2014年新登録の世界遺産全リスト 自然遺産

桂林・陽朔

タワーカルストが林立する桂林・陽朔の奇峰、奇岩の数々。これまで「なぜここが世界遺産じゃないの?」といわれることの多かった中国屈指の風景区・桂林が「中国南部カルスト」の構成資産として拡大登録された

<自然遺産4件、拡大3件>

■スティーブンス・クリント
Stevns Klint
デンマーク、自然遺産(viii)
約6500万年前にメキシコのユカタン半島からメキシコ湾に及ぶ地域に大隕石が衝突。チクシュルーブ・クレーターを形成し、その後起こった気候変動によって恐竜をはじめとする約半数の生物種が絶滅した。スティーブンス・クリントには同時代の地層がよく保存されており、衝突によって形成され、巻き上げられたと見られるイリジウムやガラス岩石テクタイトが発見されているだけでなく、前後の地層を比べることで生物種の変化の様子を観察することができる。

■ワッデン海(「ワッデン海」の拡大)
Wadden Sea [Extension of the "Wadden Sea"]
オランダ/デンマーク/ドイツ、自然遺産(viii)(ix)(x)
2009年にオランダとドイツの世界遺産として登録された「ワッデン海」のデンマーク領への拡大。砂州や干潟、湿地が広がる海岸線で、特に渡り鳥の重要な飛来地となっており、ラムサール条約にも登録されている。激しい海流や大きな干満差、周囲の河川などによって誕生した土地で、海水・淡水・汽水域が混在することでさまざまな魚や貝を育み、これが鳥たちのエサとなっている。毎年10万を超える鳥たちがこの地に飛来し、飛び去っている。

■ビャウォヴィエジャの森(「ベラヴェシュスカヤ・プーシャ/ビャウォヴィエジャの森」の拡大)
Bialowieza Forest [extension and renomination of "Belovezhskaya Pushcha / Biarowieza Forest"]
ポーランド/ベラルーシ、自然遺産(ix)(x)
1979年に登録され、1992年にベラルーシに拡大された「ベラヴェシュスカヤ・プーシャ/ビャウォヴィエジャの森」のさらなる拡大で、登録基準が(vii)から(ix)(x)に変更された。ヨーロッパに残された数少ない原生林のひとつで、数多くの動植物が生息している。特に重要なのがヨーロッパ・バイソンで、一時は野生絶滅の危機に瀕していたが、現在ヨーロッパ全体で4000頭弱まで回復しており、その約25%、900頭前後がこの森で暮らしている。

■グレート・ヒマラヤ国立公園
Great Himalayan National Park
インド、自然遺産(vii)(x)
インド北部、ヒマラヤ山脈西部にあたるヒマーチャル・プラデーシュ州に位置する国立公園。インダス川に注ぐパールバティ川の源流で、標高6000mを超える高山には森林から氷河まで豊かで多彩な自然が広がっている。モンスーンによる影響で降水量が多く、広葉樹林から針葉樹林まで森林のタイプはさまざまで、ハイイロジュケイやジャコウジカといった絶滅危惧種をはじめ、ヒマラヤ西部に固有の種が多数発見されている。

■中国南部カルスト[フェイズII](「中国南部カルスト」の拡大)
South China Karst (Phase II) [Extension of the "South China Karst"]
中国、自然遺産(vii)(viii)
2007年に世界遺産登録された「中国南部カルスト」の拡大。石林、茘波、武隆に加えて桂林、施秉、金佛山、環江の4つのカルストが追加された。カルストとは石灰石をはじめとする水に溶けやすい層から成る地形で、風雨や川の浸食を受けて多数の奇岩が誕生する。剣状の石柱ピナクル、墳丘状の残丘コーンカルスト、ビルのように林立するタワーカルストなどその形はさまざまで、特に桂林は世界でもっとも有名なタワーカルストの風景区として知られている。

■ハミギタン山地野生生物保護区
Mount Hamiguitan Range Wildlife Sanctuary
フィリピン、自然遺産(x)
ミンダナオ島のプハダ半島を貫くハミギタン山地に設けられた野生生物保護区は、海抜75~1637mという標高差と高温多湿な気候によって多彩な生物を育んでいる。フィリピンワシやフィリピンオウムをはじめフィリピン固有の生物も数多く、特に両生類は75%、は虫類は84%が固有種。低地には深い森林が広がっているが、高地には地衣類やコケがよく繁茂しており、コウモリやカエルなどのは虫類や両生類、ウツボカズラなどの特殊な植物が特有の生態系を築いている。

■オカバンゴ・デルタ
Okavango Delta
ボツワナ、自然遺産(vii)(ix)(x)
1000件目の世界遺産。アンゴラ高原に降った雨はオカバンゴ川となって1000~1500kmを旅し、カラハリ砂漠のデルタ地帯=オカバンゴ・デルタに注いで海へ注ぐことなく消えていく。カラハリ砂漠の貴重な水源となっているが、乾季と雨季でデルタ地帯の面積は大きく変わるため、動物たちは環境に適応するため移動を繰り返している。ゾウの世界的な生息地であるばかりでなく、サイやチーター、ライオンといった大型哺乳類から鳥類・は虫類まで、乾燥地帯に豊かな生態系を提供している。

2014年新登録の世界遺産全リスト 複合遺産

<複合遺産1件、拡大1件>
チャンアン

ベトナムの都市ニンビンの近郊に広がるチャンアン風景区。水に溶けやすい石灰岩が長年にわたる浸食を受けてこのようなタワーカルストに仕上がった

■チャンアン景観地帯
Trang An Landscape Complex
ベトナム、複合遺産(v)(vii)(viii)
チャンアンは、中国の桂林やすでに世界遺産登録されているベトナムの「ハロン湾」に似たタワーカルストが林立し、無数の洞窟が点在するカルスト台地で、「ベトナムの桂林」「陸のハロン湾」の異名を持つ。登録範囲にはチャンアンやタムコック、ビックドンといった風景区だけでなく、自然を上手に活用した寺院の数々や10世紀に栄えたディン朝の首都ホアルーの遺跡も含まれており、文化・自然両者の普遍的価値を持つ複合遺産として登録された。

■カンペチェ州、カラクムルの古代マヤ都市と熱帯雨林保護区 (「カンペチェ州、カラクムルの古代マヤ都市」の拡大)
Ancient Maya City and Protected Tropical Forests of Calakmul, Campeche
[renomination and extension of the "Ancient Maya City of Calakmul, Campeche"]
メキシコ、2002年、2014年拡大、複合遺産(i)(ii)(iii)(iv)(vi)(ix)(x)
登録範囲を拡大し、登録基準を変更(以前は(i)(ii)(iii)(iv))、名称も上のようになった。これまでは文化遺産だったが、今回自然遺産の普遍的価値も認められたことから複合遺産となった。カラクムルはマヤ古典期前期の古代遺跡で、ユカタン半島最古級のピラミッドが多数連なっている。また、熱帯雨林はメソアメリカ生物多様性ホットスポットの中心的な存在で、南北アメリカ大陸をつなぐ回廊として多彩な生物種を有し、ケツァールをはじめ中米の固有種も少なくない。

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