ストレス/人間関係・人付き合いのストレス

「ダメな子・ダメな部下」と決めつける前にできること

人には、“一つの印象”だけでその人全体を評価してしまう傾向があります。この心理の謎を解説し、「ダメ」と言われるレッテルから解放されるために必要なことをお伝えします。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

人は“一つの印象”に振り回されやすい生き物

コーヒーを飲む女性

外見の印象だけで「この人はこういう人」と評価するのも「ハロー効果」

「あの子はダメな子」「あの部下はデキない奴」――人に対して、一度このような「悪い印象」を抱いてしまうと、その印象に振り回されてしまうことが多いもの。これはいったいどうしてなのでしょう?

この現象を説明する理論に「ハロー効果」があります。「ハロー」とは、神仏像の背に差す“後光”のことを意味します。人はある一つの特徴から、後光のようにその印象にとらわれ、全体的な評価にまで拡げてしまう傾向があります。これを「ハロー効果」と呼びます。

たとえば、いつもきちんとヘアスタイルやメイクを整え、バッグの中や身だしなみも小ぎれいにしている女子を見て、「家でもきちんとしている子なんだろうな」「お嫁さんにしたいタイプだな」と淡い恋心を膨らませている男性は少なくありません。ところが、現実の彼女の生活は、部屋は“汚部屋”で、洗濯も炊事もすべて“親任せ”。自分の外見を整えることにばかり熱中していて、私生活はガサツそのもの……。残念ながら、現実にはこんな女子も少なくありません。

しかし、そんな現実など想像もできず、外見の「きちんと感」という“後光”だけに強く印象づけられ、彼女のすべてを「きちんとした子」と評価してしまうのが、ハロー効果なのです。

“悪い後光”に惑わされて評価をしていませんか?

ハロー効果による心理効果は、ネガティブな印象でも用いられます。冒頭にお伝えしたように、「あの子はダメな子」「あの部下はデキない奴」といった“悪い後光”に振り回されるのも、ハロー効果です。

たとえば、何度注意をしても忘れ物をしてくる、おしゃべりばかりでちっとも授業に集中しない、赤点ばかりで学習が進まない――学校生活でこんな傾向が見られると、先生は「あの子は何をやってもダメな子」「家でもきちんとしつけられていないのだろう」などと、“悪い後光”でその生徒のすべてを判断してしまうことがあります。これがネガティブなハロー効果です。

またたとえば、営業成績はいつもビリ、気の利いた挨拶一つできない、いつもボーッとしていて行動が遅い――こうした部下を見て、「あいつは何をやらせてもデキない」「どこに行っても使えないだろう」などと、やはり“悪い後光”でその部下のすべてを判断してしまう上司もいます。これもネガティブなハロー効果です。

次のページでは、ネガティブなハロー効果に振り回されないために必要なことをお伝えします。

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