企業経営のノウハウ/社内報の活用法

社員を巻き込みファンにする!社内報編集の組織作り(2ページ目)

社内報の記事は担当者が現場に出向き、自ら集めるのが理想です。しかし、拠点が全国にある場合、あるいは社外広報を兼務していると、自らが記事を集めるのは時間的制約から難しいこともあるでしょう。そこで、各拠点、各部署に通信員を置いて記事を集める体制を構築することになります。今回は、社内報編集に関する組織、通信員制度、編集委員制度、そしてモニター制度の導入のポイントについて紹介しましょう。

豊田 健一

執筆者:豊田 健一

総務人事・社内コミュニケーションガイド

情報提供、部門調整を依頼する通信員制度

通信員は、編集担当者の分身となって、原稿の執筆者を探してもらったり、
通信員との企画会議

通信員を上手に活用して、現場の情報を吸い上げる

原稿を回収してもらったり、各部門や職場の出来事、人の動きなどを収集し、情報としてあげてもらうのが主な役割です。人数は各職場単位に1名、任期も1年程度が多いようです。

学生時代に新聞部だった、絵を書くことや写真を撮るのが好き、企画の仕事に関心があるなど、編集業務に何らかの興味や関心がある人が望ましく、各部門長に「このような人」と条件を提示し、人選を依頼することが大事です。条件を付けずに依頼すると、優秀な社員は忙しいが故に選んでもらえないことになります。その部門に幅広くネットワークを持っている人でないと、情報も集まりません。

通信員、先に記した編集委員として選ばれた人には、所属長の了解をもらった上で、正式な委任状を発行して任命します。「会社の業務の一環」であるという意識をもってもらうことがポイントです。任命時には次の内容を伝えます。
■ 会社が社内報を発行しているのであり、あなたを委員に選んだのは会社である
■ 通信員、編集委員として活躍するだけの能力も見識もある人物だと会社が認めたから選んだ
■ 会社の期待、社員の期待も大きい

通信員、編集委員全員に集まってもらい、オリエンテーションを行い、委員のモチベーションを高める工夫が必要です。単なる顔合わせだけでなく、勉強会も兼ねるとよいでしょう。本業以外の業務となるので、「勉強になる」、「メリットがある」と実感してもらえるような、以下のメニューを用意します。

■ 経営と社内報の役割・使命について
■ 通信員、編集委員の使命と役割
■ 企画の考え方、発想の仕方など
■ 記事の書き方、インタビューの仕方
■ 写真の撮り方

また、通信員、編集委員になることのメリットも伝えておくと良いでしょう。担当することで以下のメリットがあると言われます。

■ 会社の方針などがよく理解されるようになった
■ 取材や原稿依頼を通じて、新しい人間関係を作ることができた
■ 原稿依頼や取材の手伝いをして、上役とも親しく話しができるようになった
■ 文章を書くことが上手になり、仕事で生かされるし、認められる
■ 写真が上手になった

また、通信員が確定したら、「通信員紹介」として、社内報において顔写真入で紹介します。この人に情報を提供してくださいと紹介するのです。通信員の掲載記事には必ず、その原稿を送ってくれた通信員の部署名と氏名、顔写真を掲載することでモチベーションアップを図ります。通信員が送った原稿、集めた原稿、取材したニュースや写真の反響を伝えることが、通信員の最大のモチベーションとなりますから、誰が書いたかを明示してあげるのです。

その他、通信員のメーリングリストをつくり、定期的にコミュニケーションをとることで、「自分は通信員である」とつねに自覚してもらうことが大切です。さらに、任期満了後の編集委員、通信員とのネットワークは途切れさせずに、「OB会」として活用している企業もあります。

通信員、編集委員を度々誌面に登場する機会をつくることが、通信員、編集委員のヤル気に繋がります。通信員や編集委員になってどんな動きをしているのか、社内の皆に知ってもらうことが委員たちには大切なことです。委員としての活躍ぶりを周囲の人が認めてあげる、知ってあげることが活性化、ヤル気づくりのコツです。特に、通信員制度は、手間ヒマをかけないと動かないものです。制度をつくったらこまめなフォローが必要であり、フォローがないと形骸化してしまい、形骸化したものを動かすには大変な労力が掛かります。

社内報の読後感を必ず提出するモニター制度

社内報発行の都度、読後感を提出する役割を担います。社内報編集担当者が、その号について聞きたいと思う内容を、アンケート方式、自由形式で投げかけ、それに対して必ず答える担当者です。人選では、各層別、年代別、性別に配慮し、社内報に対する意見が偏らないようにすることがポイント。50人~100人前後、任期は1年が多いようです。

モニターとなった社員は任期期間中、強制的に社内報を全頁読むことになります。実はこのモニター制度は社内報のファン作りの意味合いもあります。良く、「社内報って、いいことが書いてあるじゃない!」と、社内報をじっくり読んだ社員から感想が寄せられることがあります。食わず嫌いで、社内報をじっくり読まない社員が、初めてじっくりと読んだ時の感想がこのような声になるのです。

ですから、モニター制度という名目の元、社内報を強制的に読む機会を提供し、モニター制度の任期が終わってからも、そのまま社内報を読んでもらうための、社内報のファン作りとなるのです。ある企業では、数年のうちに全ての社員がモニターを経験することを目指して、人選しています。

表の意味での社内報の読後感集め、そして裏の意味での社内報のファン作り。通信員とモニターを兼ねて任命する企業もあります。また、モニターの声を毎号、カコミ記事にして掲載することで、モニターの活性化も図られます。これも通信員と同様に誌面に度々登場させることでモチベーションアップに繋げるのです。

社内報における組織作り、情報の収集、企画ネタの提供とともに、社内報に触れる機会を提供することで、社内報への理解を深め、実際に携わることで、社内報のファンにしてしまうという試みでもあります。
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