遅沢さんの少年時代はどんな生徒さんでしたか?
AMスチューデンツにいたころは、服部有吉(カナダ アルバータ・バレエ団)、那須野圭右(モーリス・ベジャール・バレエ団)、大野大輔(スターダンサーズ・バレエ団)が同期で、いつも4人で一緒にいたのを覚えています。ヴァリエーションの曲を次々とかけては、代わりばんこで踊ったり……。いい時代だったのかもしれません。
プロになろうと思ったのはいつ頃でしょう。
中学で東京に出て来て、みんなと出会った、仲間が良かったというのも大きかったと思います。当時はちょうど、熊川哲也さんや堀内元さんが海外で活躍していた時代。“僕らも海外に行こう!”と言っては、“この先どうする?”“留学先はどうする?”なんて話を4人でしょっちゅうしてました。
地元の教室では男の子は僕ひとりでしたし、いわゆるボーイズクラスで習ったことはありません。AMスチューデンツのときも男女合同でした。今はボーイズクラスがあるみたいだけど、当時はまだできてなかったんです。ただ周りに男の子がいたので、照れのようなものは全然なかったですね。
ハンブルクにいた頃は、もうがむしゃらでした。レッスン以外でも、学校で美術館に連れて行ってもらったり、教会でパフォーマンスを観たりと、いろいろなものを観させてもらって、いろいろな経験をさせてもらいました。バレエのビデオもすり切れるほど見たし、美術も見たし、映画を観たり、演劇を観たり……、といったことは日々やってましたね。意識はしてなかったけど、周りがそういう環境だったので、いろいろなものに自然と触れることができた。あの頃は何とも思っていませんでしたが、今考えるとそれが良かった気がします。