「ミッション」と「ビジョン」の違いとは? 起業を続けるコツ
ミッションとビジョンの違いとは
ビジネスマンが起業を考えるキッカケは、たいてい「商売になりそうなアイデアや新しいビジネスモデルを思いついた」ということがほとんどでしょう。もっと分かりやすく言うなら、「今の組織に所属しなくとも、自力で食べていける手立てを考えついた」ということになろうかと思います。
その思いつきが、大当たりしたり長期間にわたってうまくいくのなら問題はありません。しかし、たいていのビジネスは山あり谷あり。
新規事業が壁に突き当たった時やトラブルに巻き込まれた時に簡単にしぼんでしまうか、それとも苦難を乗り越え前向きに取り組んでいけるか。
この分かれ道となるのが、思いつき”だけ”ではない、継続させる仕組みが存在するか否かなのです。
物事を継続させる仕組みづくりとは、一言で言うならぶれない起業の「軸」を作ることです。
たとえ「思いつき」の起業でも、ぶれない「軸」に支えられていれば、多少想定外の苦難にぶちあたろうとも、それを乗り越えて事業を継続することができるのです。
「ミッション」がぶれない「軸」をつくる
起業をマネジメントの観点から考えたとき、その「軸」となりうるものは何なのでしょうか。一般企業が、社員の求心力をもって突き進むのに必要なマネジメント要素と同じく、それは第一に「ミッション」です。
「ミッション」とは「使命」のことですが、言いかえれば起業の際になぜこの事業をやるのかという社会的意義を持つことこそが、起業家自身にぶれない「軸」を作りあげるのです。
「ミッション」の具体例を挙げてみましょう。
- 飲食業の「地域の人たちに美味しい料理を提供し、市民生活に潤いを与える」
- サービス業の「消費者が自社のサービス利用を通じて、より効率的で有意義な生活を送ることを手助けする」
- 製造業の「自社の技術力を通じて日本の電気機器業界の進展に寄与する」
起業はそれぞれに社会的意義があってしかるべであり、それなくして単なるカネ儲け目当てならば、ちょっとしたつまづきにも挫けてしまいます。
苦しい中にあっても苦境を持ち堪え、なんとかして新たな道を切り拓いていくことができるのは、自身が何のためにそのビジネスを始めたのかという活動の「軸」となりうる「ミッション」あればこそなのです。
「ビジョン=目指す姿」が折れない意思を強固にする
「ミッション」と共に、あるいはセットで起業時に求められるマネジメント要素がもうひとつあります。それは「ビジョン」です。「ビジョン」を持つとはすなわち、中期的なめざす姿を描くこと。例えば「起業から3年後の自社のあるべき姿をより具体的に表現しイメージする」ことです。
「3年後にどうなっていたいのか」をより具体的にすると、
- 「市内で一番売り上げるラーメン屋になる」
- 「売上5億円を突破し上場を狙える企業規模になる」
- 「上場企業A社の協力企業として東日本ナンバーワンの地位を確立する」
成功者が語る成功の秘訣に「自分の目標を文字にして毎日見ること」というものがありますが、まさに「ビジョン」の明確化であると言えるでしょう。
「ミッション」と共に「ビジョン」がセットで、起業するその段階でしっかりと自分の頭の中に確立されていれば、ちょっとやそっとでは折れない起業を立ちあげられます。
私が見てきた成功する起業、折れない起業に共通していたことは、起業家たちが「ミッション」「ビジョン」を明確に意識していたことです。立ち上がりは元気でも意外にあっけなく折れてしまった起業は、例外なく「ミッション」「ビジョン」が不明確でした。
「ビジョン」なくして「戦略」なし
正しい戦略はビジョンなくして策定されない
それは的を射た「戦略」が立てられるようになるということです。
「ビジョン」が明確になることが、なぜ的確な「戦略」策定につながるのでしょうか。
「ビジョン」は目指す姿であり、目指す姿は現状とのギャップがあるからこそ存在するものです。そして、その現状と目指す姿のギャップを埋めるものが「戦略」です。裏を返して言えば、「ビジョン」のないところに正しい「戦略」は存在しえないのです。いかにして現状を鍛え、目指す姿に近づけるのか。
「ビジョン」が明確化された起業においては、「戦略」もまたあるべき方向に策定されるよう運命づけられていくのです。
若い人の勇気ある「思いつき」起業を否定はしませんが、「思いつき」だけでは困難にぶち当たった時に折れずに突き進んでいくことが難しいでしょう。
勇気あるチャレンジャーの皆さんには、困難に負けずに成功する道として、起業時に「ミッション」「ビジョン」の明確化こそ大切にせよ、と個人的な経験則を踏まえてアドバイスします。
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