ボーイズバレエサマースクールで受け持つクラスと、
その内容をお聞かせください。
遅沢>全学年のコーチングとショーケースの審査を担当します。コーチングではヴァリエーションの指導を行います。Elementary Classは小林由明先生の作品で、Intermediate Classが『ラ・フィユ・マル・ガルデ』、Advanced Classが『白鳥の湖』のジークフリート。それぞれヴァリエーションを一曲練習します。ショーケースではアドバイスシートを渡したり、その場でアドバイスをする予定です。
サマースクールは経験不問です。経験を積むための場ですから、キャリアが浅くても大丈夫。テクニックができていればその先を教えるし、できていなければテクニックを教えるし、ひとりひとりその子を見て教えます。同年代の子たちと一緒にレッスンすることで刺激になったり、この経験をきっかけにやる気が出たらいいですよね。
ボーイズ期に磨くべき素養とは?
遅沢>センスですね。センスは後から養おうとしても追いつけないですから。柔軟性とか筋肉とか、身体の問題より重要だと思う。センスがないと、ある程度以上伸びなかったりするし、カンパニーに入ってからセンスを磨こうと思っても遅かったりする。
センスを磨くには、やっぱり美術を見たり、映画を観たり、いろいろなものを見ることが大切。僕自身、今もいろいろ見ています。もうクセですね。映画を観たり、美術を見たり、舞台も観たりする。それが当たり前になっています。
どれがカッコ良くてどれが汚くて、でも汚いけどどこかカッコ良かったり……、という感覚は若い内に磨いておいた方がいい。舞台はキレイごとだけではなくて汚い部分をさらけ出すこともあるから、それを知っておく必要がある。いろいろなものを見ている内に、だんだんわかってくるはず。それがセンスを養うということであり、そこが感覚としてわからないと難しいかもしれません。
ボーイズバレエサマースクールでは最後にショーケースを行います。
成果発表の意義をどう考えますか?
遅沢>センスは舞台でも磨かれます。舞台で踊ってこそダンサーだし、舞台に立たないと見えてこないものもある。人前に立つと経験は100倍になる。舞台は特殊な空間であり、あの感覚は実際に舞台に立ってみないとわからない。
僕自身舞台での経験が二倍、三倍になったことはこれまで何十回とあるし、それは今でも感じます。リハーサルだけではわからないものが絶対にあって、やっぱり舞台に立って踊るというのは違います。舞台に立たないと成長はないし、ダンサーでいる間は一生続くと思う。もちろんそれは意識しないと得られないことであり、ひとつひとつ大事にしていかなければならない。僕自身、今もその意識は常に持つようにしています。