皆さん、2015年の中国緑茶は飲まれましたか?
中国茶の中には、プーアール茶のように長期保存が出来るものや、一年に何度か作られるお茶もありますが、中国緑茶は別格。早春の3月、4月をピークに一年に一度だけ作られるお茶で、その爽やかさで春の訪れを感じ、短い旬を味わう、そんなお茶です。
今年も沢山の新茶に出会いましたが、今回はその中から特に美味しかったお茶を5種類紹介したいと思います。聞いたことのないお茶もあるかもしれませんが、これからどこかで出会えるかもしれませんから、ぜひ名前だけでも覚えておいて下さいね。
西湖龍井 <浙江省>
(xi1 fu2 long2 jing3 / せいころんじん)
明前梅家塢龍井茶(めいぜんばいかうろんじんちゃ)
中国緑茶だけでなく、全ての中国茶の中でもとても有名なお茶です。このお茶を飲まない年はないというぐらい、毎春必ず飲むお茶です。龍井茶を形容する言葉に「四絶(しぜつ)」という表現があります。これは、色、香、味、形の4つが絶品であるという意味ですが、今年飲んだ梅家塢(ばいかう・西湖周辺の茶区の一つ)のお茶は、このすべてにおいて素晴らしく、このお茶特有のこうばしい豆の香りとしっかりとした旨みが、これぞ西湖龍井というお茶でした。春、こういうお茶に出会えると、その年良い事があるような気がするものです。
洞庭碧螺春 <江蘇省>
(dong4 ting2 bi4 luo2 chun1 / どうていへきらしゅん )
沢山の産毛と田螺(たにし)のようと形容されるくるっと巻いた茶葉が特徴。
沢山の産毛に覆われた濃い緑色の茶葉が特徴で、花や果実の香りを持つとも言われるお茶です。お湯をそそぐとかすかに感じられるスモーキーな香りもこのお茶の特徴で、ガラスのコップに茶葉を一つかみ入れて、お湯を足しながら飲めば、フレッシュで深みのあるお茶から上品な甘いお湯になるまで長く楽しめます。今年飲んだお茶は、その流れがとてもスムーズで本当に美味しいお茶でした。このお茶も中国緑茶を代表するお茶なので、毎年必ず飲みたいお茶の一つです。
金奬恵明 <浙江省>
(jing1 jiang3 hui4 ming2 / きんしょうけいめい )
鮮やかな緑と白い産毛のコントラストが美しい茶葉。
今春、このお茶のフレッシュさには驚かされました。1915年にパナマ万博で金賞を受賞したこともある有名なお茶ですが、日本ではあまり見かけませんし、聞いた事がないという方もいらっしゃるお茶だと思います。封を切った時から爽やかな香りが立ち、写真の通り茶葉の緑と白のコントラストが美しく、苦さ、甘さ、爽やかさが程よくバランスした本当に美味しいお茶でした。そして、本には良く書かれているのですが、なかなか出会えない「蘭の花の香り」が感じとれる素晴らしいお茶。こういうお茶に出会えると本当に幸せな気分になれます。今年一番のお茶だったと思います。
蒙頂甘露 <四川省>
(meng2 ding3 gan1 lu4 / もうちょうかんろ )
アルミの袋の内側に沢山の産毛!産毛はお茶の深みや甘みに関わる大切な要素の一つなんですよ。
四川省のお茶で、中国緑茶の中でも早い時期に出回ってくるお茶です。茶葉の形状は碧螺春に似ています。封を切ると銀色の産毛が舞うようにこぼれてきました。四川省のお茶らしく、小さい茶葉のわりにはボディがあり、豊かな緑の香りが素晴らしかったです。また、飲んでいる間の旨味と後からくる甘味が抜群で、西南の春を感じさせるとても美味しいお茶でした。
開化龍頂 <浙江省>
(kai1 hua4 long2 ding3 / かいかりゅうちょう )
まっすぐで小さな茶葉が特徴的。
濃い緑色の引き締まった小さな茶葉が特徴的なお茶です。茶葉の通りのキリッとした緑の香りと心地よい苦みが美味しいお茶です。今回このお茶をお勧めする理由は、このお茶の苦みが日本茶を飲みなれている方に馴染やすいと思ったからです。中国茶の勉強を始めて、これから中国緑茶も飲んでみようかな?と思っている方、ぜひこのお茶を試してみて下さいね。入りやすいお茶だと思います。
千種類以上もあると言われている中国緑茶。一つ一つの味を覚えることはなかなか難しいかもしれませんが、飲み比べてみると特徴が良く分かります。これから中国緑茶についてより深く知りたいと思う方は、どうぞ春の新茶の時期に飲み比べをやってみてくださいね。季節感を味わう事ができますし、とても楽しいですよ。
中国緑茶はいつまでに飲めばいい?
開化龍頂は茶葉が全部茶柱になります。涼やかでキレイ!
最後に、中国緑茶を飲む時の注意点を一つお伝えします。まず封を切ったらなるべく早めに飲んでしまいましょう。もし残ってしまった時は、アルミ製の袋など光を通さない袋に入れて、もし可能であれば熱でシーリングをして冷暗所に保存されるのが良いと思います。そうして保存しても、フレッシュ感を楽しみたい場合は夏の終わりぐらいまでには飲みきってしまいたいものです。他のお茶のようにとっておきたいなと思う事もあるかもしれませんが、また来年の新茶を心待ちにするのも楽しいものですよ。