視点を変えれば、「ダメ」でなくなることは多い
「勉強嫌い」な子が環境や教え方を変えれば、優等生になれることも
また、上司に「デキない奴」と思われている部下は、職種や職場が合っていないだけなのかもしれません。こうした場合、環境を変えて他の仕事にトライさせたら、メキメキ能力を発揮するようになる人もいます。どの部署でも“お荷物”扱いされてきた人が、あるマニアックな仕事を与えられた途端、猛烈な集中力を発揮し、凡人にはできない成果を上げていく――こうしたエピソードもよく耳にします。
マッチした課題、環境が与えられれば、成果も印象も変わる
学ぶ人の「適性」と与えられる「処遇」が作用しあうことで、成果に影響が現れることを、クロンバックは「適性処遇交互作用」と呼びました。この場合の「適性」とは、学ぶ人の性格、知能、知識、態度、興味など学習の成果に結びつくすべての要素を意味し、「処遇」とは、教え方、関わり方、カリキュラム、環境、課題などの学ぶために操作できるすべての条件を指します。その人の適性に合った条件で学ぶことができれば、成果の向上が期待できますし、その逆であれば、逆の成果が現れることを示す理論です。
「あの子はダメな子だ」「あの部下はデキない奴だ」と一つの印象だけに注目していたのは、その人の「適性」と「処遇」が合っておらず、成果が出せなかったためなのかもしれません。マッチした課題と環境が与えられ、勉強や仕事に夢中で取り組むことができれば、成果も向上し、よい印象の方が増えていくかもしれません。
一つの印象だけにとらわれずに、その人を色々な角度から観察してみましょう。そして、その人に合う学習や仕事のスタイルを分析し、マッチした課題や環境を与えることで、アウトプットの変化を期待してみませんか?