植物区保護地域群」の構成資産のひとつとなっている

<自然遺産0件、拡大2件>

■フォンニャ-ケバン国立公園
※「フォンニャ-ケバン国立公園」の拡大・再推薦
Phong Nha - Ke Bang National Park
[renomination and extension of “Phong Nha-Ke Bang National Park”]
ベトナム、2003年、自然遺産(viii)(ix)(x)
約4億年前からカルスト台地の造成がはじまり、300以上の洞窟が生成された「フォンニャ-ケバン国立公園」は、重要な地形を評価した登録基準(viii)が適用されて2003年に世界遺産リストに登録された。今回は46%の登録範囲の拡大とともに、生物の進化史における重要な見本である登録基準(ix)、および絶滅危惧種などの重要な生息地を評価した登録基準(x)の適用を求めて申請し、これらの拡大が認められた。

■ケープ植物区保護地域群
※「ケープ植物区保護地域群」の拡大
Cape Floral Region Protected Areas
[extension of “Cape Floral Region Protected Areas”]
南アフリカ、2004年、自然遺産(ix)(x)
「ケープ植物区保護地域群」は生物多様性ホットスポットのひとつで、アフリカ大陸の0.5%ほどの土地に大陸の植物種の約20%が集中しており、こうした生息地の重要性と進化史的な価値が認められて2004年に世界遺産登録された。今回の申請は登録範囲とバッファー・ゾーン(緩衝地帯)を拡大するもので、これにより登録範囲は557,584ヘクタールから1,094,741.5ヘクタールへほぼ倍増した。

2015年新登録の世界遺産全リスト 複合遺産

世界遺産「ブルー・アンド・ジョン・クロウ山地」のブルーマウンテン山地

世界遺産「ブルー・アンド・ジョン・クロウ山地」の構成資産のひとつであるブルーマウンテン山地。高級コーヒー豆・ブルーマウンテンはこの山の標高800~1200mで栽培されている

<複合遺産1件>

■ブルー・アンド・ジョン・クロウ山地
Blue and John Crow Mountains
ジャマイカ、文化遺産(iii)(vi)、自然遺産(x)
ジャマイカ初の世界遺産で、32件目の複合遺産。ジャマイカ島は大アンティル諸島で3番目に大きな島で、豊富な降水量と暖かい気候、海抜0mから標高2250mに至る多彩な環境によって、豊富な植物相と動物相を有している。登録されたのは多くの固有種を育むブルーマウンテン山地とジョン・クロウ山地の一部。逃亡奴隷マルーンたちはこうした山々を神聖視しており、彼らの集落や道といった文化遺産も評価されて複合遺産となった。


来年2016年の第40回世界遺産委員会はトルコのイスタンブールで開催される。日本の物件としては、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」と「ル・コルビュジエの建築作品 - 近代化運動への顕著な貢献」の構成資産である東京上野の国立西洋美術館本館が世界遺産登録を目指す。


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