難しかった外国人の会社設立
難しかった外国人の会社設立が大幅に緩和された
規制緩和の背景
ただ、ここのところ、政府は法人税率を下げるなど、外国企業を日本に呼び込もうという方針を打ち出しています。これには外資系企業を受け入れる以外にも、外国人が日本で会社設立することをも含みます。ところが、前述のように在留資格面での高いハードルを残しておいたままでは、いくら法人税率を下げたところで、日本で起業・会社設立する外国人は増えません。そこで、行われたのが今回の大幅な規制緩和。平成27年4月1日より、従来の「投資・経営」の在留資格取得の要件が大幅に緩和され、外国人が起業・会社設立しやすくなったのです。どのように緩和されたのか
今回の改正は革新的ともいえる大胆な規制緩和となっています。どのような点が改正されたのか、順に見ていきましょう。1.資本金500万円以上が必須ではなくなった
これまでは、外国人が日本で起業するためには、500万円以上の資本金を準備しなければなりませんでした。複数人で起業する場合であっても、複数人の合計が500万円ではなく、代表である外国人が一人で500万円以上の準備が必要だったのです。考えてみると、このハードルはかなり高いです。外国の地で、500万円の資金を準備することは、働きながら貯金することを考えると、大変な努力が必要であったかと思います。
今回の改正で、この厳しい資本金の要件が改正され、廃止されました。これに伴い、在留資格の名称も「投資・経営」から「投資」の二文字が削除され「経営・管理」に変更されたのです。外国人本人が500万円の出資金の準備が不要となり、資本金の一部だけを出資しても良いし、全く出資しなくても良いのです。
2. 会社設立前でも「経営・管理」の申請が可能に
これまでは、「投資・経営」の申請の際は、その会社の履歴事項全部証明書の提出の必要がありました。つまりは、まず最初に会社設立登記が終わっていなければなりませんでした。
ただ、会社設立をするためには、資本金の払い込みが必要で、資本金の払い込みをするためには銀行口座が必要です。来日前だったり、たとえ来日しても3ヶ月以下の在留期間しかなかったりする場合(短期滞在ビザ等)は、銀行口座が作成できず、その結果、一人で会社を設立することができなかったのです。このことも日本で外国人が会社を作る際の大きなハードルとなっていました。
今回、この点も改正され、「経営・管理」の申請において、まだ会社設立登記が済んでいない場合でも、定款など事業開始が明らかになる資料を提出すれば申請できるようになりました。
3. 「経営・管理」の在留資格に4カ月の在留期間が新設
従前の「投資経営」の在留資格では、最短の在留期間は6ヶ月でした。今回の改正では「経営・管理」の在留期間に4ヶ月が新たに設けられました。
この趣旨は、前述のような会社設立前の申請者に在留期間4ヶ月の「経営・管理」の在留資格を与えることで、入国後に会社設立登記 を行う機会を与えようとするものです。
実務上、以下のような機動的な動きができるようになったということです。
1)「経営・管理」の申請者本人または代理人が日本で定款の認証手続きを行い、その定款を添付して「経営・管理」の在留期間4ヶ月の在留資格を取得する。
2)この「経営・管理」の在留資格により在留カードを取得し、それを提示して個人の銀行口座を開設する。
3)続いて、開設した個人の銀行口座に資本金の払い込みをし、定款とともに法務局で会社設立登記を行い、その後、履歴事項全部証明書を取得します。
4)この、履歴事項全部証明書を添付書類として「経営・管理」の在留期間更新許可申請により経営管理業務を続けることができるというわけです。
お読みいただくとわかると思いますが、このあたりの手続きは、非常に手順が複雑なため、在留資格申請に対応できる行政書士に依頼することをオススメします。