第38回世界遺産委員会速報!

オリャンタイタンボ

「アンデス道路網、カパック・ニャン」の構成資産、オリャンタイタンボ。帝都クスコの北にある遺跡で、段々畑アンデネスは美しく、灌漑システムは精巧で、棚は城壁としても機能した。タンボはカパック・ニャン上の宿営地の意味 ©牧哲雄

毎年6~7月に行われている世界遺産委員会。2104年も6月15~25日にかけてカタールのドーハで開催され、新しい世界遺産が誕生した。

今回は新登録の世界遺産全リスト、拡大された世界遺産、危機遺産リストの変更点等、第38回世界遺産委員会の概要を紹介する。なお、本記事はUNESCO(ユネスコ=国際連合教育科学文化機関)の公式サイトの情報を参考に編集した。

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世界遺産総数がついに1000件を突破!

タムコック

タムコックの絶景。ベトナムのニンビン近郊にはチャンアン、タムコック、ビックドンといった風景区が広がっており、このようなタワーカルストや鍾乳洞が楽しめる。いずれも「チャンアン景観地帯」構成資産

今年も第38回世界遺産委員会で新たな世界遺産が誕生した。

新登録の世界遺産は26件で、このうち文化遺産が21件、自然遺産が4件、複合遺産が1件となっている。また4件の拡大が承認され、1件は文化遺産から複合遺産に変わった。これにより世界遺産の総数は1007件、文化遺産779件、自然遺産197件、複合遺産31件となった。

また、ミャンマーにはじめて世界遺産が誕生し、世界遺産を持たない世界遺産条約締約国は191か国中30か国となった。

危機遺産リストについては1件がリストから削除され、新たに3件が追加された。これで危機遺産の総数は46件となった。

日本に18件目の世界遺産が誕生

富岡製糸場のエントランス

富岡製糸場は1872年に完成した官営工場で、外国人指導者の指揮の下で高品質な生糸の生産がはじまった。ここで育った技術者が全国に散って日本の製糸業を盛り上げた

富岡製糸場の東繭倉庫

東繭倉庫。木の骨組みにレンガを組み上げ、屋根には瓦を葺いた和洋折衷の建築様式。レンガは縦と横を交互に並べたフランス積みで白漆喰で固められており、これらが特有の美観を生み出している

4月下旬に世界文化遺産候補地の調査を行っているICOMOS(イコモス=国際記念物遺跡会議)に世界遺産リストへの「記載」勧告(事実上の内定)を受けていた「富岡製糸場と絹産業遺産群」。第38回世界遺産委員会でも問題なく登録が決定した。

本物件の構成資産は以下4件。
・富岡製糸場
・荒船風穴
・高山社跡
・田島弥平旧宅

昨年の「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」がICOMOSの勧告で名称や登録基準を変更し、三保松原(みほのまつばら)について除外を示唆され、保全状況報告書の提出を義務づけられたことに比べて、今回は登録基準を減らされたくらいでそれほど大きな障害もなく登録が認められた。

 

日本にとって人間の産業に関わる施設・設備にあたる「産業遺産」の登録は、2007年の「石見銀山遺跡とその文化的景観」に続くもの。そして来年の第39回世界遺産委員会でも同じく産業遺産である「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」が世界遺産リストへの登録を目指す。